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建築を通して市民に貢献する、古河市建築職のやりがい〜営業職、現場監督を経て辿り着いた行政建築職の仕事〜

大学で建築を学び、ハウスメーカーで営業職や現場監督として経験を積んだ廣瀬さん。 市民に貢献したいという思いから、古河市役所へ転職を決意しました。

入庁後は営繕住宅課で市の建物の新築・改修の設計・工事などを主に担当。現在は建築指導課で、建築基準法に基づく許認可や建物の安全確認など、幅広い業務に携わっています。

前職での経験を活かし、市民の安全・安心な暮らしを守る廣瀬さんの仕事内容と、市役所建築職のやりがいをご紹介します。

ーご経歴を教えてください。

廣瀬:小さい頃から建築に興味がありました。自宅で納屋を建てる際に、現場を見ていたのがきっかけです。そして大学で建築を専攻し、卒業後はハウスメーカーに就職しました。

最初は営業職として働き、2年目の途中からは現場監督として、家を建てる過程の管理などを担当しました。会社の方針として、利益追求と顧客満足の両方を掲げていましたが、実際には両立が難しく、施工管理者として葛藤を感じることがありました。

そのような思いを抱えていた入社6年目の頃に、市役所の募集を見つけました。公正公平な立場で建築を通して市民の役に立ちたいと思い、公務員への転職を決意しました。実際に転職してみて、その思いは叶えられていると感じています。

古河市役所に入庁後6年間は、営繕住宅課で市の建物の新築・改修の設計・工事などを主に担当しました。令和5年度からは建築指導課に異動し、建築基準法に関する業務を行っています。

ー公務員の中でも、なぜ古河市を選択されたのでしょうか。

廣瀬:別の自治体から内定を頂いていたのですが、面接での雰囲気や対応から、古河市の方が合っていると感じました。茨城県出身ということもあり、知っている土地で働きたいという思いもありました。

ー営繕住宅課ではどのような建物を担当されていたのですか。

廣瀬:入庁後すぐに、交流センターの新築工事に携わり、着工から竣工まで担当しました。その他は主に学校を担当し、屋根の防水工事や外壁工事、トイレの改修などに携わりました。古河市の多くの学校は築40年ほど経過しており、修繕や改修が必要な状況ですので毎年多くの依頼があります。

ー営繕住宅課ではどのような方と関わるのですか?

廣瀬:業務では、工事を行う施工業者や建物の設計を行う設計事務所と関わる機会が多かったです。市役所内では、学校の修繕・改修の予算を持っている学校教育施設課など、施設を所有する課と打ち合わせを頻繁に行います。

ー 新築・改修の一連の流れや、建築職の関わる範囲について教えてください。

廣瀬:建物の計画を立てるのは、予算を持つ部署です。例えば、学校であれば、学校教育施設課が最初に計画を立てます。その計画を元に設計に入りますが、設計には大きく分けて二つの段階があります。

まず「基本設計」で、建物の規模や配置などを決めます。この段階から、建築職が関わります。次に「実施設計」で、基本設計をもとに建物の詳細を設計します。実施設計で図面などができたら、次は工事になります。工事が完了して引き渡し、その後のメンテナンスまで対応します。

建築指導課では、建物の計画段階から竣工したあとまで、建築基準法に基づく規制などを確認する役割を担います。

ー 現在所属されている建築指導課について教えてください。

廣瀬:建築指導課には、建築グループと宅地開発グループの2つのグループがあります。建築グループは、建築基準法に関する業務を担当しています。建築審査係と建築指導係の2つの係に分かれており、合わせて6名で業務を行っています。宅地開発グループは、主に都市計画法を扱っており、こちらも6名です。

基本的には法律が異なるため、建築グループと宅地開発グループでは業務内容も分かれていますが、連携が不可欠となる時もあります。

例えば、「市街化調整区域」と呼ばれる、無秩序な開発を抑制するための区域で建物を建てる場合には、都市計画法に基づく開発許可が必要になります。家を建てる行為自体は建築基準法の内容ですが、市街化調整区域での建築となると都市計画法が関わるため、建築グループと宅地開発グループの連携が必要です。

ー その中で、廣瀬さんはどのような業務を担当されているのでしょうか?

廣瀬:私は建築指導係に所属しており、主に建築基準法に基づく許認可や、建物の所有者に対して行う3年に一度の定期報告業務、倒壊の危険性のある建物への対応、建築計画に関する相談、補助金に関する業務を行っています。

例えば、倒壊の危険性のある建物への対応として、市民の方から「あの建物が危なそう」と連絡があった際には、現場に赴いて状況を確認したり、所有者へ指導や助言を行います。また、違反建築物の監察業務も行っています。

「建築計画」に関する相談に関しては、新たに建物を建てたいという方に対して、具体的にどのような規制が適用されるのかといった問い合わせにもお答えしています。補助金に関しては、古い住宅の無料の耐震診断や、危険なブロック塀の撤去費用の一部補助を行っています。

ー1日や1年の業務の流れの例を教えてください。

廣瀬:出社後はメールをチェックをします。急ぎのものはその場で対応し、そうでないものは期限順に処理を行います。市民の方や不動産業者、設計事務所からの問い合わせが多いため、窓口対応やデスクワークの時間が長めです。必要に応じて現地調査や、違反の恐れがある建物への指導を行うため外出します。

1年を通して業務内容は大きく変わりませんが、補助金の準備期間である4月上旬から5月中旬頃が比較的忙しいですね。

ー働き心地や、残業・休日はいかがでしょうか。

廣瀬:2つの部署しか経験していないのですが、建築職の人たちは大体顔見知りですね。建築指導課と営繕住宅課を行き来する人もいるので、お互いのことを深く知ることができますし、上司部下関係なく冗談も言い合えるような環境なので、とても働きやすいです。

残業は、営繕住宅課にいた時は、工事や設計の発注期限に間に合わせるため比較的多かったです。 また、市民の方が利用していないときや学校が休みの時に工事をする場合があり、土日祝日に出勤することがたまにあります。 建築指導課は、残業が少なく、土日の出勤もありません。

ー入庁後の教育体制はいかがでしたか。

廣瀬:最初の1週間は同期全員で集合研修がありました。その後は各課に配属され、OJT形式で、先輩や上司の仕事を見ながら、一つ一つ覚えていきました。一通り経験するまでは、新入社員のような気持ちで仕事をしていましたね。

建築の部署では、外部の研修も結構あります。若手や経験の浅い職員には「どんどん行きなさい」と積極的に研修に行かせてもらえるような環境です。

ー前職での経験が活きた場面、違いを感じた場面について教えてください。

廣瀬:建築士の資格はもちろんですが、実務経験があったので建築用語を聞いた時に、現場のどこに使われているのか、どこを指しているのかがイメージしやすく、業務に活かすことができました。

違いを感じた場面は、入庁前のイメージでは、前職の延長でやれるのかなと思っていたのですが、何か一つやるにしても、上司の決裁が必要なことです。あとは、市役所なりの流れや、全てにおいて書類の様式が決まっている点にも違いを感じました。

ー業務の中で印象的な出来事はありましたか?

廣瀬:営繕住宅課で、築40年ほどの小学校のトイレ改修工事を担当した時のことです。以前は暗くて汚く、臭いも気になるような空間のトイレが、改修によって明るく綺麗になり、自動の水栓や照明になるなど、使い勝手も雰囲気もとても良くなりました。

引き渡しの際に、子供たちに使っていいよと案内した時の、最初に来た子供たちの驚いた顔や、嬉しそうな顔、笑顔を見たときに、やってよかったと達成感を感じ、心が癒やされたことを、今でもよく覚えています。営繕住宅課では、市民の方に直接お会いする機会があまりなかったので、とても良い経験になりました。

ー市役所で働くやりがいや魅力を教えてください。

廣瀬:1人に対してではなく、市民全体に対して、建築を通して貢献できているという点が、何よりのやりがいです。分け隔てなく対応できるということも、魅力の一つですね。

ー業務の中で大変さを感じる場面について教えてください。

廣瀬:建築は幅広い分野なので、深いところまで理解しようとすると膨大な知識が必要になり、覚えるのが大変ではありますね。また、税金を使っているという責任感やプレッシャーを感じます。

ー建築職でも、部署によって必要な知識は変わりますか?

廣瀬:はい、変わります。営繕住宅課では、建築全般の知識はもちろん、建築基準法に関する知識も必要になる場面があります。一方、建築指導課では、現場の工事にはあまり携わらず、建築基準法に基づいて判断することがメインなので、その点は異なりますね。

ー今後携わりたい業務はありますか?

廣瀬:建築の代表的な2つの課には所属できたので、今度は建物を管理していく業務に携わりたいです。古河市ですと、財産活用課や学校教育施設課ですね。

これまでは作るという視点から建築に携わってきましたが、今度は使う側の視点も学びたいと考えています。使う側の建築に対する要望は、作る側とは異なるかもしれないので、そういった点を学んで、また作る側に活かしていければと思っています。

ー廣瀬さんから見た古河市は、どのようなまちでしょうか。

廣瀬:古河市は、交通の便が良くて便利だと思います。圏央道や国道4号線、鉄道などがあり、さまざまな場所へ行きやすいですね。また、県境に位置しているため、栃木県や群馬県、埼玉県にもアクセスしやすいのも魅力の一つだと思います。

自然も豊かで、利根川の土手から見る夕日は、本当に綺麗ですよ。また、ネーブルパークという公園はおすすめです。バーベキューができたり、釣り堀や子供の遊具もあるため、幅広い世代で楽しめると思います。

ー最後に、求職者の方や古河市を目指す方へメッセージをお願いします。

廣瀬:建築職の募集なので、建築関係の資格を持っている方が良いと思われがちですが、実は資格がなくても大丈夫です。熱意や粘り強さなど、前向きな気持ちを持っている方と一緒に働きたいと思っています。

ーありがとうございました。

この記事は2024年8月27日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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