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島原市の試みを全国へ!市民の足となる乗り合いタクシーの成果と課題とは?〜長崎県島原市の挑戦〜

平成27年度に長崎県島原市に入庁した平川健太さんに、島原市役所での仕事内容や、やりがい、これからの課題などを伺いました。

—はじめに、これまでの経歴を簡単にご紹介ください。

平川:島原市内の高校を卒業後、福岡の大学に進学しました。大学卒業後、平成27年度に島原市役所に入庁し、今年で10年目になります。保険健康課で5年間従事したあと、商工振興課に2年間おり、現在は政策企画課に配属されて3年目になります。

—以前の配属先であった保険健康課と商工振興課では、主にどのような業務をしていましたか?

平川:保険健康課では、後期高齢介護班におり各種申請の受け付けや窓口対応などをしていました。商工振興課では、ちょうどコロナ禍の時期であったため、主に商品券や、事業継続支援金、時短要請協力金などの商店街への支援に関する業務を行っていました。

―現在配属されている政策企画課での業務について教えてください。

平川:現在は、政策企画課の交通政策班におり、主に公共交通機関全般の支援について担当しています。 

島原市では、運転手不足や利用者の減少などにより、バス路線が減便され廃止となった路線もあります。しかし、そうなると、市民の足が無くなる空白地域がでてきてしまいます。そこで導入したのが、「コミュニティバスたしろ号」です。

―「たしろ号」とはどのようなものですか? 

平川:「たしろ号」は、一言でいうとデマンド型(事前予約制)の乗り合いタクシーです。現在、島原市内に272ヵ所の停留所があり、これは各家庭から概ね300m以内に停留所がある計算となります。

市民は事前に予約することで、自分の希望する時間、停留所での乗り降りが可能です。なお、運賃は1回の乗車につき200円です。

ーどのような仕組みでしょうか? 

平川:乗車時間の30分前までに、ウェブや電話で予約できます。事前に利用したい停留所と時間を予約すると、その時間に「たしろ号」が配車される仕組みです。

複数人での乗り合いとなるので、どの「たしろ号」に空きがあり、あと何名乗れるのかなどを、AIシステムが判断して調整、配車する仕組みです。 

ーどのくらいの台数があり、どのように運行しているのでしょうか? 

平川:現在8台の「たしろ号」があります。島原市内の6社のタクシー事業者と、乗り合いバスの事業者1社の、合計7社に委託し、運行しています。 

ー「たしろ号」を導入して成果はいかがですか?

平川:2020年の導入当初は、4台の「たしろ号」がありましたが、決まった時間に決まったコースを走る電話予約制だったためか、利用者は多くはありませんでした。

そこで利用方法を見直し、現状のシステムに変更しました。その結果、3年前と比べて約70倍以上の利用者となり、予約が取りづらくなるほどに需要が高まっています。 

ーどのような方が利用するのでしょうか?

平川:高齢者の方が多いですが、買い物や病院、会社への通勤に利用するなど年齢を問わずさまざまです。免許を返納された方にも利用してもらえるよう、警察署で免許返納時にチラシを配布するなどの広報も行っています。 

ー「たしろ号」を運用する中で、大変なことはありますか?

平川:現在の運行形態となり、かなりの方にご利用頂けるようになった一方、予約が取りづらいというご意見も多く頂くようになりました。また、人件費や燃油価格の高騰による運行コストの増加などが、今後持続可能な運行を行う上での大きな課題です。

そのような問題を解決するため、試験的に10人乗りのワンボックスカーのコンバートEV車を購入し、11月1日に出発式を行ったところです。出発式を迎えるまでに、各関係機関との調整やこのEV車は比較的高額となることから、議会の承認を得るまでの道のりが大変でした。

実は、この10人乗りのコンバートEV車を市民の足として利用するのは日本初の試みとなっているんです。そのため、福岡工業大学にデータ分析を依頼し、どのくらい経費削減ができるのかなどの検証をしている最中なのですが、その調整なども大変でした。

ー業務を行う中で、やりがいや魅力はいかがですか?

平川:やはり、いろいろと大変だった10人乗りのEV車の導入ができて、無事に出発式を終えられたことは、達成感を感じました。

ここに来るまでに、たくさんの問題や困難がありましたし、利用が増えれば増えるほど、また課題も出てくるのですが、一旦は、無事に出発式を迎えられたので、ほっとしています。

このEV車導入の取り組みについては、現在、国も絡めて実証実験を行っているところですが、うまくいけば他の市町村に広がる可能性もあります。島原市からスタートした事業が、今後日本全国へ発展していくかもしれないという点は、今後の楽しみでもあります。

また、市民の方から直接お礼の電話やメールをもらうこともあります。「本当に困っていたから「たしろ号」を運行してくれて助かったよ。ありがとう。」と言われると、素直にうれしく、また頑張ろうという気持ちになります。 

ー今後の課題はありますか?

平川:市民の方からお礼を頂く一方で、要望や苦情が来ることもあります。その多くは、利用者が増えすぎて、予約が取りづらくなっていることです。 

だからといってただ台数を増やしてしまうと、人件費やガソリン代など、財政的な問題が生じます。また、島原市は、ゼロカーボンシティ宣言(2050年にCO2の排出、実質ゼロを目指す取り組み)をしているため、環境への配慮も求められている状況もあります。 

現在、EV車を試験的に導入し、実証実験をしているところではありますが、このEV車が、課題の解決に一役買ってくれるといいなと思っています。

ー他の課との連携はいかがですか? 

平川:他の課と連携しなければいけないときは、この方に言えばきっと大丈夫だろうという方に相談して、良い方向に進めるように取り組んでいます。そういった横のつながりも大事にすることで、動きやすさが変わりますので。ただ、基本的に他のどの課とも信頼関係ができているので、連携もスムーズだと感じています。

ー残業の有無や、休暇の取りやすさについて教えてください。 

平川:携わっている業務によっては残業があることもありますが、基本的には定時で帰れる職場です。上司に、「もう帰ろうか」と声をかけられ、一緒に帰るときもあります。笑

政策企画課は上司と2人体制のため、休んでもどちらかが対応できます。家庭での用事がある場合には、休みを取りやすい環境ですので、非常に働きやすい職場だと感じています。

ー島原市役所での働きかたはいかがですか?

平川:島原市役所の職員の雰囲気はとても良く、職員みんなで食事に行ったり飲みに行ったりしています。業務中も、良いコミュニケーションをとりながら、楽しく仕事をしています。

私は、学生時代からソフトテニスをやっていて、現在も、大会に出ることがあります。仕事を18時に終えて帰宅し、ご飯を食べたり子どもをお風呂に入れたりしたあと、20時から練習に行くこともあり、趣味の時間を満喫できています。そのため、仕事で体が疲れていても、心は充実していると感じます。

ー島原市の魅⼒を教えてください。

平川:島原市は、海の幸などおいしい食事が多く、少し足をのばせば長崎や熊本、福岡にも行けるので、利便性の高いまちです。自然が豊かで公園も多く、こどもを育てる環境としても最適です。また、市民の方たちがみんな優しく、暮らしやすい温かいまちです。

ー最後に求職者の方に⼀⾔お願いします。

平川:島原市役所は、上司や同僚との関係性も良く、笑顔で楽しく仕事ができる環環です。繁忙期以外に残業はほぼなく、休みも取りやすい環境なので、子どもがいる方や、ライフワークバランスをうまくとりたい方におすすめです。島原市民の生活はもとより、自分の生活もよりよいものにしたいと考えている方、ぜひ島原市役所を検討してみてください。

—本日はありがとうございました。

この記事は2024年12月12日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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