自分らしく働く!20年目の職員が語る仕事と人生の充実とは?~人と自然が豊かな島で、未来を創造する仕事~
壱岐市役所で働く中村さんは、SDGs未来課という新規部署で新たな事業づくりを行っています。今回は、中村さんに仕事内容や壱岐市で働く魅力、そしてワークライフバランスについて伺いました。
ーご経歴を教えて下さい。
中村:2005年4月、壱岐市役所に高卒枠で入庁しました。
生まれ育った壱岐島が好きで、この地域に貢献したいという思いが強くあり、高卒後そのまま入庁しました。実は都会が苦手で(笑)。3日もいると疲れて地元に帰りたくなるんです。
入庁したのは、ちょうど市町村合併直後、新しい壱岐市が誕生したタイミングでした。税務課窓口業務からキャリアをスタートし、様々な部署を経験することで行政の幅広い知識とスキルを身につけてきました。
長崎県庁へ1年間出向経験もあります。財政に関する部門で、地方自治体の財政運営の仕組みを深く理解する貴重な機会となりました。
ー現在の仕事内容について、詳しく教えてください。
中村:2019年の4月にできたSDGs未来課に所属しています。役割は、一言でいうと「めちゃくちゃ広い」ですが、主な活動内容は、以下の5つの柱で構成されています。
SDGs推進:スマート農業、遠隔医療、オンデマンド交通、市民対話会、SDGs教育など
再生可能エネルギー:太陽光発電などの導入促進による持続可能なエネルギーシステムの構築
テレワーク・ワーケーション推進:都市部からのワーカー誘致による関係人口の増加と地域経済の活性化
官民連携事業:企業や大学との連携による地域課題解決プロジェクトの推進
地域運営組織「まちづくり協議会」の支援:地域住民による主体的なまちづくり活動の促進
再生可能エネルギーの関係は課長が担当されており、私はSDGs関連のプロジェクトやテレワーク・ワーケーション、官民連携などを幅広く担当しています。
他の2人は、まちづくり協議会という地域運営組織の担当をしています。市内の15地区でそれぞれのまちづくり、つまり地域の人がやりたいことを実現していく活動のサポート業務です。
ーSDGs未来課が作られたきっかけはあるのですか。
中村: 2018年に、第一回の内閣府が選定するSDGs未来都市に採択されたことがきっかけです。そこでSDGs推進を強化するための部署が作られました。
島の基幹産業である1次産業を持続可能な形で発展させていくためのスマート農業の取り組みや、流通の自動化として自動運転やドローン輸送の実証実験なども行っています。
他にも、市民の方々と年に3回ほど市民対話会を開いて、SDGsに関する教育授業を小学校から高校まで行ったり、探求活動のサポートをしたりと幅広いです。市民対話会と探求活動の内容を繋げて、こういう未来を作りたいというアイデアを実現していくための話し合いもしています。
環境面では、再生可能エネルギーや脱炭素の取り組みも。本当に幅広いですね。
ーこれまでの取り組みの中で、特に印象に残っているものはありますか?
中村:先ほど述べたスマート農業の取り組みです。AI技術開発企業、そして農協や農家とともに、アスパラガスの水撒き作業の省力化に取り組んでいます。AIを活用することで、これまで経験と勘に頼っていた作業のデータ化や、農家の負担軽減や生産性向上を目指しています。
実証実験の取り組みは時間もかかり成果も見えづらいため、続けていくことは大変ですが、エンゲージメントパートナーという企業連携の制度ができ、技術や知識を持った有名企業の皆さんと相談しながら課題解決へ取り組むための体制を築くことができました。
ーテレワーク推進の取り組みも教えていただけますか?
中村:島外からのテレワーク、いわゆるワーケーションの誘致です。企業・個人問わず受け入れています。市直営のテレワーク施設が1つありますが、既に満室状態です。
このため、民間事業者のテレワーク施設づくりも支援し、島内に3拠点ができました。島中どこでもパソコンさえあれば都市部と変わらず快適に働ける環境が整っているので、企業の社員研修や合宿でも使用されています。
そこで目指しているのは、関係人口の増加です。移住政策としてワーケーションを推進されることはよくありますが、いきなり移住となるとハードルが高いじゃないですか。なので、まずは観光プラスアルファで仕事を持ってきてもらい、壱岐に長めに滞在してもらう。それで壱岐のファンになってもらって、「自分のビジネスでもっと関わりたい」って思ってもらえる人を増やしていきたい。
移住に比べると、関係人口を増やすっていう取り組みはハードルが低いので、効果が出やすいと思っています。
ーそのような様々な取り組みは各部署とどう連携されているのですか?
中村:複雑化してきている地域課題はひとつの部署だけでは解決ができません。SDGs未来課は、分野横断的なプロジェクトに関する市役所内の横串機能を担っているので、どんなプロジェクトでも「誰がやるの?」となれば、まずは自分たちがボールを拾う。
例えば農林課にはSDGs未来課と兼務している職員が1人いて、その人を窓口にして連携を進めたりと、新しい案件が出てくるたびに都度都度調整をしていく形です。
ー壱岐市役所で働く上でのやりがいを教えてください。
中村:新しいことに挑戦できること、地域のために自分の力を発揮できることが、大きなやりがいです。
また、現在は政策研究として、市の職員のワークエンゲージメントに着目した組織開発にも取り組んでいます。面白い市役所を作っていくために、現市長が推進しているマトリクス型の組織づくりに向けて、エンゲージメントサーベイを実施したり、対話型の組織開発をしたりしています。
そうして他の職員とも話し合い「どうすれば市民からもっと信頼される、市民がやりたいことをサポートできる市役所になるか」を日々考えています。仲間と一緒に、どう変化していくことができるかを考えながら、地域と向き合っていくことは楽しいですね。
ー壱岐市役所の社風について教えてください。
中村:例えば部長、課長という役職でみても、比較的役職ごとの世代が近いです。課長級も同世代が多いですし、すごく仲がいい。若い世代も活発にコミュニケーションをとっていて、風通しがいい職場だと思います。
エンゲージメントサーベイの結果を見ても、コミュニケーション面はすごくいい点数が出ています。
ーワークライフバランスについて教えてください。
中村:私は定時帰宅を徹底しています。子供が幼稚園に通っているのでお迎えにも行かないといけないですし、よほどのことがない限り残業はしないようにしています。
とはいえ、企画を考える仕事は、思いついた時にやった方がいいこともあるので、帰宅後に自宅で仕事をしてしまうこともありますが。
また、趣味の時間を大切にしています。市役所の野球部で野球。バンド活動では、地域のバンドが集まってイベントを企画したり、高校生にライブを企画してあげたり、ボランティア活動などもあります。
お祭りも好きで、地域の行事にも積極的に参加しているので、ワークライフバランスは取れている方じゃないかなと思います。
ー最後に、壱岐市の魅力について教えてください。
中村:壱岐の魅力は、「自分らしく生きている人が多い」ところだと思います。誰かに言われたからじゃなくて、「自分がこれをやりたい」という意志を持って仕事や活動をしている人が多い。そういう人が多いからこそ、みんな幸せそうに暮らしているんだと思います。
気がいい人が多くて、空気感が良いのが壱岐の魅力ですね。不便もないですし、合う人にはすごく合う場所だと思います。移住してくる人もいれば、関係人口として関わってくれる人も多いです。
―ありがとうございました!