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「断らない」をモットーに「見えないゴール」をともに探して~座間市役所の地域福祉課の体制~
神奈川県座間市役所は、市民からの相談を「断らない」ことで知られ、メディアでも取り上げられるほど注目を集めています。そんな座間市役所の地域福祉課に勤務し、地域福祉課で自立サポート相談を担当する吉野 文哉さんにお話を伺いました。
—これまでのご経歴を教えてください。
吉野:大学を卒業後、信用金庫で営業職として4年間働いていました。その後令和2年4月に座間市役所に入庁し、今年で4年目になります。入庁当初は生活援護課に配属され、自立サポート担当として働き始めました。
その後、令和5年4月に組織改正が行われ、現在は地域福祉課自立サポート係として業務をしています。
—どうして公務員になろうと思われたのですか?
吉野:もともと人の生活の役に立てる仕事がしたいという希望があったんです。信用金庫でお金を扱う仕事は、地域密着型で自分の身にもなるし、人のためにもなると思って就職を決めたんです。
ただ、営業職ですのでノルマや利益を考えることも必要で、人の役に立ちたいという思いとの狭間で、自分の思うように提案できないというもどかしさを感じるようになりました。
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そんな時、営業先で公務員の方と出会ったんです。公務員と民間企業の会社員は立場がずいぶんと違うように感じていたのですが、自治体のPRをしたり、税収を上げて住民にサービスを提供したりという点は民間企業と変わらないと知りました。
ただ、住民にまんべんなくサービスを届けるために働くという点は民間企業とは違うということも教えてもらい、公務員に興味を持ちました。
座間市は地元なので、地域に密着して人の生活の役に立つ仕事がしたいという希望を叶えるなら、座間市で働こうと思いまして、座間市だけを受験し今に至ります。
—現在のお仕事について教えてください。
吉野:生活困窮者自立支援制度の相談業務を担当しています。生活に困っている方の全般的な話を聞いて、支援について考えるのが仕事です。また、給付金関連も担当しているので、書類の整備や申請手続きまで行っています。
福祉分野はもともと、全く知見がなかったです。入庁当時はコロナが猛威を振るっていましたから、相談業務が急に増えた時期で、最もニーズが高かった「住居確保給付金」制度を担当し、まずは給付金に関連する業務に絞って仕事を覚えることになりました。
最初は先輩職員にサポートについてもらいつつ、給付金についての知識を武器に、相談業務を受け始めた感じです。
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—地域福祉課の体制について教えてください。
吉野:地域福祉課の自立サポート係には8名の職員がいて、そのうち5名が相談員として働いています。相談員は仕事の相談や住宅確保給付金制度など、それぞれ担当が決まっています。
我々は市の職員ですが、生活に困った方の住居を一緒に探してくれる民間団体さんをはじめ、業務委託している団体さんなど、庁外の複数の団体と連携して仕事を進めています。
業務委託している民間団体さんの数はいくつかありまして、会議を開催してやりとりをしています。会議には7、8つの民間団体に加えて、庁内の別部署からも職員が参加するので、20〜30名の人が集まります。
庁内はもちろん外部とも連携しながら支援を進めているので、その点において座間市役所の仕事は評価されているんですよ。いろんな方に助けてもらいながら仕事をしていると実感しています。
座間市役所の地域福祉課では「断らない相談」をキャッチフレーズとして掲げているので、いろんな方が相談にいらっしゃいます。一つ一つを受け止めて考えながら仕事をしているものの、相談内容が多岐に渡るので自分たちだけで解決するのが難しいこともあります。
でも、民間団体とのネットワークがあることで、困りごとの分野別にサポートを依頼することができています。市の相談員として、いろんな会議に参加して、多くの人とつながりを持っていることのメリットは大きいです。
座間市の社会福祉協議会さんに家計改善支援を委託しており、連携して自立のための方針を立てています。相談員は支援のための舵とりをしているようなイメージですね。
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—座間市役所の「断らない相談」について詳しく教えてください。
吉野:市民の方の中には、市役所に相談しづらいとか、相談したくないとか、そういう方もいます。ですから、市役所への相談のハードルを下げるのが狙い、敢えて「断らない相談」をキャッチコピーに掲げています。
実際に相談は多岐にわたり、何でも受けた上で、該当する部署につないでいきます。例えば税金の払い方がわからないとか、払う目途がつかないとか、そういう相談を受けることもあります。
そういった時には自立サポート係で仕事探しの支援をしたり、解決できるような他の支援がないか探したりしています。部署間のやりとりも多いです。
相談をたらいまわしするということも座間市役所においてはありません。地域福祉課が音頭を取って「包括的支援体制構築ワーキンググループ」という庁内の連携をとるための会議を年6回開いているためです。
私の入庁前からこういった連携体制があり、職員もそうするのが当然だという意識で働いていると思います。
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—これまで印象に残っている仕事はありますか。
吉野:1〜2年に渡って相談を受けていた方がいるんです。仕事をされることを希望されていたものの、事情があって職に就くことができない方でした。生活保護を受けることをご提案したものの、「生活保護は受けたくない」とおっしゃいまして。
でも、やはり事情があって働くことはできず……。それでも、最終的にご本人が納得した上で生活保護を受けることを決断されました。
こんな風に困っている方の相談に乗って、その方の人生の1ページに関わることができたと感じた時、相談業務は魅力的な仕事だと思いましたね。見えないゴールを探すために、年単位の時間をかけて話をして、いろんな制度を紹介していくのは大変です。
それでも、人の役に立つ仕事ができているという実感があり、やりがいを感じています。
—民間でのお仕事との違いを感じることはありますか?
吉野:自分が所属している地域福祉課だけでなく、市役所内のどこの部署でも「断らない」という共通の認識を持っています。協力し合いながら働けるのは、座間市役所のいいところですね。
民間で働いていた時は、他の人もノルマを抱えて働いていたこともあり、お客さんのところに同行をお願いしづらいこともありました。それが、座間市役所では周りの人に相談しやすいですし、上司のほうから「一緒について行くよ」と声をかけてくれるので、とても働きやすいです。
—残業は多いのですか? 普段のお仕事のスケジュールを教えてください。
吉野:担当が相談業務ということもあり、どれくらい時間がかかるか読めないことは多いです。相談を受けた後に事務仕事を行う時は7時頃まで残業することもありますが、周りの職員が状況を見てサポートしてくれるので、自分ひとりで仕事を抱えて困ってしまうことはありません。
特に、最近子どもが生まれて生活が変わったこともあり、基本的には定時で退勤したり、残業しても6時までには終わらせることがほとんどです。
普段は窓口での相談業務のほか、訪問した上での相談業務も行っています。窓口と訪問の相談件数をあわせると、週に4、5件です。1件につき、30分から1時間ほどの時間をかけてお話を伺っています。
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—育児休暇を取得されたとも伺いましたが、どのように取得されたのですか?
吉野:里帰り出産から自宅に帰ってきたタイミングで、2ケ月の育児休暇を取得しました。育児休暇の取得については、係長の方から提案してくれたんです。
その後、家族と話し合い、職員課に相談して制度について教えてもらった上で、係長と課長に育休取得の希望を伝えました。育休を取ることについては部長も気にかけてくれていたようなので、ありがたかったです。
最初に声をかけてくれた係長が「あくまでも家族を中心に考えてください」と言ってくださったのが、うれしかったですね。
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—これからどのような方と一緒に働きたいですか?
吉野:公務員ってマニュアルや法に縛られているイメージがあると思います。実は、自分もそんなイメージを持っていたんです。でも、実際に働いてみた結果、マニュアルにとらわれずに仕事ができる人が自治体には必要だと感じるようになりました。実際に、座間市役所でも縦割り行政を解消するための動きがあります。
「自分の仕事はこれだけ」と決めつけるのではなく、自分の仕事以外にも興味を持ってアンテナを張れる人と一緒に働きたいなと思います。自分の分野ではなかったとしても、できるサポートを考えて実践するのが座間市役所の仕事ですからね。
この記事は2024年1月4日にパブリックコネクトに掲載された記事です。
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