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市民の「当たり前」を支える縁の下の力もち~土木技術職としての働き方~

稚内市役所で土木技術職として働く後藤さんと福井さん。地元で働くことを決めたお二人に、入庁までの経緯や土木技術職としての業務、その魅力についてお話をお聞きました。

—まずは簡単に自己紹介をお願いします。

後藤:私はもともと稚内の出身で、大学卒業後に新卒として入庁しました。大学の時は市外に出ていたのですが、これまで色々と親に迷惑をかけた分、親孝行のためにも親の住む地元稚内で就職をしようと考えていたところ、ちょうど技術職の募集があり、入庁に至りました。平成24年度の採用となります。

福井:私も地元が稚内でして、地元で働きたいという思いをずっと持っていました。市外の大学で技術系のことを学んでいたのですが、稚内市役所で技術職の募集があることを知り受験しました。

私も入庁は平成24年度で、実は後藤と私は同期なんです。最近はお互い落ち着いていますが、入庁当時は他の同期も含めしょっちゅう遊びに行ったり飲みに行くような関係でした(笑)

—お二人とも、土木を学びたいと思ったきっかけとかはありましたか?

後藤:高校生の頃は、特にやりたいことが決まっていたわけではなく、とりあえず大学には進学しようくらいに考えていて、進路担当の先生とは工業系に進んでみたいといった話をしていましたね。

実際に進学し土木関係を専攻する中で、土木関係の仕事も面白いと思うようになってきました。

福井:私も工業系の大学に進学したのですが、当初は建築のことを学びたいと思っていたんです。1年の後期に建築コース、土木コースと分かれるのですが、希望していた建築コースはとても人気が高く、私は土木コースとなりました。そしてそのまま今に至るという感じですね。

—色々と選択肢がある中で、自治体の技術職を選ばれたのには理由がありますか?

後藤:大学生のころ、よく先輩から就職後の話などを聞く機会があり、それこそ民間の土木関係やコンサル関係、公務員といった話を聞いていました。民間の土木関係に就職した先輩からは、長く続かないような人も少なくないという話を聞いていて、自分の中では民間の土木関係は厳しそうだなという印象を持っていました。

地元で長く働きたいと考えていたため、そういった面だと転勤のない公務員が働きやすいのかなと思っていましたね。

ちょうど就職活動に入る時期に、研究室の教授から稚内市役所でも技術職の募集があるぞといった話を聞いたのが受験のきっかけです。

福井:私はとにかく地元で働きたい、という思いを持っていました。大学3年の時、稚内市の採用担当の方が大学まで採用PRに来られて、是非地元出身の方に土木技術職として働いてもらいたい、という熱いメッセージをいただき、受験してみようかなと思いました。

—現在のお二人の業務内容について教えてください。

後藤:港湾空港課という部署で、主に港の整備や区域内の海岸整備、物流関係や工事、維持補修といった業務を担当しています。

福井:私は土木課で、道路の維持管理や整備のほか、河川の維持管理に関する工事にも携わっています。

ちなみに土木技術職の配属先としては他に都市整備課という部署があり、そこでは主に公園管理や上下水道の維持管理などを受け持っています。

—土木技術職といっても、港湾から道路、河川、上下水道までフィールドは様々なんですね。特に稚内ならではと思えるような業務はありますか?

後藤:やはり海沿いで且つ港を抱えているので、港湾関係の業務はここならではの業務じゃないでしょうか。少なくとも内陸では経験することができないですよね。

宗谷岬にも港があるのですが、そこに船を上げ保管する施設を整備したことがあります。

昔はロープやウインチを使用して船を引き上げていたのですが、今ではその施設を整備したことによって機械で引き上げることができるようになりました。

漁の季節以外は船を引き上げて施設で保管しているんです。

他にも海岸関係の工事も受け持っているので、親水護岸といわれる、子どもたちが海に触れあえるような設備を整備したこともあります。

ちなみに、海岸線や護岸の整備というのは国土を守るということにつながっているんですよね。ちょっと大げさかもしれませんが、自分の仕事が国土を守ることにつながっているというのは、やりがいに感じるところかもしれませんね。

—自治体で土木技術職として働く魅力を教えてください。

福井:昔は新しいものを次々整備していくという時代があったかもしれませんが、現在は必要とされるものはすでに整備されているので、将来に向けて今あるものをどれだけ長く使えるようにするか、といった工事が主になるかと思います。

例えば、市民の方が日々使用する道路なんかは、すでに市内に広く張り巡らされているので、それを当たり前に使い続けられる状態に保つといったことが必要となります。

縁の下の力持ちとなって、市民の方々の当たり前を支えられるというのが魅力である一方で、目立った成果を求める人にとってはちょっと物足りないこともあるかもしれないですね。

後藤:そうですね。ただ、たまには大きな事業や工事が舞い込んでくることだってあります。

例えば、現在稚内市では庁舎を新しく建替えている最中です。庁舎の建築自体は建築技師がメインとなっているところですが、建物周辺の駐車場や外構といったところは都市整備課に所属する土木技師が主となっています。

この先何十年も残る大きな仕事ですよね。

福井:市の施設や設備の維持管理や修繕は今後もずっと続いていきます。構造物系に興味がある人にとっては、こういった施設や設備の維持管理も魅力に感じるかもしれないですね。

—入庁前後で、公務員に対するイメージは変わりましたか?

後藤:研究室の教授からは、公務員は比較的楽だといった印象の話を聞いていたのですが、実際になってみると想像していたよりもずっとやることも多く忙しいですね。ただ、いい意味としてはそれだけやりがいのある仕事だと思うことができました。

福井:私は想像していた以上に市民と接する機会が多いと思いましたね。土木技師は庁内で設計だけをしているのかなと思っていましたが、実際には庁外に出ていき、市民と直接触れ合う、直接意見をいただくといった機会が多いと思いました。

意見だけでなく、行った工事に関して直接感謝されることや、喜んでいる姿をみることもできますので、そういったところはむしろやりがいに繋がっていると思います。

—お二人とも稚内市出身とのことで、稚内市の魅力を教えていただけますか?

後藤:ずっと住んでいるのであえて魅力と聞かれると難しいですね(笑)平凡なことかもしれませんが、気候面はとても住みやすいと思っています。夏場に30℃を超えるようなことは滅多になく、風も強い地域なので基本は涼しく過ごすことができますね。エアコンはあまり必要ないかもしれないです。

福井:地震が少ないというのも一つの魅力だと思っています。

また、これは伝わりにくいかもしれませんが、稚内市は除雪が本当に綺麗にされているんです(笑)積雪の季節に、札幌や旭川から訪れた人がびっくりするくらい綺麗です。大きな市町だと、大通りだけ除雪していたり、除雪した場所も段差があったりするのですが、稚内市はそれこそ枝道まですごくきれいに除雪されています。地域性なのか人間性なのか、ここまでやる必要あるか?というレベルですよ。

後藤:海産物に関してもとても美味しいですね。特に宗谷岬のホタテやナマコはお勧めです。出張で本州とかに行って海産物を食べると、地元の方が段違いに美味しいなと改めて感じます。

—最後に、求職者の方にメッセージをお願いします!

福井:管理職を除くと市役所全体で10人くらいの土木技術職がいますが、はっきり言って全然足りていないです。それこそ若い方が本当に少なくて、20代は1人、それより上はもう30代になってしまうので、とにかく幅広い方に受験してもらいたいですね。

知識経験に関しては、働き始めるにあたってはあまり気にする必要もありません。大学でしっかり学んできたとしても、色々と経験しないと知識を現場で活かすことはできません。最初はできなくて当たり前なので、気軽にチャレンジしてみてください。

後藤:私が思うに、自治体土木職の面白さは自分が必要と思う工事が実現できることだと思います。もちろん必要性を理解してもらい、予算をとるといった行程は必要となりますが、民間ではできないような、自分のやりたい工事、修繕をすることができます。

福井:ずっと稚内なので周りとの比較はできませんが、稚内市ではよそから来た人もよそ者として扱われることはありません。出身や経歴は一切関係なく受け入れてもらえるような環境です。

事務職であっても技術職であっても市役所に入ればみんな仲間だと思っていますので、困ったときにはちゃんと守ります!

是非、お待ちしています。

—本日はありがとうございました。

この記事は2024年6月28日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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