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商業施設の運営を手がける!「エキ・キタ」で目指す地域活性〜佐賀県江北町の地域振興課~

宮本 大樹(みやもと ひろき)さん、光武 真吾(みつたけ しんご)さんに、これまでの経歴や地域振興課での「エキ・キタ」事業についてお話を伺いました。

—自己紹介をお願いできますでしょうか?

光武:平成22年に入庁し、今年で13年目になります。県外の大学に進学後は研究をしていたのですが、日頃から自分には向いていないと思っていました。大学院に合格したものの学部卒で地元に帰り、江北町役場の職員募集を知ったのが入庁のきっかけですね。

現在は宮本課長と同じく地域振興課で、振興係と商工係を兼務しています。主に商業や観光業、ふるさと納税を担当していますが、外部の事業者さんやこれまでの仕事で関わってきた人とのつながりも多く、やりがいを感じながら仕事をしています。

宮本:平成10年に江北町役場に入庁をし26年目です。現在はバイパスが通り、周辺にも商業施設がかなり建っているのですが、入庁当時はまだ田んぼが多く町は開発途上でした。

今後発展していく可能性がある地域というところに魅力を感じ、江北町への入庁を決めました。現在は地域振興課で課長をしています。

—地域振興課では、どのような仕事をされているのでしょうか?

宮本:地域振興課は3つの係で構成されており、まず農政係では、農業用機械を購入する際の補助事業の手続きをサポートしています。

商工係・振興係は兼務の形です。地域クーポン券の発行業務や消費生活相談の実施、地域の各種イベントの後方支援などの他、ふるさと納税における新規事業者の開拓や商品開発者対応をしています。

農業委員会では田畑の貸し借りや売買、必要な許認可についての手続き、耕作放棄地の対策を行います。

—令和4年に開業された商業施設「エキ・キタ」に関する施策は、どのような経緯で始まったのでしょうか?

光武:「エキ・キタ」は、その名の通り江北駅の北側にある施設です。令和4年度は江北町制70周年という大きな節目でした。

同じタイミングで長崎方面に西九州新幹線が延伸されたこともあり、佐賀・長崎が大きな注目を集めていたんです。それもあって、駅周辺の賑わいがつくれないかという話が上がり、コンテナショップを整備しようと動き出しました。

元は「肥前山口駅」だった駅名を「江北駅」に改称するという大きな取り組みも同時に行いました。コンテナショップ整備や駅名改称によって駅周辺を活性化し、北口・南口の新たな人の流れを作り出して人が回遊する仕組みをつくる。これを目標に「エキ・キタ」が開業されました。

—コンセプト選定やテナント誘致はどのように進められたのでしょうか。

宮本:江北町の新しいスポットとして、スイーツの店や弁当屋といった飲食店、マッサージ屋など9店舗のテナントが入っています。日常使いというよりも特別感のある商品を中心に取り扱っていることもあり、当初は物珍しさでお客さんも多かったのですが、現在は客入りが減少傾向にあります。そのため、行政としても随時支援を行っている状況です。

光武:私自身はR4年度から「エキ・キタ」担当者として配属され、テナント誘致に携わりました。インターネットで募集をしたところ、9店舗の枠に対して20弱ぐらいのお申し込みがありました。行政だけで店舗の決定をするのは難しく、有識者をお呼びして審査をしながら出店される事業者を決めるという流れでしたね。

—施設運営による集客効果はいかがでしたか?

宮本:月1回マルシェを開催するなど認知度を高める取り組みをしてきましたが、なかなか継続した利用に繋がりませんでした。現在の利用者は近隣の農家や市町の方々が多いので、今後は学生や県外にお住まいの方の利用を増やすというテーマで、店舗の方々とともに策を考えていきたいですね。

光武:私は1〜2か月に一度、「エキ・キタ」組合員の会合に参加しています。これからどうするか、集客するための取り組みとして何をしようか、といったことを情報共有する場で、行政としてできることの提案や取り組み内容の把握に努めています。

—テナントの方々とは、集客に向けてどのように協働を進めているのでしょうか?

宮本:マルシェを開催するときは補助金を出すこともあります。また、来年度は佐賀県嬉野温泉にあるホテルの元番頭さんを、地域振興課の職員として雇用する予定です。アドバイザーの立場として、商業者目線で「エキ・キタ」を見ていただき、店舗改革に取り組んでいきたいですね。

光武:「エキ・キタ」に出店されている店舗の中には、経営自体が初めてで、迷いながらお仕事されている方も見受けられます。プロ目線で経営の助言をしていただければ、私たち役場職員が素人目線で言うことよりもよほど刺さるんじゃないかな、という期待を持っています。

—施設運営における今後の目標についてお聞かせください。

宮本:とにかく集客、売り上げが各店舗で増えていくことが一番だと思ってます。

光武:行政として、さらなる賑わいをつくりたいです。それは、事業者さんからすると「お客さんが来て、儲ける」ということですよね。そんな状況がつくれればお互いにwin-winですから、そういった好循環を生み出していきたいです。

—外部とのやりとりが多いと思いますが、難しさはありますか?

宮本:店舗の方々の意見が、なかなか一本にまとまらないこともあります。不満を面と向かって言うと喧嘩になるので「行政の方から繋いでよ」と、伝書鳩のような存在になりがちな部分は難しいところです。

他にも、居酒屋さんは「喫煙所があった方がお客さんを呼べるよね」となりますが、スイーツのお店としては「喫煙所はない方がいいよね」と、意見が分かれるんです。話し合いで解決できれば良いのですが、会合の場ではなかなか言えず、結果的に行政に投げかけられる。板挟みの状況で組織をまとめていくのはやはり大変です。

光武:一方で、マルシェ開催については「エキ・キタ」組合さんの人脈もあり、そういった方が中心となって自発的に開催企画をしていただいています。店舗の方々の結束力に大変助けられている部分もありますね。

—今後の取り組みとして、すでに決定しているものはあるのでしょうか?

宮本:まずは、先ほどお話にもあったアドバイザーさんに現状を見ていただき、具体的な方法を模索していきたいです。

光武:「エキ・キタ」では3ヶ年ごとに店舗更新が行われるのですが、令和6年度はちょうど3年目。店舗の方々は来年を見据えて考えなければならない状況にあります。行政としてお話をしていきながら、継続か、あるいは次にどういった店舗に入ってもらうのが良いかなど、方向性を決めていくことになりますね。

—面白みややりがいを感じる部分はどんなところですか?

光武:経営者それぞれが違う方向を向いているところの調整はすごく大変です。しかしながら、少しでも同じ方向を向いていただいたり、自発的に「こういう取り組みをしたい」という相談があったときは、賑わいをつくるために自分たちで考えてくださっているんだな、とやはり嬉しいですね。

また、中には「エキ・キタで飯を食っていくぞ」と覚悟を決められた方もいる。その方が精一杯頑張れるような環境をつくることこそ、私たちにできること、しなければならないことなのだとやりがいを感じます。

—休日出勤や残業といった労働環境について教えてください。

宮本:イベントの後方支援のため、土日出勤は結構ありますね。その分、代休や時差出勤などで対応しています。毎年秋頃はイベントが多くなり、住民の方々との打ち合わせが夜に行われることも増えるため、残業も多少発生します。

—町づくりという観点から、今後の展望をお聞かせください。

宮本:江北町はJRの駅を中心とした町であり、また国道においても長崎方面と佐世保方面のちょうど分岐点にあります。そんな江北町ならではの特性に魅力を感じられる方も多いのか、周辺市町村に比べて人口を維持しています。今後も、交通の利便性を押し出したまちづくりをしていきたいですね。

また、地域振興課の役割としては年1回のJR九州ウォーキングや、観光列車でのおもてなしといった事業にも力を入れたいです。

—最後に、江北町の魅力や、求職者に向けてお伝えしたいことはありますか?

宮本:江北町は大変暮らしやすい町です。買い物も、車で10分圏内ぐらいで一通り揃いますし、気候的にも安定しています。求職者の方にはぜひ「エキ・キタ」に関わっていただき、消費者目線で「こういった店舗が欲しい」「こうすればもっとお客様が来るのではないか」といったの知恵をお借りしたいです。

光武:佐賀県の真ん中にあるという強みを生かした町だと感じますね。町内も、田んぼのようなのどかな地域や商業区域、さらに歴史的文化財や景観の良いスポットなどが揃っています。

田舎過ぎず都会過ぎない、暮らすうえで本当に良い塩梅に小さくまとまった町なので、ぜひ一度来ていただき「江北町で働いてみたい、住んでみたい」と思ってもらえたら嬉しいです。

—本日はありがとうございました。

この記事は2024年3月7日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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