地域に密着した仕事ならではのやりがい~釧路町役場で土木職として働く意義~
北海道釧路町役場で土木職として働く増川さんのインタビュー記事です。
釧路町で育った増川さんに、仕事内容から釧路町の魅力、地域に根ざした仕事のやりがいなどについて語っていただきました。
地域のなかで住民の為に働くという、自治体職員ならではのやりがいや魅力がよくわかる内容となっています。
ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。
増川:生まれはお隣の釧路市なのですが、父の出身がここ釧路町だったということもあり、小さな頃から釧路町に住んでいました。なので、釧路町役場自体はよく前を通って見ていましたね。
室蘭にある工業大学を卒業後、平成18年に釧路町役場に一般事務職として入庁しました。
大学で土木を専攻していたため、学んできた事を活かしたいという希望もあり、土木系の分野である都市建設課の施設整備係に配属になりました。
現在は水道課の下水道係で勤務しています。
ーまさにご自身が育った地元で働いているのですね。土木を志したきっかけは何だったのでしょうか?
増川:土木を学びたいと思ったきっかけは、土木そのものというよりも、高校時代に専攻した物理の勉強ですね。元々理数系が好きで、特に物理の勉強に面白さを感じていたんです。そこから大学受験で理数系に進もうと思い、理数系の中でも何かを作るような分野に興味があったので、土木を専攻しようと決めました。
ー理数系の勉強を進めるうちに土木の道に進まれたのですね。公務員になったのも、何かきっかけがありましたか?
増川:土木系の仕事を探していると、公務員という選択肢が思っているよりも多いことに気づきました。私自身、お金を稼ぐことよりも人の役に立ちたいという思いが強かったので、土木職として公務員を目指すようになりました。
ー公務員を目指していたのですね。民間企業や、釧路町以外の選択肢もありましたか?
増川:公務員になりたいという思いが強かったので、民間企業は受験していません。公務員だと、国家公務員や札幌市、そして釧路町を受験しました。
今だとあまり考えられないかもしれませんが、当時は専門職も含め、公務員は応募者が非常に多く、かなり狭き門だったので、結果的にここ釧路町だけご縁があったというところです。
ー採用後、これまでに経験された業務について教えてください。
増川:平成18年度に釧路町役場に入庁し、最初は都市建設課施設整備係に配属されました。施設整備係では、道路、河川、公園などの設計や現場管理といった整備の仕事をしていました。そこで13年間勤務した後、令和元年度から水道課下水道係に異動になり、現在に至ります。
ー具体的にはどのようなことをされていたのでしょうか?
増川:都市建設課時代は、道路、河川、公園の整備を行うのが主な仕事でした。まず、どのような整備をするか計画を立て、コンサルタントに設計業務を発注します。設計書を作成し、コンサルタントと打ち合わせをして、どのようなものを作るかを決めていきます。設計が終わると、今度は工事の発注です。工事の設計書を作成し、業者に発注します。そして、発注が終わったら、落札した業者と協力して現場の管理を行い、完成を目指します。
道路はすでにできている道が多かったのですが、釧路町にはまだ砂利道が残っているところもあり、そういった道路を舗装するといった仕事もありました。舗装する際には、雨水などの排水路の整備もしなければいけません。
河川整備では、自然河川の護岸を整備して、崩れない護岸を作ったりもしました。
公園は、私が入庁した時にはほとんど完成していたので、遊具の更新作業が中心でしたね。古い遊具を撤去し、新しい遊具を設置するといった工事です。
現在は水道課下水道係で、生活排水の整備を行っています。下水道管の整備や既存施設の改修、機器や管の更新などが主ですね。町内にはまだ下水設備が整備されていないところもあるので、新しい管を新設する工事の計画なども行います。下水道係になってからは、施設の維持管理も業務に含まれています。
ー道路や河川と現在の下水道では扱うものが大きく異なるように思えますが、前の配属先での経験は現在活かされているのでしょうか?
増川:地上と地下では作業環境は大きく異なりますが、土木に関する知識や経験はほとんど活かせていると思います。もちろん下水道ならではの知識も必要ですが、これまでの経験がベースになっていると感じますね。
ー増川さんが携わった仕事の中で、特に印象に残っているものはありますか?
増川:都市建設課時代、最後に担当した仕事が一番印象に残っています。「この工事が終わったら異動だぞ」と言われていた仕事だったのでなおさらですね(笑)
市街地に新しい道路を作るというもので、今まで道がなかった場所に道路を作るという大きな事業でした。計画から完成まで、全ての過程に携わることができたこともあり、とても思い出深い事業です。
さらに、その道路と並行してプロムナードも整備しました。30mほどの幅で、キッチンカーが出店したり、お祭りが開催されたりする賑わいのある空間です。道路とプロムナードを完成させたことは、今までの経験では一番大きな仕事でしたね。
ーそれは町にとっても重要な事業でしたね。増川さんが自治体土木職として働くやりがいや魅力を感じるのはどのような時ですか?
増川:自治体で働く魅力は、地域に住む住民の方々のために仕事をしているという実感を持てることです。インフラ整備を通して、人々が快適に過ごせるように、暮らしを良くしていく仕事なので、完成した時に喜んでいただけると、大きな達成感があります。
国や都道府県の仕事とは異なり、例えば道路であれば家の前の道路を整備するので、現場に行くと住民の方と直接お話をする機会も多いです。下水道も同じで、家の排水が流れる場所なので、住民の方と話す機会は多くあります。
現場で住民の方と直接お話ができるのは、地域に密着した仕事ならではの魅力だと思っています。ただ、良いことばかりではなく、苦情やご意見をいただくことももちろんあります。
大変なことも多いですが、それでも住民の方に喜んでいただけた時にやりがいを感じますし、この仕事をやっていて良かったと思える瞬間です。
ー増川さんは、どのような人が自治体土木職に向いていると思いますか?
増川: まず、自治体の職員としては、真面目な人が向いていると思います。これはお堅い人というわけではありません。日々の業務では時間や期日が決められており、パソコンに向かって仕事をすることが多いので、真面目にコツコツと仕事に取り組める人がいいですね。また、住民の方々の目がある中で仕事をするので、責任感も重要です。規則や決まりを守り、きちんと仕事を進められるということが日々求められますね。
一方、土木職としては、外勤も多いので活動的で動くことが好きな人が向いています。力仕事や現場作業もあるので、そういったことが苦にならない人がいいですね。住民の方と現場でお話しする機会も多いので、コミュニケーション能力も大切です。
ー釧路町の魅力について教えてください!
増川:釧路町は、とにかく何でも揃っている町です。農業も漁業も盛んで、自然豊かでもあり、釧路市の隣なので都会的な部分もあります。全ての要素をほどほどに備えているため、悪く言えば中途半端という表現になるのかもしれませんが、私はそのバランスが良いところが好きなんです。
田舎すぎず都会すぎず、とても暮らしやすい町だと思います。
ー最後に、求職者の方々に向けてメッセージをお願いします。
増川:やる気と向上心のある方々にぜひ受験してもらいたいと思っています。福利厚生や安定という側面で公務員になりたいと思う人も多いかもしれませんが、最近では地方創生などもあり、自治体間の競争も激しくなってきています。
これからの釧路町には、この町を良くしたい、発展させたいという強い思いを持って仕事に取り組んでくれる人が必要です。
また、そういう向上心のある人と働けたら、私も昔のようなやる気が湧いてくるかもしれません(笑)是非若い世代のパワーをもらいたいですね。
ー本日はありがとうございました。