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「1回やってみたらいい」働きやすさが何より魅力~子どもの声を尊重した急遽の予定変更は日常茶飯事〜

⺠間の幼稚園での2年間の勤務を経て、令和5年に福岡県朝倉郡筑前町に入庁し、現在は美和みどり保育所で保育士として働く田頭美来(たがしら みく)さんに、自治体の保育士として働こうと思ったきっかけや、仕事の内容、やりがいについてお話を伺いました。

—はじめに、これまでの経歴を簡単にご紹介ください。

田頭:専門学校を卒業後に、福岡県朝倉市にある民間の幼稚園で2年間働きましたが、妊娠と出産を機に退職しました。

その後子育ての期間が4年間ほどあり、子どもを保育園に預けようと改めて働き口を探し始めたのですが、当初は、保育士との両立は難しいと思い、別の仕事に就きました。

しかしそちらで黙々と作業する環境が向いていないことを痛感し、町のこども課の職員から、筑前町の子育て支援センターの保育士の仕事を紹介されて働き始めました。

就学前の地域の子どもたちが、気軽に遊びにこれる場所で、親子が遊んでいる姿を見守ったり、親御さんから相談事や悩み事を聞いたりという業務です。

子育て支援センターでの勤務は、育児休業により生じている欠員の補充であったため、期間は1年間限定でした。そのため、猛勉強の末、期間が終了するタイミングで正規職員の採用試験に応募し、無事採用となりました。

1年目の昨年は1歳児のクラスを担当し、2年目の今年は持ち上がりで2歳児のクラスを担当しています。

—職員の採用試験を受けるための勉強はどの程度していましたか。

田頭:勉強はもともと大の苦手であったことに加え、本格的に勉強することも久々であったため、育児と家事と仕事をしたうえでさらに勉強をするのは非常に大変でした。

また、勉強を続けながら、職員になれたとしても子育てをしながら保育士の仕事を続けることができるのかという不安もありました。時間もなく日々の生活に追われていましたが、そんな状況でもやはり将来のためには今が頑張り時だと自分を奮い立たせて、準備していた3~4か月間はものすごく頑張りました。

子どもが起きるまでの早朝の時間帯と、仕事が終わってから夕方以降の時間帯を勉強にあてていました。子どもがいる家では勉強に集中できなかったため、子どものことは両親に任せて、自分は仕事終わりにそのまま図書館に行き、閉館の9時くらいまで過ごしていました。

仕事のない土日は、朝から晩まで図書館で勉強していました。腱鞘炎になったくらいです。

—すごい努力だったんですね!筑前町以外の自治体も考えることはあったのですか?

田頭:子育て支援センターのセンター長は、とても良い人で私の人生を助けてくれた恩人なのですが、そのセンター長からのおススメをきっかけに受けていたので、他は考えていなかったです。

—現在勤務されている美和みどり保育所の職員や子どもの人数を教えてください。

田頭:子どもは145人、正規職員(保育士)は11人です。各クラスの担任については、各クラスで正規職員と会計年度任用職員がそれぞれ付いている形です。

私が担当している2歳児クラスには28人の子どもがいて、担任4人と補助2人の6人体制で見ています。グループを3つに分けているのですが、そのグループは1週間ごとに入れ替えをしています。メンバーを固定するクラス制とはまた違うやり方ですね。

部屋はそれなりに広いため、それぞれの居場所をある程度の大きさで区切ることによって、走り出してしまわないような落ち着く環境を提供することを心掛けています。

人数を絞ることによって、1人1人の声をきちんと聞くことができるというメリットがあります。恥ずかしがってまだ小さな声しか出せないお子さんもいますからね。

定期的にメンバーの入れ替えを行うことによって、職員にとっても子どもたちにとっても偏りがでないようにしています。

—職場環境はいかがですか?

田頭:非常に働きやすい職場です。まず驚いたのが、若手に早く帰ることを促すような文化があることです。

保育中に外に出る機会が多く、まだ慣れていなかった昨年は、何度か体調を崩してしまったのですが、そんな時はすぐに気付いてくれて「病院に行ってきー」と言ってくれました。早退した次の日も、行きづらいという気持ちになることは全くなかったです。

園長先生も主任の先生も、皆さんフレンドリーで、20歳以上年齢が離れていても非常に喋りやすく、初年度から自分をさらけ出すことができたので、馴染みやすかったですし働きやすかったです。

—雰囲気の良さが保育士としての働きやすさにつながっているのですね?

田頭:そうですね。保育の現場は毎日新しいことが起きているので、緊張している状態だと頭が回らず柔軟な対応ができなくなってしまいます。高圧的な目で見られていると、保育士の仕事は非常にやりにくいですし、間違ったことをしているかなと思ってうまくいかないです。

現在の職場ではどんなことでも「1回やってみたらいい」と言ってくれますし、その結果を報告すると「次はこうしたらいい」と的確なアドバイスをもらえます。こういうコミュニケーションを取れることが何よりやりやすい点です。

たとえば、連絡ノートを毎日書くという慣習は前職にはなかったので、勝手がわからずによく聞いてしまっていたのですが、そういう質問にも嫌な顔ひとつせずに丁寧に答えてくれていました。

—美和みどり保育所の特徴はありますか。

田頭:子どもの声を尊重するところです。子どもがやりたいと思うことをやることができます。子どもたちが「お散歩に行きたい」というと、元々その予定がなかったとしてもお散歩にいきます。外遊びが急遽、泥遊びになることもありました。

—子育ての両立についてはいかがですか?

田頭:うまくできていると思います。

シフト制で帰りが遅くなるときは前もって決まっているので、一緒に住んでいる自分の親に子どものお迎えや食事を頼んでいます。また、子どもの行事がある時や風邪を引いた時には、子育て支援休暇を活用して行事を見に行ったり子どもの看病をしたりしています。

子育て支援休暇というのは、子どもの保育参観や発表会、体調不良の時に備えて、子ども1人につき年間5日まで休める制度です。事由によりますが、1日単位ではなく1時間単位で取得することもできるので便利に使えます。

—早出や居残りの状況について教えてください。

田頭:直近では、1か月に早出は3回、居残りは2回です。翌月の休暇予定を踏まえて、シフトを組んでもらえますので、休暇を取得する時に当番を変わってもらうというプロセスが不要な点もありがたいです。

—教育体制について教えてください。

田頭:園内研修が年に2回あります。研修の内容は、事前に実施されるアンケートに基づいて決定されますので、保育士の皆が求めているテーマが対象になります。つまり、美和みどり保育所で保育を行う中でまさに気になっているようなことを勉強できるんです。

昨年度は、子どもの体幹を鍛えるためのストレッチの仕方と、発達の遅れが気になる子どもへの対応の仕方がテーマになっていました。そのテーマに適した外部の講師が来てくれます。

—現在の職場でやりがいと感じている部分を教えてください。

田頭:去年まで「せんせい」としか言えなかった子どもたちが、今年になって成長して「みくせんせい」と私の名前を覚えて呼んでくれるようになったことは嬉しいことです。

また、美和みどり保育所では年に1回家庭訪問を行っているので、親御さんとの信頼関係も構築できていて、いっしょに子どもを育てていると実感できることにもやりがいを感じています。

—最後に、美和みどり保育所のアピールポイントをお願いします。

田頭:お散歩に行く機会も多い園なので、地域の住民からすごく可愛がられています。地域の人に見守られて育っていってると実感することができます。先日、運動会があったのですが、「いつも元気づけられているよ」と職員の車を駐車するための土地を近所の人が貸してくれたんですよ!

—本日はありがとうございました。

この記事は2024年7月14日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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