35歳での民間から公務員への転職 〜Uターンして、育った地元に恩返しの日々〜
白老町役場で働く日置さん、短期大学進学を機に地元白老を離れていましたが、実親の体調不良をきっかけに、Uターンする決意をしたとのこと。そんな日置さんに、民間経験者ならではの目線で白老町で働く魅力ややりがいについて語っていただきました。
—はじめに、入庁までのご経験について簡単にご紹介ください。
⽇置:小学校4年生の頃から⽩⽼町に住んでいたのですが、短期大学への進学を機に白老を出て札幌に移り住んでいました。短期大学で整備士の国家資格を取得し、卒業後は札幌市内で整備士や営業職として働いていたのですが、令和元年6月に白老町に入庁しました。
—札幌からUターンをしようと思ったのはどういったきっかけだったのでしょうか。
私は長男だったため、札幌で働いているときもいずれは両親の面倒をみるために白老に戻るのかな、といったことは常に頭の片隅では考えていました。
そんな中、2018年に親が体調を崩したことをきっかけに、白老に戻ることにしました。
ただ、その時は木材メーカーの営業職として働いていたのですが、会社に相談したところ、白老に移ってそのまま職を続けさせていただくことができましたので、その時点では転職するといったことはありませんでした。
—そこから公務員に転職されたきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
⽇置:白老に戻ってからも、何のために働くのかということを日々考えていました。営業であれば利益をあげることがそれにあたるのですが、やはり、仕事をする以上は誰かのためになりたいという思いがあって、その最たるものが公務員ではないかと思っていました。
そんな中、妹の友人から役場で求人が出ているということを聞き、募集要項を調べてみたところ35歳の自分にもまだ公務員として働くチャンスがあるということがわかり、それからすぐに応募して、無事入庁することができました。
—働きながらの転職活動だったかと思いますが、試験対策は大変でしたか?
⽇置:⽩⽼町の試験は、一次試験が適性検査と一般教養の試験で、二次試験が面接でした。仕事をするなかでの転職活動でしたので、基本的には夜間と休日を試験対策の時間にあてていました。
実際のところ、受験しようと決めてからの準備期間は1か月ほどしかなかったので、大変ではありましたが、気持ちさえあれば何とかなると思います(笑)
—入庁後の経歴と仕事内容を教えてください。
⽇置:入庁後の最初の配属はアイヌ総合政策課(現・政策推進課アイヌ政策推進室)でした。5年ほど所属していました。アイヌという名前のついた課がある市町村は北海道でも数えるほどしかないと思います。
白老町内にあるアイヌ関係団体の事業対応と町内に8つある生活館の維持管理をしていました。また、伝統的な生活空間を再生するためのイオル再生事業という取組みも担当していました。小学生と一緒に鮭の狩猟を体験するなど、アイヌ文化を学ぶ機会を提供していました。
令和6年の4月に、総務課⼈事秘書グループに異動となり人事グループのリーダーとして、採用活動や職員の体調維持や給与管理を担当しています。
具体的な業務内容としては、まず給与の支払いに関する業務です。ミスがないように各手当も計算して期日までにきちんと給与を支払うために課の職員で作業を進めています。嬉しい日だった給料日が、異動してからは緊張感のある日に変わりましたね(笑)支払いにミスがないかといったことで一日中ドキドキしています。
また、職員数の管理としては、町民数が年々減少する中で、どのような職員を何人採用するのかといった計画など、将来に向けた準備を進めています。
—入庁されてから比較的短期間でグループリーダーになられているかと思いますが、白老町の人事制度としては一般的なことでしょうか。
⽇置:直近の人事においては主査に昇格し、グループリーダーとなる職員が多かったように思います。年齢的には30代後半から40代前半に該当する世代ですね。自分でも短い期間で主査に昇格したことに驚いています。
—これまで経験した白老町ならではの業務を教えてください。
⽇置:白老町にはアイヌ文化が色濃く根付いています。これまでに町としてアイヌ文化に関する様々な取組みをしてきました。その歴史があったからこそ、白老町にウポポイ(民族共生象徴空間)ができたのだと思います。これからも先人たちの思いをずっと継承していくのだと思います。
そういった背景があるなかで、やはりアイヌ政策推進室の業務は白老町独特のものだと思っています。白老町の子供たちにアイヌ文化への理解を促進する取組を多くやっていますが、そういったアイヌ文化に関する取組に関わることができたことは非常に嬉しいですね。
毎年夏休みには、小学校の教員を対象とした、アイヌ文化の研修といったものも開催しています。白老町以外の教員も参加していて、子供たちにどのようにアイヌ文化を伝えるのか、ということをテーマにしています。
—白老町職員として働くことの魅力ややりがいを教えてください。
⽇置:役場の仕事は必ず誰かの役に立っているので、そこにやりがいを感じることができると思います。
誰かのために働きたい、というブレない思いがある方にとっては、役場の仕事が一番向いているのではないかと思いますね。
白老町の生活といった面では立地的に雪が少ないことが特徴です。意外に思えるかもしれませんが、一回も雪かきをしないで冬を越すこともできるくらいです。そういう意味では、非常に暮らしやすい町ということができます。
さらに、札幌まで1時間程度で行くことができますし、千歳空港にも45分程度で行くことができます。田舎町ではありますが、プライベートを充実させることができる町であることは間違いないです。
個人的な話になりますが、4歳の娘を楽しませるために日々色々なところに出かけています。特にポロトミンタㇻという白老駅北観光インフォメーションセンターには、無料で遊べる白いトランポリンが置いてあり、子どもはずっと遊び続けていますね。混雑もなく穴場だと思っています(笑)
—入庁にあたり、前職で養ったスキルや経験は活かされましたか。
⽇置:第一に社会人枠での採用は即戦力となることが求められていると思っていました。ですから、一から何かを学ぶというより、自分が今まで培ってきた経験をどのようにすれば活かせるかということを中心に考えていました。
とはいえ、最初に配属された課の上司は仕事の進め方や仕事の内容を丁寧に教えてくれました。そのおかげですぐに職場に馴染むことができました。
業務に必要な知識についてはどうしても勉強する必要はありますが、人とのやり取りというコミュニケーション部分についてはすぐにでも力が発揮できると思っていました。
実際、アイヌ関係団体の皆さんと一日中打ち合わせが続く日もありましたので、過去の経験を活かすことができたと思います。
—入庁前後で自治体職員に対するイメージは変わりましたか?
⽇置:これはもうガラッとイメージが変わりました(笑)1つ1つの取組みについて民間よりも細かいところに対応しながらも、幅広い業務に対応しなければならないという点は入庁後に気付いた自治体職員の大変さですね。
一方で、福利厚生がしっかりしているという点についてはイメージしていたとおりでした。そのおかげで、安心して仕事に集中することができると思います。
—現在は採用する側の立場ですが、採用活動をするうえで大切にしていることはありますか?
⽇置:白老町の採用情報について、少しでも多くの人に目にしてもらう、知ってもらうことが重要だと思っています。
私の場合、白老町が職員を募集していることを知ることができたのは、ラッキーだったと思いますし、もし知ることができなかったら全く別の道を進んでいたかもしれません。
また、私自身もそうでしたが、中途でも公務員になれるということを多くの人に知ってもらいたいと思います。
—求職者の方に、メッセージをお願いします!
⽇置:よくやりがいという言葉が使われますが、私の場合には、育った白老町に恩返しできるということがモチベーションになります。役場の仕事は全てが何らかの形で町民の役に立っているので、このモチベーションが下がるということはありません。
また、両親がいる白老町に帰ってきたことで、漠然とした不安や心配がなくなり、仕事一本に集中できる環境を生み出すことができました。
私は白老町に戻り、地元のために働いている現状にとても満足しています。
いつか地元に戻りたいと思っている方、そして公務員を目指している方も、是非チャレンジしてもらいたいと思います!
—本日はありがとうございました。