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自分の力を試したい若手職員求む!〜頑張る人が報われる大阪府和泉市役所での働き方とは?~

大阪府和泉市役所は、2024年度より職員の給与制度を大きく改革いたします。初任給を全国トップに引き上げることと、年功序列による昇給を見直すことなどが注目される中、人事担当の尾郷森太郎さんに、その人事制度の概要や詳細についてお話を伺いました。

—和泉市の新しい給与制度の特徴を教えてください。

尾郷:2024年度より、日本の地方公共団体の中で一番の格付けとなる初任給と、上司と部下の給与が逆転しない設計をしているところが特徴です。

現在は、他の自治体でも使われている国家公務員に準じた給料表を採用していますが、改革後は係長以上の職階の職員については、上司と部下の給料が逆転しない、つまり部下が年上であっても、年下の上司の基本給の方が必ず高くなる給料表を作りました。

そのため、若くして昇格をした場合は一気に月額基本給が上がります。他の地方公共団体の場合、上がっても数千円程かと思いますので、その辺りは和泉市の給与制度は特徴的かと思います。

ただ、初任給が高かったり、上がり幅なども特徴的だったりはするのですが、一度も昇格しないで定年となった場合は他の地方公共団体よりも給料は上がらない設計にして、全体の給与費の調整をしております。

給与の水準を示す「ラスパイレス指数」というのがありまして、100.0を超えると国家公務員よりも給与水準が高いことを示すのですが、和泉市は現在でも100を下回っていますし、新しい制度を取り入れても100は上回りません。

市民の方から理解をいただきつつ、議会にも可決いただけないと成り立ちませんので、この点は配慮し制度設計を行っております。

—新しい給与制度への移行時期はどのように対応するのですか?

尾郷:新しく入ってきた方に対して高い水準の初任給を出し、今働いている職員の給料を下げることはなく現状維持する必要があるので、一時的には総人件費は上がります。

およそ5年後に現在と同程度の総人件費に落ち着き、以降は今よりも少なくなる見通しです。

—このような制度設計の背景には若手職員を抜擢していこうという意図が感じられます。

尾郷:若手の抜擢は今後もさらに進んでいくかと思います。

もちろんこれまでもこの制度改革とは関係なく、若手でもやる気のある職員へ責任あるポジションへ配置はしてまいりました。

さらに、給与制度だけではなく評価制度も同時に改革しているので、人事評価で高い成績を取った職員をさらに抜擢していくかと思います。

—どのように評価制度を改革されたのですか?

尾郷:給料が上司と部下で逆転しないというルールの中では、誰をどの職に就けるかが非常に重要になってきます。

頑張っていると誰もが評価される職員が役職に就く、という環境にならないと、職員が納得しませんし、支持されないような給与制度です。そこで一番重要視したのが人事評価です。

今までは「とてもよくできる/よくできる/できる/やや劣る/劣る」という5段階評価でした。これですと、人の考え方や感覚で変動してしまうので「できた/できなかった」の2段階評価に変更しました。

評価項目も、シングルバレル形式にしています。例えば「”市民の人権を尊重して”、”丁寧な対応をしている”」という聞き方を、ダブルバレル形式というのですが、これですと「市民の人権を尊重してる」ことと「丁寧な対応してる」ことの二つの問いが含まれているので、片方だけできる場合評価することができません。

定量的に判断しやすいような評価項目にして、回答項目をイエスかノーかの2択にすることにより評価のぶれをなくすようにしました。

さらに、複数の上司が職員に対して評価を行う際にチェックする仕掛けを作りました。

今までは係長の評価をするときには課長補佐が1次評価をし、その評価を参考に、課長が2次評価をするという方法でしたが、新制度では課長と課長補佐がお互いの評価を見ずに、それぞれが評価します。

その評価を合わせた際、一定の割合以上ずれが生じた場合は、次長から見解がずれている箇所を指摘し、2人で調整するよう指示します。

どこが違ったのか、なぜ違ったのか、どういうところを見て評価したのか、を確認し、評価の目線合わせをした上で最終評価を決めます。

部下から上司への評価を点数化して処遇に反映することに関しては、将来的には考えていますが、まだ実現は難しいところですね。

ただ、部下からの評価をさらに評価対象者の上司に共有することによって、参考程度にはなりますが、マネジメント能力の判断材料にはなりますね。

—事務職員の他に様々な職種があると思いますが、評価項目は同じなのですか?

尾郷:事務職、技術職などについては、共通の項目にしています。ただ、消防職であったり保育士など専門的な職種については、そもそも業務内容が大きく異なりますので、来年度以降にも引き続き検討していく予定です。

—「定量的に判断しやすいような評価項目」はどういったものなのでしょうか?

尾郷:例えば「和泉市を誇りに思っているか。」「理念を唱和できるか。」「ITパスポートを取得しているか。」「研修に行ったか」といったようなものなどがあげられます。

しかし、こちらに関しては非常に難しくより定量的評価を取り入れている民間企業ですら各社が常に試行錯誤している点です。

我々もそこを調整しながらできるだけ「何が本当にできたのか」という実績が評価できるような項目を追加しつつ、どんどん変え続けていこうと思っています。

ー異動や出向についてはいかがでしょうか?

尾郷:事務職員は原則10年以内に3つの部署に異動します。大卒の新卒入庁の場合、最短で32歳で係長に昇格できるので、10年で区切っています。

内部管理系、窓口業務、事務処理系、市民の方と折衝する部門など、庁内には様々な部門があるので、全く異なる業務を3つ経験してもらった上で、その後の自分のキャリアを考えていってほしいという思いがあります。

昨年度までは1部署に3年以上所属している人、かつ係長以下は異動希望が出せるという制度にしていました。今後は部長以外の職階については毎年、必ず異動希望を出すようにしたいと思っています。自分が今後どういう道を歩んでいきたいかを自分で考えて異動希望を出してもらいたいですね。

昇格を目指さないで、ずっと係員や係長として働くのであれば専門性を持って、強い分野を極めて専門職みたいな感じで勤めていくという道もあります。

全ての異動希望が叶うわけではないんですけれども、ある程度は応えていけるようにしたいなとは思ってます。

出向に関しては、現在内閣府と環境省へ派遣しており、庁内の公募で決めています。国へ出向すると経験値が上がって帰ってきますので、出向の人数も増やしていきたいと考えています。

—副業ルールについても教えて下さい。

尾郷:副業によって経験値を上げることは、和泉市や和泉市役所に貢献できる人材育成的な面で有効であると考えています。基準は設けつつも、個別事例に合わせて広くやっていきたいですね。

自己研鑽や地域貢献につながるのであれば、和泉市と直接関係ない仕事もできます。例えば私は堺市に住んでるんですけれども、堺市の地域活動も許可する予定です。

—資格の補助制度について教えてください。

尾郷:ITパスポートや自治体法務検定など、資格を取った人に報奨金を出しています。今までは資格の報奨金は受験料ほどしか支給できていなかったんですけれども、今後はテキスト代、試験代、交通費程度の金額を出せるようにします。

また、係長に早期に昇任する要件として、指定の資格を取得するという項目も追加しました。

—制度の設計や決定後の説明など、職員とはどのように関わっていったのでしょうか?

尾郷:制度設計のための外部有識者の懇話会が令和5年の1月で終わり、その後プランの案を作成しました。この段階で職員への説明会を複数回行った上で職員アンケートを取りました。

反対意見が多いところを修正し、令和5年の8月に最終的な実行プランを作り、議会の同意をいただきました。

現状の給料を下げることは抑えたのですが、今後昇給しない職員も出てきますので、そういった批判はありました。逆に、これはやる気が出ますと言ってくれる若手社員もいましたね。

頑張る職員が良かったなと思える制度にすることが出発点だったので、そういった声を聞くと、まだまだこれからではありますが、いい方に向かうのかなって思いますね。

細かいところの制度設計は今継続中で、令和6年4月(2024年度)からスタートに向けて詰めています。

—どのような人材に応募いただきたいですか?

尾郷:本当にシビアな制度になったと思いますので、和泉市で自分の力を試したいと思える方にご応募いただきたいですね。

制度の詳しい情報は、和泉市の公式ページにもあるので、そちらもご参照ください。

https://www.city.osaka-izumi.lg.jp/kakukano/kousitu/jinjika/gyoumu/jinjikyuuyokaikaku/index.html

—本日はありがとうございました。

この記事は2024年4月4日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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