訪れる度にどんどん変わる!「アートと街が身近にある」街〜青森県十和田市へのUターンを決めた理由〜
大学卒業後民間企業で接客業に従事し、令和5年度に青森県十和田市に入庁した小笠原 悠衣さんに、民間企業から公務員への転職のきっかけ、故郷である十和田市へのUターン、そして公務員として働くやりがいについてお話を伺いました。
—はじめに、入庁前の経歴を簡単にご紹介ください。
小笠原:私は生まれてから高校までを十和田市で過ごし、大学進学を機に上京しました。大学卒業後は2年ほどカフェのバリスタや、ホテルのフロントスタッフとして働いていました。
—その後公務員になろうと思ったきっかけは?
小笠原:まず、帰省する度に十和田市の街並みがどんどん新しく変わっているなと感じたことです。私が思う十和田市の魅力のひとつが「アートと街が身近にある」ところなのですが、街がアート作品でどんどんカラフルになっていっていく感じがありました。
また、十和田市には「十和田市現代美術館」という美術館があり、周りもどんどん華やかになっていったり、おしゃれなカフェや居酒屋も増えていったので、若者が住みやすい街になっているなと。
行政の方の「心から十和田市を盛り上げたい」という想いが伝わってきて、私もその一助になりたいと思い、十和田市の試験を受けました。
—十和田市の採用試験の内容や対策について教えてください。
小笠原:試験内容は、教養試験や専門試験のほか、作文や集団討論、個人面接がありました。集団討論は7人1組で、ひとつのテーマについて討論するというものです。
試験対策は面接の際に話す力が必要だと思い、当時勤務していた会社で接客をたくさんこなすようにして培いました。接客業では「相手が何を聴きたいのか」「どんな要望があるのか」を把握する力が身につけられたと思っています。
—現在所属されている課の仕事内容についてご説明お願いします。
小笠原:私が在籍している市民課は、住民記録係と戸籍係の2つの係があります。
住民記録係は、転入や転出などの住民異動届出の手続き、各種証明書の発行や印鑑の登録、マイナンバーカードの手続きなどを行い、戸籍係は出生届や婚姻届、死亡届などの届出手続きを行っています。
私は住民記録係でマイナンバーの申請受付から交付までの一連の事務を行っています。顔写真撮影のお手伝いをしたり、市役所で申請した方たちの申請書を国に送付したり、交付する前のカードの処理や手続きをしたり、月初にはマイナンバーカードの取組実績を県に報告したりしています。
その他にも来庁できない方のために、職員が申請された方のご自宅に伺って写真撮影と申請のお手伝いもしています。
また、住民記録係は窓口当番の時間帯があり、たとえば午前中が窓口当番の場合は午後に事務などの他の業務を行うといった体制になっています。なので事務も窓口対応もそれぞれの仕事に集中できるようになっています。ただ、繁忙期はどうしても窓口が混み合ってしまうので、全員で窓口に出ることもあります。
—入庁後の教育・研修体制はどのようになっていましたか?(庁内・課内それぞれ)
小笠原:庁内全体では、前期・後期と2回研修がありました。具体的には公務員としての働き方や、先輩職員との対談で十和田市の公務員として働くためのお話を聞いたんですね。
私は入庁した当時どんな風に市役所職員として働くかのイメージがまだできていなかったのですが、働き方のイメージが鮮明になったのと、不安に感じていた部分を研修を通して学ぶことで安心して仕事に就けると感じました。
また、研修前の私はすべての課の仕事を覚える必要があるのではないかと思っていたんです(笑)。市民課は色々な課への案内をしたり相談を受けたりすることもあるので、最終的にはすべての課の仕事内容を把握する必要はあるのですが、1年目にどんな目標をたてればいいかを先輩職員の皆さんが実体験を交えながら教えてくれたので、1年目の目標が立てやすかったです。
次に市民課の教育体制ですが、私が配属された当時は繁忙期の真っ最中で、とても忙しかったこともあって手取り足取り教えていただくというのは難しかったと思うのですが、限られた時間中でもひとつひとつ丁寧に教えてもらえていました。
「わからないことがあったらいつでも訊いていいよ」という雰囲気が常にあったので、忙しい中でも安心して働くことができました。
—入庁する前と後とで、市役所で働くことへのギャップを感じたことはありますか?
小笠原:あります。もっと公務員の方達って「堅い」というイメージがあったので、うまく受け答えができなかったりコミュニケーションが取れなかったらどうしようと思っていたのですが、入庁してみると皆さんとてもフランクに接してくださるうえに頼り甲斐のある方達が多いなと感じました。
それはうちの課だけでなく、他の課の方と関わる際にも共通していますね。皆さん明るくてフレンドリーで、それは入ってみないとわからない嬉しいギャップでした。
—市民の方と接する際に意識していることはありますか?
小笠原:人それぞれに合わせた対応を心がけています。急いでいる方には急ぎつつも漏れがないような対応を心がけたり、お年寄りの方にはゆっくり丁寧に対応したり、といった感じです。
窓口には多様な方がいらっしゃいますが、まずはその方に寄り添って会話するようにしています。時に対応が難しいこともありますが、そういった場合は上司に相談して指示を仰ぐようにしています。
また、上司もそういった空気を察して一緒にその方のお話を聞くということもあったので、非常に心強かったです。
—そのほか、働く中で意識をしていることはありますか?
小笠原:まず「期限は守らなければいけない」ということですね。当たり前のことですけど(笑)。かならず期限内に事務を終わらせられるように心がけて、それでも厳しいときはすぐ周りに相談するようにしていました。
住民記録係は、1・2年で係内での仕事が変わるんですね。なので自分の仕事だけでなく他の仕事もわかる人が多いので、自分が初めて行う仕事でわからないことがあれば周りの職員に助けていただいたり、欠員が出た際は全員が一丸となって助け合いながら仕事をしています。
—現在のお仕事で面白さややりがいを感じたことはありますか?
小笠原:まずは窓口対応をしていて、市民の方に喜んでもらえたときはこちらも嬉しかったです。相手からの「感謝」を受けたとき、とてもやりがいを感じますね。
また、市主催のさまざまなイベントにも参加する機会があるのですが、これまで自分が得られなかった経験や体験ができて、そこもやりがいに感じます。
たとえば、十和田市では全国相撲大会を開催していて、そこで進行放送を任せてもらったことがあったのですが、これまで行事に積極的に関わる機会もなかったですし、放送業もそういった職業に就かないかぎり携わることはなかったと思うので、非常に良い経験になりました。
—民間企業での経験は公務員の仕事にどのように活かされていますか?
小笠原:学生時代からアルバイトを含め接客の仕事をいくつか経験していたのですが、バイトリーダーを経験した際に教える力というのは培われたかなと思っています。今年度から私が2年目になり教えることが多くなったのですが、仕事を教えるときに役立っていたらいいなと思います。
また、「相手の立場になって考える」というのは接客をしていなくても身に付くことだとは思いますが、接客業を通してより深く身についたのかなと。
—今後どのような職員を目指していきたいですか?
小笠原:まずは今の自分の仕事を人に教えられるレベルまで研鑽を積むことです。そして、市民課の仕事だけでなく他の課ではどのような仕事をしているのか、どんな制度や支援があるかなどもしっかりと把握した上で、最終的には十和田市の魅力を積極的に発信できるようになりたいですね。
—最後に、小笠原さんから見た十和田市とはどんな街ですか?
小笠原:自然が隣にある豊かな街なのですが、同時にさまざまな年代の人が遊べたり快適に過ごせたりする街だと思います。街の中心には買い物する場所がたくさんあって不自由がないですし、少し足を伸ばすと奥入瀬渓流や十和田湖があって、そういった大きな自然が身近にあるというのが、十和田市の魅力だと思います。
自然がすぐ近くにあるので、子育て世代の方にとってもお子さんを育てる良い環境なのではないでしょうか。また、日常生活での移動が困難な人でも利用できる循環バスなどが走っているので、車がなくても過ごしやすい地域だと思います。
最初にもお話しましたが、十和田市もどんどん街が新しくなっていって、私たちのような若者が過ごせるカフェや居酒屋なども増えていますし、美術館でもさまざまな催しが行われたり写真映えするようなアートが飾られていたりするので、今後もそういった良さを活かしながら十和田市を盛り上げていきたいです。
—本日はありがとうございました。