県で働く「林業職」とは?~新潟の自然を守り、災害に強い森林へ~
新潟県庁で林業職として働く富樫さんのインタビュー記事です。幼い頃から自然に囲まれた環境で育ち、林野庁職員である父親の背中を見て林業職を志した富樫さん。
そんな富樫さんに、林業職としての業務内容に加え、市町村ではなく「県」という組織で働く魅力ややりがいについて伺いました。
ーまずはご経歴について教えていただけますか?
富樫:父が転勤族だったため、生まれは村上市ですが、一番長く育ったのは新潟市です。新潟市にある専門学校を卒業後、臨時的任用職員として2年間、村上地域振興局農林振興部に勤務しました。そこで林業の仕事を経験し、新潟県の林業職員を本格的に目指そうと思いました。
任期満了後、改めて新潟県庁の正規職員採用試験を受験し、平成31年に入庁しました。
入庁後は、佐渡地域振興局農林水産振興部に3年間勤務し、主に林業振興業務に携わりました。現在は、南魚沼地域振興局の森林施設課で、森林施設整備業務に携わっています。
ー林業職を志望したきっかけは何だったのでしょうか?
富樫:父が林野庁職員だったことが大きいですね。幼い頃から自然豊かな場所に連れて行ってもらい、様々なことを教えてもらううちに、自然と密接に関わる仕事に就きたいと思うようになりました。そして、気づけば父と同じような仕事に就きたいと思うようになったのがきっかけです。
ー就職活動はどのように進めましたか?
富樫:実は、専門学校在学中は新潟県に林業職があることを知りませんでした。就職活動中に、学校の先生から新潟県に林業職の仕事があると紹介していただき、そこで初めて知りました。
幼い頃から公務員に憧れてはいましたが、実際の仕事内容は経験してみないと分からないと思い、まずは臨時的任用職員として2年間働いてみました。そこで改めて林業に携わる魅力を知ることができ、今の仕事に繋がっています。
ー林業職の業務内容について詳しく教えていただけますか?
富樫:大きく分けて「林業振興業務」と「森林施設整備業務」の2つがあります。林業振興業務では、木を植えて、育てて、伐採して使って、また植えるというサイクルをつくり、森林を整備することで将来にわたり木材を利用できるようにすることが主な仕事です。
森林施設整備業務では、治山ダムなどの防災減災施設の整備や、森林の多面的機能の発揮に向けた森林施設整備業務を行っています。森林は適切に育てることで、木材生産だけでなく、森林の土壌や根による土砂災害防止や水源かん養など、多くの機能を持っています。その機能を発揮させるための業務が、私たちの仕事です。
治山ダムというとあまり聞きなれないかと思いますが、砂防ダムのようなものをイメージしていただくと分かりやすいかもしれませんね。小さなダムを段々に複数整備することで、土砂の移動を抑制し、荒廃した森林や渓流の復旧を図っています。
ー現場に出向く機会も多いかと思いますが、現場ではどのような業務を行うのですか?
富樫:現在は森林施設課に所属しているため、工事の設計書作成や発注、そして現場監督をしています。事前調査の時にも現場に行きますが、工事が始まってからは主にこの「現場監督」として現場に出向いています。現場監督と聞くと、常に工事を監督しているようなイメージを持つかもしれませんが、工事の進捗確認や、受注者さんへの指導・指示、そして想定外の事態が発生した場合の対応などを行っています。また、現場の方がスムーズに仕事ができるように様々な調整を行います。
ーこれまでに携わった業務や事業で、特に印象に残っているものを教えてください。
富樫:自分が担当した治山ダムの工事が完了した時に、地域の方々から「この治山ダムがあれば安心だ」「地域のみんなも感謝している」といった言葉をいただいたことが、一番印象に残っています。
自分が設計し、受注者さんと共に整備したものが地域や県民の皆様のために貢献していると実感しました。
ー市町村と県では、林業職としての業務にどのような違いがあるのでしょうか?
富樫:市町村はより地域に密着した業務を行っているのに対し、県は市町村の要望を広く聞きとりまとめ、対応を検討する立場にあります。また、市町村から各種事業に関する相談を受けることも多く、そういったものを指導しながら業務を進めていきます。また、扱う工事の規模や金額も、県の方が大きいことが多いですね。
ー県庁での働き方について、入庁前後でギャップを感じたことはありますか?
富樫:私は特に大きなギャップはありませんでした。入庁前に臨時的任用職員を経験していたこともあり、概ね予想通りの働き方という印象でした。
ただ、業務量という面では想像以上に多く、大変だと感じています。林業職は技術職なので、高度な専門知識や技術が必要とされ、経験しないと分からないことも多いです。山の現場は1つとして同じものはなく、現場の状況に合わせて対応していく必要があるため、常に学ぶ姿勢が求められます。
一方で、補助金の申請手続きといった事務的な業務も多いため、実際に抱える業務としては皆さんが想像しているよりも幅広く、量も多いと思います。
ー新潟県で働く魅力はどんなところにあると思いますか?
富樫:大きく分けると3つありますね。
1つ目は、自然が豊かであることです。海も山もあり、多様な動植物が生息しています。新潟でしか見られない生き物もいますよ。自然と親しめる環境は、新潟県で働く大きな魅力だと思います。
2つ目は、新潟県が縦に長く、移動距離が長いことです。これは一見デメリットのようにも思えますよね(笑)ただ、それだけ縦に長い分、同じ県内であっても様々な地域を経験できるというメリットがあります。多様な場所を見たり、経験を積むことで、自分自身の成長にも繋がります。
3つ目は「食」です。皆さんもご存じのとおり、新潟県には美味しいものがたくさんあります。海鮮なら佐渡、お米ならコシヒカリ、お酒なら日本酒と、どれも有名なものばかりです。美味しいものに囲まれて働くことができるのも、新潟県で働く魅力の1つだと思っています。
ー最後に、林業職を目指す方へのメッセージをお願いします。
富樫:常に異動が付きまとうのが公務員ですが、1つの場所に留まらず、異動を通じて様々な経験を積むことができる公務員は魅力的だと思います。その中でも、山や森林に囲まれながら業務を行う林業職は、自然が好きな方にとって、とても良い仕事だと思います。
また、様々な経験を通じて自分を高めたいという方にも、おすすめできる仕事です。
林業に興味のある方は、ぜひ新潟県庁で一緒に働いてみませんか?
ー本日はありがとうございました。