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相談業務からイベント企画、講師活動まで!〜自由度が高くクリエイティブに活躍できる、千葉県佐倉市の保健師の働き方とは?〜

佐倉市役所の健康推進課で保健師として働く浅沼さんに、業務内容や新人でも安心して働ける職場環境、やりがい、看護師業務との違いや経験が活かされた場面などをお聞きしました。

ー ご経歴を教えてください。

浅沼: 入庁前は重症心身障害児(者)の病棟や小児科病棟で、看護師として8年間勤務していました。元々地域保健分野に出たいという気持ちがありましたが看護師の仕事にも関心があったため、病院で働き始めました。思った以上に病院での看護師の仕事も楽しく、8年間働いていました。

ー なぜ自治体の保健師を考えられたのですか?

浅沼: 病院では入院中の支援はできますが、対象の方が実際に生活するのは、病院ではなくその方の地域(自宅)です。次第に、対象の方の生活の場である地域での支援に携わりたいと思うようになりました。

訪問看護師と悩みましたが、疾病を予防する視点で健康な時からの健康づくりに関わることができる点や、個人だけでなく地域単位での健康づくりができることに魅力を感じ、保健師を選びました。また、小児科で勤めていたこともあり、母子保健分野での子育てや生活の支援にも関心がありました。

佐倉市は出身地と近くて、子供の頃からふるさと広場に家族でサイクリングに行くなど親しみがありましたし、自然が豊かで好きな地域でもあったので、働いてみようと思いました。

ー 入庁してからどのような業務に携わってきましたか?

浅沼: 平成31年の入庁当初は、健康増進課の成人保健班に配属され、健康相談や精神保健、禁煙指導・受動喫煙対策などの事業を担当していました。母子保健分野も担当し、家庭訪問や幼児健診での保健指導をしていました。

今年からは健診班に所属し、主に子宮頸がんや乳がん検診の実施に関する業務や、受診率を上げる啓発、がんの早期発見のための健康教育をしています。

ー今所属している課の体制と人数、役割分担を教えてください。

浅沼: 健康推進課は、総務企画班、成人保健班、健診班、予防接種班に分かれており、健康づくりの推進に関わることを行っています。具体的には、佐倉市小児初期診療所や休日夜間診療所に関すること、生活習慣病などの保健指導、精神保健、健康診査やがん検診に関すること、感染症などの予防を目的とした予防接種に関することなど、幅広い業務をそれぞれの班で行っています。

課には課長と班長、そして私たち職員がいます。事務職と専門職が配属されている部署で、保健師や栄養士、歯科衛生士、言語聴覚士などの専門職が半数以上を占めています。

ー 1年の流れを教えてください。

浅沼:現在の担当では、検診が始まる時期が6月から7月のため、5月に市民の方に検診を受けるための受診券を発送します。それに伴い、検診受診に関する市民の方からの相談やお問合せが多くなります。検診実施に関しては、随時、検診業者や医療機関と連携しながら進めています。

10月以降は、現在の担当である、乳がん・子宮頸がん検診が始まるため、検診の現場リーダーや、待ち時間での健康教育などの業務が増えます。12月頃には翌年の検診の日程調整などがあり、3月~4月には受診者数などの分析や評価を行います。

今まで担当していた精神保健の業務では、研修会や講演会などを企画する業務があり、年間で決まったスケジュールはなかったため、班内で相談しながら年間スケジュールを決めていました。事業の実施時期や企画の内容などを自分自身で検討できる分、計画を早めに立てないと実施が遅れてしまうため、スケジュール管理はとても大事でした。

また、精神保健の一環として自殺対策も担当しており、国が定めた自殺対策強化月間や自殺予防週間に合わせて講演会などを設定するなど、よりPRしやすい日程で年間の事業を組んでいました。

ー 1日の流れや残業、休日など働き方について教えてください。

浅沼: 検診を実施していない時期は、定時に仕事が始まり事務仕事が多いですが、検診が始まると、シフト制の出勤で早く出勤することもあります。検診現場など外に出る日はあまり事務作業ができないので、数日単位で予定を立てています。残業は自分の仕事の進捗状況次第ですることはありますが、頻度は多くありません。仕事の後には、友人と食事に行くなどリフレッシュをしています。

また、有給休暇は計画的に取得しています。市役所全体で休暇取得が推奨されているので、休みをとりやすい雰囲気があります。

ー 現場に出ているときはどのような1日ですか?

浅沼: 例えば、以前の班では、他の保健センターでの相談日や市民向けの教室などがありました。午後の事業の場合には、11時頃から早めにお昼休憩をとり、12時頃に車で移動、会場の設営等を行い、13時頃から参加者の受付が始まり、事業を行います。

外に事業に出た際には、16時30分~17時頃に事務所に戻ることが多く、片付けや事業の記録などを行った後、帰宅していました。

また、先日は、市民からのご依頼で、乳がんの早期発見についての講義をしました。講義では、乳房の自己チェックの方法などを伝え、市民の方にも模型を使いながら体験してもらいました。

ー 保健師の方が講師をする機会は多いですか?

浅沼:自分たちで企画している教室や、公民館で市民が参加する事業のほか、企業などから依頼を受けて講義をする機会もあります。担当している業務に応じて誰が講師をするか、保健師間で決めています。

新人の時には、まず先輩の講義を見学し、次に実践してみるという形で進めます。実践前には、内容の確認やデモを行うこともあります。また、必ず先輩が一緒につき、終わった後にフィードバックを行っています。私もそのように指導を受け、徐々に慣れていきました。

ー 業務の中で、印象に残っていることはありますか?

浅沼:昨年、市の健康増進計画「健康さくら21」の改定に携わったことです。自分の担当分野の計画を一から見直し、アンケートの分析結果から傾向を把握し、国の施策と照らし合わせながら、必要な項目を計画に盛り込んでいきました。このような取組みに責任感を強く持って関わることができたため、完成した時には嬉しく、印象深かったです。

また、母子保健事業や精神保健を担当した時は、電話や家庭訪問で相談に乗ることもあります。悩みを抱えている方などの相談を聞き、少しでも解決できるように介入する支援は、看護師時代にはなかった経験です。日常生活の中で本人が良い状況で過ごせるようにサポートすることは、奥が深く、長期的な支援になるので非常に難しく感じますが、その分対象の方との関係づくりが徐々にできるなどやりがいも大きくとても印象深いです。

ー 難しさを感じた場面にはどう対応しましたか?

浅沼:ケース支援は、市役所内の関係課や県の関係機関などと連携していく必要もあります。初めはどこと連携すれば良いかなどの知識がなく、分からないことも多かったのですが、保健師間で相談し助言を受けながらひとつずつ覚えることができました。

判断に自信が持てない時でも、常に保健師間や上司と相談しながら解決策を見つけていけるので、難しい対応も一人で抱え込まずに対応することができました。

ー 職場は相談しやすい雰囲気ですか?

浅沼: みんな明るく、面倒見が良い雰囲気です。班長や課長も相談しやすいです。

ー 保健師の仕事の面白さや魅力は何ですか?

浅沼:公務員の仕事の印象は、決められている仕事内容も多いのでは、という印象を持っていましたが、実際には、自分で企画を進める事業や、事業がより良くなるように検討していく機会が多くあります。

例えば、精神保健に関する研修会の事業を企画した際は、コロナが流行していた折で、全国的に若年者の自殺者数が増えた時期でした。学校などにおけるこども達の生活様式にも大きな変化があったので、「保護者や思春期のこどもに関わる大人」を対象に、ゲートキーパー(こどものこころのサポートをする人)の研修を行いました。このように、時代の流れや健康課題を考えながら事業の企画をしています。一から事業を行うことの難しさを感じながらも、楽しく、魅力の一つと感じます。

企画が形になり、多くの方が参加してくださるとうれしいですし、アンケートで「とても勉強になった」「自分の生活に取り入れたい」といった声を聞くと、大変やりがいを感じます。こうした事業を自分で考え実施できることは、看護師時代にはなかった仕事でもあり、楽しいですね。

ー 他に、看護師との違いを感じる場面はありますか?

浅沼:市役所は優しい人が多く、最初は驚きました。看護師も優しい方は多いですが、私が社会人になった当時はやや厳しい雰囲気がありました。

また、病院では、目の前の患者さんに対して即座に判断して対応しなければならない場面が多く、患者さんとの関われる期間も退院までと限られたものでした。一方、市役所では長期的な視点で支援をする場面が多くあります。対象の方の将来的な生活を踏まえて支援していくことはもちろん同じですが、看護師は身体の支援とその後の病気の付き合い方のサポートを行い、保健師は生活環境や家族関係、金銭問題など、より視野を広くもって生活の支援する違いを感じます。

あとは、業務の進め方やスケジュール管理についても違いを感じました。看護師の仕事は1日の中でどのようにタスクをこなすかという短期的な優先順位が求められます。一方、市役所の仕事では、複数のことを同時に進めながら長期的なスケジュール管理が求められます。看護師のときには無かったことなので、初めはとても難しく感じました。

ー 看護師時代の経験が活かされた場面はありますか?

浅沼:市民の方から相談を受ける際に、看護師の仕事で人の話を聴くことや医療の知識について慣れていたので、スムーズに対応ができました。また、「この人にとって何が課題か」「地域にとって何が課題か」といったアセスメントの考え方は、看護師時代に培ったもので、今でも自然とできています。

ー 保健師の教育体制について教えてください。

浅沼:千葉県で作っている、「千葉県保健師現任教育マニュアル」を元に指導が行われます。キャリア別に各段階において、期待される能力が具体的に示されています。どのキャリアの段階でも、求められる能力のチェックを行います。

また、実際には新人1人に指導担当の先輩が1人つくので、指導や相談に乗ってもらうことができます。年間で自分の目標を立て、最終的に1年を通しての振り返りを指導担当の保健師と上司がしてくれます。

人前で講義をする事業や家庭訪問に行く場面では、初めは必ず指導担当の先輩保健師、又は班の先輩が同行し一緒に行動するので、徐々に覚えていきながら、安心して仕事を進めることができます。

ー 浅沼さんは、新しい保健師が入ったらどう仕事を引き継ぎますか?

浅沼:保健師の仕事には法律として決まっている部分と、市民の健康問題をアセスメントしてより良い方法などを考えて事業を進めたり、個別の支援をしたりするものがあります。

法律で決まっている部分については、何を根拠にして事業を行っているのかを勉強できるように、まずはその方法など基本的なポイントを伝えたいと思います。

健康問題などをアセスメントして事業などを進める点については、まず新人の方がどう考えているのか思いを聞きます。その上で、どうすればより良くなるのかを一緒に考えながら進めていけたらと思います。

ー 佐倉市の特徴は何でしょうか?

浅沼:高齢者の人口が多く、広報などの情報を見て事業に参加してくださる方が多いです。お電話での問い合わせも高齢者の方からが多いです。

働き世代の方の健康づくりも進めたいのですが、仕事をしている、子育てに忙しいなど、情報が届きにくいという課題があります。そのため、市のイベントや教室に来ていただく機会が少ないのが現状です。子宮頸がんや乳がんの検診でも、若い人の受診率が低いです。これからは、若い人や働き世代の健康づくりにもっと力を入れていきたいと考えています。

例えば、受診を勧める情報提供の工夫や、検診が受けやすい環境の整備、他の保健師が行っている事業と連携するなど、工夫をしていければと思います。

ー 今後やってみたい仕事や目指す職員像はありますか?

浅沼:小児科で働いていた経験があるので、母子保健分野でのケースワークや子育てに悩む家族の支援もしたいです。職員としては、周産期から子育て期、成人期の健康、高齢者の介護予防、精神疾患を持つ方の支援など、幅広く保健師の役割があると思いますが、ひとつひとつの分野は、違うようで繋がりが大きいと思うので、連携をして支援や体制づくりができる職員になりたいと思います。

ー 最後に、佐倉市を目指す方に一言お願いします!

浅沼: 佐倉市は働きやすい環境で、プライベートと仕事の両立がうまくできると思います。また、先輩たちが親切に教えてくれるので、私自身働いていても安心できますし、新しく来る皆さんも安心して働けると思います。また、仕事の中でやりたいことについて、上司もサポートをしてくれるので、仕事へのやりがいがあります。

試験については、特に保健師の方は行政や社会分野の問題が難しいと感じるかもしれません。私も働きながらだったので、試験対策があまりできなかった部分もありましたが、少しずつ勉強することで合格に近づくのかな、と思います。

なお、令和6年度からは、私が受験した通常の試験に加えて、公務員試験対策のいらない先行枠試験が始まりました。私のように働きながら公務員を目指したい方や、民間企業と並行して就職活動をしたい方でも受験しやすくなりましたので、ぜひ多くの方に受験していただきたいと思います。

ー ありがとうございました。

この記事は2024年6月28日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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