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「社会福祉士にしかできない仕事はない」からこそ市民の声に耳を傾けて~和歌山県紀の川市~

和歌山県紀の川市役所、福祉部長の嶋田雅文さんと、地域包括支援センターで社会福祉士として働く徳山郁紘さんにお話を伺いました。

—おふたりのこれまでのご経歴を教えてください。

嶋田:平成元年に、合併して紀の川市になる前の桃山町役場に入庁しました。平成17年に合併してからは、紀の川市役所職員として働いています。入庁した当初から、長きに渡りデータのシステム業務を担当。その後は税務課で、資産税に関わる業務に携わっていました。

平成27年に福祉分野に異動になり、今年で9年目です。子育て支援福祉部門で6年、社会福祉部門の生活保護担当部署で2年働きました。現在は福祉部長として働いています。

徳山:桃山学院大学社会福祉学部で社会福祉を専門に学び、卒業と同時に社会福祉士の資格を取得しました。その後、大阪にある老人保健施設で相談員として就職したのですが、いつかは地元の紀の川市に戻りたいと思っていたんです。地元に貢献したいという思いがありまして。

就職して6年が経った時、紀の川市役所の求人募集が出たんです。老人保健施設ではずいぶん経験を積みましたし、行政側から提供する福祉にも興味があり、チャレンジすることにしました。紀の川市役所で働き始めて、今年で8年目になります。

—今回募集する社会福祉士が所属する予定の部署はどのようなところですか?

嶋田:所属していただくのは福祉部です。社会福祉士は正職員が5名、会計年度職員が3名の計8名が働いています。年齢層としては30〜40代の社会福祉士が多く、長きに渡り働いてくれています。

また、社会福祉士以外にも、保健師や助産師、手話通訳士など、福祉に特化した専門職の職員が在籍し、連携して働いています。今回は、既存のメンバーに加えて新しく複数名の社会福祉士をお迎えしたいと考えています。

と言いますのも、コロナ禍以降、児童虐待や生活困窮などの問題が増えているんです。福祉部には、社会福祉課と地域包括支援センターを含む高齢介護課、障害福祉課、こども課等の5つの部署があり、新しく入庁された社会福祉士はこのいずれかの部署に配属される予定です。

本来、福祉部の中で数年ごとに異動してジョブローテーションを組むのが理想なのですが、現状は人手不足のため1つの課で長い期間働く職員も少なくありません。新しい職員が増えることで、ジョブローテーションを組んだり、現状では手が回らない細かい部分の業務にも取り組めるようになると期待しています。

—選考内容について教えてください。

嶋田:通常は三次選考まで行っているのですが、今回募集する社会福祉士の場合に限っては二次選考までにする予定です。一次選考は筆記試験で、今年からテストセンターでの適性検査を実施しています。二次選考は筆記の専門試験と面接等を行います。

面接は私も担当する予定です。これまで面接してきた中で素敵だと感じたのは、飾らずに素直にお話してくださる方々でした。ですから、面接の型にはまった話し方ではなく、素直にお話していただけるといいですね。

—紀の川市役所の福祉部はどのような職場ですか?

嶋田:福祉部は横の繋がりがとても密な部署です。これは地域共生社会を実現するためにも重要な点だと思います。職員間の連携を大事にしているので、ひとつの家庭を社会福祉士が単独で対応するのではなく、課をまたいでいろんな職種の職員と一緒に対応することも多いです。このような職場環境ですから、働きやすいのではないかと思います。

—社会福祉士として働く徳山さんの現在のお仕事について教えてください。

徳山:採用されてから昨年まで、社会福祉課で生活保護担当のケースワーカーとして働いていましたが、今年度からは高齢介護課が管轄する地域包括支援センターの配属になりました。20名以上が働いている地域包括支援センターでは、私を含めて3名の社会福祉士が働いています。もう一人社会福祉士が所属しているのですが、現在は育児休暇を取得中です。

地域包括支援センターでは、高齢者の総合相談窓口としての役割を担っています。とはいえ、地域包括支援センターの所属だからといって高齢者だけに焦点を当てるのではなく、支援が必要な人を適切な支援に繋げるのが仕事です。高齢者の問題を解決するだけでなく、世帯全体を見る必要があるんです。

例えば、高齢の親と50代の子どもの2人暮らしの世帯があったとします。親は認知症であり、子どもは引きこもり状態で仕事ができないという家庭です。高齢者向けの対策としてケアマネージャーさんがサービスのプランを立てますが、引きこもりのお子さんに対しての支援も必要ですよね。このような場合には、お子さんに対する支援を行う課の専門職と連携して支援に繋げるんです。

部長からの話にもあったように、社会福祉士が1人で対応するのではなく、チームで連携する体制ですね。地域包括支援センターを外部に委託して運営することもできるのですが、市役所の直営で運営していることもあり、連携がとりやすいのが強みだと思います。

普段は訪問に出ることが多く、外出しない日は月のうち3、4日程度です。高齢者支援のための訪問だけでなく、地域の福祉事業所さんや地域の見守りをしてくださる民生委員さんなど、連携を取るためにいろんなところに出かけていきます。また、地域包括支援センターでは一般の方向けに高齢者を支えるための研修会を開催することもあったりと、仕事は結構忙しいです。

でも、直接市民の方と接する機会もあり、その方の相談に乗って、頼られると嬉しいです。もちろんプレッシャーもありますが、困りごとが解決できた時にはやりがいを感じますね。

—紀の川市役所で社会福祉士として働くやりがいを教えてください。

徳山:前職の高齢者施設では「入所している方の生活をどうしていくか」がメインで、施設での生活や在宅復帰に向けての支援をおこなってきました。それが行政の立場で働き始めると、例えば施設を出た方が地域でどのように生活していくか、地域で生活している人の暮らしを安心できるものにするためにはどうしたらいいのかを考えて働く方向に変化しました。

社会福祉士は、生活で何らかの困りごとを抱えている人の不安や問題を解消するために、適切な支援につなげるのが仕事です。前職で携わっていた高齢者だけでなく、障害者や子育て世代、生活に困窮してお金に困っている人などの福祉に関わるようになり、社会福祉士として広い目で業務に携わるようになったと思います。

「人を見る」という点においては前職と同じではあるのですが、市の職員なら支援に繋げるための制度や条例にも影響を与えやすいと感じています。人を助けるための制度作りにも携われるのは、行政だからこそと言えるでしょうね。また、個別の支援だけでなく、市民全体に向けた啓発が行えるのも行政として働く醍醐味だと言えると思います。

—どのような方に来ていただきたいですか?

嶋田:社会福祉士としての実務経験があればベストですが、資格さえあれば業務未経験でも応募していただけます。若い人を育てていくというのも私たちの使命ですから。先輩の社会福祉士が教育しますので、先輩と一緒にいろんな業務を経験して経験を積んでいただきたいです。

また、相手の話を聞ける「聞き上手」な方だといいですね。今在籍している職員も、住民の方々のお話をじっくり聞く能力に長けているんですよ。傾聴は行政として最も大切なことですし、特に福祉分野には必要だと思っているので、私自身も時間をかけてでもまずはお話をしっかり聞いています。そうでないと、相手が何を望んでいるかを知ることができませんから。

徳山:市民の福祉のために役に立ちたいという思いがある人と一緒に働けたらいいですね。そういった思いがあれば、技術や知識は後からついてくるものだと思うんです。

医療行為は医者や看護師、保健師さんしかできませんが、社会福祉士には「社会福祉士でないとできない」という仕事はないんです。極論ですが、相談者の意向に沿った支援に繋げるというのは「市民のために役に立ちたい」という思いがあれば誰にでもできる仕事だと思います。

社会福祉士として必要な勉強は後からいくらでもできます。ですから、市民の福祉のために役に立ちたいという思いが一番大切だと思います。

ー本日はありがとうございました。

この記事は2023年12月4日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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