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子どもたちが安心して生活できる環境をつくる、児童自立支援員

沖縄県与那原町役場で児童自立支援員として働く泉水さんに、業務内容や働き方、仕事のやりがいなどをお聞きしました。

ーご経歴をお聞かせください。

泉水:大学を卒業後、民間企業4社で働きました。最初は居宅介護事業所に就職し、ヘルパー派遣に関わる事務的な業務を担当していました。

その後、結婚や出産、子育てといったライフスタイルの変化に伴い、家庭と仕事の両立ができるよう、パートタイムで仕事を続けました。子育てしながら働くことの葛藤や難しさを感じながらも、自分が社会に貢献できる存在でありたいという思いがずっとありました。

そして、県立高校の事務補助の仕事を8年間勤めました。窓口対応する中で、経済的に苦しい世帯や、困難な状況にある子どもたちがいることを知りました。子どもたちは親の現状をあまり知らず、親もそれを言い出せないという状況を目の当たりにしました。

しかし、落ち込んでいる子どもたちも、こちらから効果的な声かけをすることで、笑顔を見せてくれました。それをきっかけに、保護者と連携を取り、子どもにどう声をかければよいかを考えることが重要だと感じました。

こうした経験から、困っている子どもたちを支援していきたいという強い気持ちが芽生え、現在の「児童自立支援員」という仕事に応募し、令和2年に与那原町役場へ入庁しました。

ー現在の仕事について教えてください。

泉水:現在は子育て支援課に所属し、児童自立支援員として働いています。経済的に困窮している世帯や課題のある世帯に対する支援、小中学生の不登校生徒の支援や学校・関係機関との連携、町内の子ども食堂・居場所運営に関する業務を担当しています。

子どもが少しでも笑顔になり、子どもたちが安心して生活できる環境を整えるために、一緒に問題を解決していくことが私の仕事です。

放課後の児童館や子ども食堂などを訪れて、スタッフと連携しながら、子どもたちの見守りをしています。

また、子どもを取り巻く家庭や環境にも目を向けています。学校で困り事がある場合、その子が直接言えないことがあれば、私が一緒に学校と話をすることもあります。

保護者への支援も大切にしています。例えば、子育てや経済的な悩みを抱えている方が窓口に来所した場合、お話を聞き、解決に結びつくように手立てを一緒に考え、必要な機関に繋げます。

ー子どもや保護者といった、様々な方と接する中で意識されていることはありますか。

泉水: まずは相手がどういう方なのかを知ることから始めます。人見知りの方もいれば、人が好きで積極的な方もいるので、最初の距離の取り方がとても大事だと感じています。

子どもと接する際には、まずは、「最近どう?」と聞くなどして、ゆっくりと心を開いてもらいます。信頼関係を構築することから始め、徐々に心を開いてくれたら悩みを聞きます。

子どもと保護者どちらに接する時も、傷つかないような言葉の選び方や前向きになってもらえるような言葉選び、表情や態度にも気をつけています。

ー子どもへの接し方において、子育て経験は活きていますか?

泉水: 自身の幼少期の経験や子育ての経験から、ちょっとした声かけや工夫で子どもが前向きになることを知り、それを保護者にも伝えています。

兄弟でも性格が全く違ったりするので、それぞれに合った接し方を工夫しています。言葉にして伝えるよりも、文字や絵を示して伝える方が効果的な子には、メモを使って解りやすく伝えるなどしています。

このように、支援対象の子どもたち一人一人に合った最適な方法を見つけて接するようにしています。

ー今のお仕事をされる中で、与那原町ならではの地域性を感じることはありますか。

泉水: 与那原町は、小学校が2校、中学校が1校のコンパクトな町なので、学校との連携が取りやすいところが強みです。一方で、地域に根付いているので、どこに行っても知り合いが多く、地域の方々に知られることに対して抵抗を感じる方もいます。

私が関わっている子どもの居場所を運営しているスタッフは、与那原町で生まれ育ち、子育てをしている方が多くいます。地域の子どもたちが安心して過ごせる場所を作りたいという気持ちで活動している地元の人が多いのも地域性だと思います。

ー職場は相談しやすい雰囲気ですか。

泉水: とても相談しやすく、助けてもらっています。同僚や上司には本音や葛藤を伝えることができますし、しっかりと受け止めてくれます。また、お昼休憩には子育ての話など他愛もない話をしてリフレッシュしています。

支援をしていると、簡単に解決しないことも多く時には心が折れそうになることもありますが、上司や同僚に恵まれているので、根気強く支援を続けることができています。

ー仕事上の情報共有や課内の連携はどのようにされていますか。

泉水: 私が所属している相談班では、月に1回の支援連携会議を開催しています。そこでアドバイスが欲しいケースについて相談します。

緊急性のあるケースや重要なケースはその都度報告・連絡・相談を行い、スムーズな支援ができるようにしています。

現場に出向き、状況を把握し、必要な対策を上司に確認しながら進めます。他機関とも日頃から連携しているので、スムーズに問題解決することができます。

ー今の職場の1日の流れ、残業や休日について教えてください。

泉水:1日の流れとしては、9時15分に業務を開始し、午前中はデスクワークが中心で、後は子どもたちが放課後に過ごす場所に出向いています。そのほか家庭訪問や、他機関との会議を行い、17時15分に退勤します。

残業はほとんどありませんが、面談が長引いたり、緊急性がある場合は残業になることもあります。

ー仕事のやりがいについてお聞かせください。

泉水:大変なことや上手くいかないこともありますが、支援を続ける中で、子どもたちが笑顔になったり、保護者に「ありがとう」と言ってもらえる瞬間があると、本当に頑張ってよかった、支援してよかったと思います。それが一番の魅力であり、やりがいに繋がっていると感じています。

ー現在の仕事の中で、印象に残っている出来事はありますか。

泉水:中学校から不登校で、高校に進学したものの、再び休学して引きこもりがちになってしまった子がいました。その子はオンラインゲームに依存しており、保護者は何とか外に出てほしいと望んでいました。

時間はかかりましたが、少しずつ信頼関係を築き、その子が「変わりたい」「高校を卒業したい」「アルバイトをしたい」「バイクの免許を取りたい」「勉強がしたい」と言えるように変わっていきました。

今では自分の意見をしっかり伝えることができ、高校にも再入学しました。人は変わることができる。いつからでも遅くないと感じることができたケースでした。これは私自身の自信にも繋がりました。

ー新しい方が入ったらどのように仕事を教えていかれますか。

泉水: 私も最初はこういった仕事は未経験でしたが、当時仕事を教えてくれた方が子どもとの関わり方が上手だったので、見て学びながら仕事を覚えていきました。

新しく来た方には、まず与那原町の地域性を知ってもらい、連携先と顔つなぎをしていきます。その後、少しずつ仕事を任せていきます。その方の得意な分野や知識を活かしながら、私も学び、より良い支援ができるように協力していきます。

報告・連絡・相談が密に取れないと、うまく連携が取れず、支援が違う方向に進んでしまうことがあるので、それらをしっかりできる方、子どもの様子をしっかりキャッチしてくれる方が来てくれたらと願っています。

ー最後に、与那原町を目指す方に一言お願いします。

泉水: 与那原町民が安心して子育てができ、子どもたちが安心して過ごせる環境を一緒に作っていける方が来てくれたら嬉しいです。

この記事は2024年9月4日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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