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人をみる、人をつなぐ。一人ひとりの生き方に寄り添う保健師〜長野県軽井沢町・看護師からの転職〜

看護師や研究職を経て、長野県軽井沢町の保健師を務めている飯塚 友美さんに、軽井沢町の保健師の魅力や今後の展望についてお話を伺いました。

ー入庁までのご経歴や、保健師を志したきっかけについてお聞かせください。

飯塚:短大卒業後、神奈川県の大学病院で12年間看護師をしていました。

保健師を志したきっかけは、看護師時代の経験です。入院患者はみんな「家に帰りたい」と口にしていました。ならば、病院に来ないで済むよう、健康維持や病気予防に関わる仕事をしたいと思いました。自分の視野も広げたかったこともあり、大学に編入し保健師の資格を取得しました。人生で一番真面目に勉強しましたね。

そのまま大学院に進んで、皮膚の色による健康状態の測定についての研究に携わり、海外で論文発表も行いました。

その後、平成31年に軽井沢町に入庁し、現在は保健福祉課地域包括支援係に配属されて6年目になります。

ー入庁後の教育体制についてお聞かせください。

飯塚:特定の教育担当者がついていたわけではなく、先輩に都度質問したり、訪問に同行したりして、背中を見て学んでいきました。

また、制度や介護保険の勉強は、入庁後に研修会や本で自発的に取り組みました。介護保険制度をちゃんと理解していないと、住民のお悩みを解決できないので、介護支援専門員の資格も入庁後に取得しています。

ー現在の具体的な業務内容についてお聞かせください。

飯塚:介護予防に関わる業務がメインで、主に認知症予防教室の開催、口の健康や体操を促すフレイル予防施策を行っています。ケアプラン作成やサービスの調整、ご本人・ご家族の相談受付も保健師としての業務です。

また、生活支援体制整備事業にも携わっています。介護保険は国によるルールがあり、お金を出してヘルパーさんに支援していただく“制度のつながり”という側面が大きいですよね。生活支援体制整備事業では、地域の人の支え合いによってお困りごとを解決していくための仕組みをみんなで考えます。制度だけではない、“人と人とのつながり”をつくる取り組みです。

ー現在のチーム体制や、チームの雰囲気についてお聞かせください。

飯塚:保健福祉課は福祉係、高齢者係、健康推進係(保健センター)、私の所属する地域包括支援係(地域包括支援センター)の四つに分かれています。地域包括支援係は係長(課長補佐)と主任介護支援専門員、社会福祉士2名、保健師2名、管理栄養士の7名体制です。

専門職が揃っているため、それぞれの視点から相談内容の解決に向けて一緒に考えられる良いチームですね。お困りごとをたくさん聞いていると、ときには自分が苦しくなることもありますが、チームのみんなに相談し、課長も交えて支援方法を検討します。

ー町役場内での連携も多いのでしょうか?

飯塚:福祉係や高齢者係との連携は多いです。連携で気を付けていることは、悪い報告だけでなく、利用者の状態が良くなった報告も伝えながらお願いするように意識しています。「この人からのお願いなら聞いてもいいかな」と思ってもらえる保健師でありたいですね。

ー業務の流れについてお聞かせください。繁忙期や残業はあるのでしょうか?

飯塚:認知症予防教室の準備や訪問、利用者やサービス事業者との電話対応がメインです。専門職との退院前カンファレンスや警察との情報共有などもあり、1日があっという間に終わりますね。ご相談があればその都度向かうので、訪問の回数は多いです。急な訪問要請があった場合には時間外勤務で対応します。

年度初めは事業の委託や起案の決裁といった業務も多いです。年度末は来年度の事業の進め方を調整するほか、支払いなどの事務作業が発生します。

ー大変だと感じる業務はありますか?

飯塚:看護師のときは、医療知識がある方のみとの関わりでした。一方、役場では「この事業がいかに必要か」ということをみんなに理解してもらうことが大切です。わかりやすい起案を作ることが求められるので、やはり大変ですね。

業務がスムーズにいくよう、私たちの取り組みを知ってもらうことも大事ですよね。オレンジカフェ(認知症カフェ)に町長をお招きし、利用者が楽しんでいる姿を実際に見てもらうこともあります。

ーやりがいや面白さを感じることについてお聞かせください。

飯塚:いろいろな職種の人と関われることがこの仕事の魅力です。コンビニの店員さんや地域の民生委員、介護支援専門員、警察や消防などさまざまな人とお会いする機会があり、職種の違いから学ぶことも多いんですよ。

たとえば、認知症の可能性があり車の運転が難しいというケースの場合、警察としては免許証を無理に奪うことはできない。でも、医療的には運転はやめた方がよいとされるんですね。立場が異なれば考えも異なる。そんな場面を経験して視野が広がり、スキルアップにつながっています。

また、困っている人を支える地域づくりの一環として、見守りチームをつくったことは心に残っていますね。たとえば不便な地域で独居されているご高齢の方のケースでは、日頃から地域の方や訪問看護師、ご家族によるサポートを受けて生活されていたのですが、支援者はお互いにどんな関わりをしているのかわからない状況でした。

そこで支援者の皆さんに声をかけて、どのような関わりをしているか共有する場を設けました。それぞれの想いを知ることができましたし、「もっとこういう会議を進めていきたいね」と言ってもらえたときは嬉しかったですね。この仕事で大事なのは、人と人とをつなぐことだと強く感じました。

ー看護師の仕事とのギャップや、共通点を感じる部分はありますか?

飯塚:病院には、治療という目標を持った患者さんが来院されます。一方、地域包括支援センターではまず「どんな生活を送っていきたいのか」という希望を聞き取るところから始めます。その方の人生観や価値観に寄り添いながら、地域資源を活用して生活を支えていく必要があるので、答えは一つではなく、最初はもどかしかったです。

だからこそ、話をよく聞くことを心掛けました。身体の異常は検査で明確にわかりますが、気持ちって目に見えるものじゃないですよね。その方の人生を深掘りしていく部分は、看護師との違いだと感じます。

一方、病院のカンファレンスで医療用語や病名を聞くと、治療方針や経過がなんとなくわかるのは看護師経験があるからこその強みですね。また、看護師として患者さんをみることと、保健師として地域の方の変化を観察する部分は共通していると思います。

ー保健師として働く中で感じる軽井沢町ならではの良さや、町そのものの魅力についてお聞かせください。

飯塚:軽井沢町役場は直営の地域包括支援センターは一箇所だけなんです。直営だからこそ、顔を覚えてもらえる機会が多いですね。他の係との連携もとりやすいですし、困ったことがあればすぐに相談し合える。そんな“顔の見える関係”は、軽井沢町役場の大きな魅力です。

また、軽井沢町は自然に溢れ、野菜が美味しい地域なんです。移住者や別荘利用者も多く、観光名所もたくさんあります。中でも雲場池がお気に入りです。

通勤するとき、軽井沢町の美しい景色を目にするだけで「頑張ろう」という気持ちになります。

ー今後の展望についてお聞かせください。

飯塚:“よろずや相談所カフェ”をやりたいですね。敷居が高くなりがちな地域包括支援センターに、もっと気軽に足を運んでもらいたいと思っています。お茶やコーヒーをお出しして、保健師やケアマネージャー、社会福祉士と世間話をしながら相談をすることができるような空間が作れたらいいなと。

そうすれば、住民の方々により近い存在でいられると思います。そこから地域課題も見つかり、生活支援体制整備事業につながっていくのではないでしょうか。

ー飯塚さんが目指す職員像とは、どんなものでしょうか?

飯塚:地域包括支援センターで勤務していると、多くの認知症の方々と関わります。物事を覚えられなくなる症状はありますが、もともと得意なことは本当にお上手です。それって私たちも同じですよね。認知症の有無に関係なく、誰しも得意不得意がある。

ここで仕事をすることで、その方の好きなこと、得意な事を引き出すことが面白いと思うようになりました。地域の方々に対しても職員に対しても、得意なこと、良いところをうまく伸ばしていけるような保健師でありたいです。

ー最後に、軽井沢町役場を目指す方へのメッセージをお願いいたします。

飯塚:人と関わる仕事が多いので、人と話すことが好きな方に来ていただきたいですね。また、軽井沢町は観光名所がたくさんありますので、ぜひ一度遊びに来ていただいて、たくさん楽しんでいただければと思います。

ー本日はありがとうございました。

この記事は2024年5月31日にパブリックコネクトに掲載された記事です。
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