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「ありがとう」を100%で受け止められる仕事~利益のためではなく、人のために働く自治体職員の魅力~

愛知県知多市で働く井上さんのインタビューです。金融機関での勤務経験のある井上さんは、「利益ではなく人のために働きたい」という思いで市役所に転職したとのことです。利益を意識せず目の前の人のことを100%考えることができる仕事、その結果「ありがとう」を100%受け入れられるという魅力、自治体で働くという意義が改めて確認できるような内容となっています。

ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。

井上:私は生まれも育ちも知多市です。地元の高校に進学し、普通科の中でも英語コースを専攻していました。英語について、より深く学びたいと考えていたため、大学でも外国語を専攻していました。

大学卒業後、最初は地元の金融機関に就職し、その後令和6年度に知多市役所に入庁しました。

ー転職を考えられたのには、何かきっかけがあったのですか?

井上:私は大学時代の就職活動中、「人のために働きたい」という軸を持って仕事を探していました。金融業界であれば、お金を通じて人の役に立てるのではないかと考えたため、金融機関に入りました。しかし、実際に働いてみるとどうしても「利益」を第一に考える必要があり、次第に「本当にお客様のためになっているのだろうか?」と疑問を感じるようになりました。

はじめは、お客様の将来のために資産運用をご提案できていましたが、経験年数が上がるにつれ、次第にノルマや利益について考えなければいけなくなりました。ご提案のきっかけとして、お客様ご自身のために資産運用をしたほうがいいよと勧誘をしていましたが、実際はノルマや利益のために勧誘をしていることに対して「嘘をついている感覚」がありました。

資産運用は、お客様に選んでいただいた商品の時価で資産額が変わるため、タイミングによっては商品購入時より価値が下がっていることがあります。もし私が勧誘しなかったら、そのお客様の資産は減らなかったかもしれないと考えると、今現在あなたの資産が減ってしまっているけれど、資産運用をすると決めたのはお客様ご自身ですよ、というスタンスをとっているのが非常に心苦しかったです。

このような経験から、自分自身がやりたかったことと、実際に業務として自分が行っていることの間にズレが生じ、転職しようという思いが芽生えました。

ー転職先として知多市役所を選んだ理由を教えてください。

井上:転職しようと思った際、最初は自治体で働くといったことは考えておらず、これまでに得た相続関係の知識を活かせるような事務職に就きたいと思っていました。

転職について親と話をしていた時に「利益を第一に求めるような仕事はしたくない」という話をしたところ、市役所が良いのでは?と勧められ、そこから自治体で働くということを考えるようになりました。

もし落ちてしまったらもう一年働こうという考えもあったため、地元知多市役所以外は併願しませんでした。

ー井上さんは「転職」についてどのように考えていましたか?

井上:前職に入社した当初は「この会社でずっと働いていくんだな」と思っていたため、正直に言うと自分が転職するとは思ってもみませんでした。ただ、自分のやりたいことができていない、と気が付いた時には「転職しないとダメだ」と思うようになっていました。

そういった意味だと、転職することに対しては全く抵抗が無かったですね。

ー実際に転職をしてみて、民間と自治体で違いを感じた部分はありますか?

井上:文書の管理方法がしっかりしているといいますか、自治体は徹底されているなと感じました。前職でも、もちろん書類は分野ごとに分けて保管されていましたが、自治体は取り扱う業務の幅も広いため、とにかく保管ルールが細かく難しいですね。

キャビネットには番号が振られていて、保管する場所も文書によって細かく決められています。後から探すことを考えると非常に理にかなったシステムかもしれませんが、やはり少し独特の考え方なので、入庁直後はハードルが高く感じましたね(笑)

また、電話対応時の考え方についても、民間と自治体では異なると思いました。

前職では、基本的には電話をいただく方はお客様でしたので、良い話であっても苦情だったとしても、とにかく丁寧に扱い最終的には信頼につなげ自社を選んでいただく、という目的をもって対応をしていました。先程もお話ししたような利益先行である故の考え方ですね。一方で、自治体では電話でご意見をいただく場合、相手が誰なのか、市民なのかすらわからないことがあります。決して無下に扱うというわけではありませんが、自身の対応がどこにつながるのか、市としてどういったメリットをもたらすのかがわからないといった心境のまま、対応するということもあります。

良くも悪くも「利益」といった概念が無いので、この仕事や対応の先には何があるのだろう?と考えさせられることがたまにありますね。

ー現在井上さんが担当している業務について教えてください。

井上:私は、現在市民窓口課で主に窓口業務に従事しています。住所異動がメインの担当で、住所や戸籍の異動に関する相談や手続き全般を担っています。

「公務員の仕事」と聞いてまずイメージされるような窓口の業務ですね。

利益などは一切考えず、目の前に来ていただいた市民の方の為になることを第一に考えることができているので、私が軸としていた「人のために働く」ということは叶えられていると思っています。

相談に来た方々が後々困ってしまわないように、今できる手助けは何でもやってあげたいという思いで働くことができていますね。

ー実際に転職してみて、やりがいや魅力を感じることはできましたか?

井上:転職して本当に良かったとずっと思い続けています。先程もお話しした通り、今の仕事は、「人のため」を最優先に考えることができ、それが自分にとって大きなやりがいに繋がっています。

例えば、現在私はDV被害を受けた方々への支援措置も担当しています。住所を知られたくないという方のために、住民票を他人に見られないようにするような手続きです。

この支援業務は、意図せずに住民票等が閲覧されることの無いよう、あらゆる面に気を配りながら業務を進める必要があるのですが、その先に私たちの「利益」といった考えは一切ありません。申し出に来られた方が困らないように、安心して暮らせるように、という一心で取り組むことができるんです。誰かのために働いているという実感が持てることはとても嬉しいことであり、何よりやりがいになっていると思っています。

ー入庁して約半年ですが、井上さんからみた知多市役所はどのような雰囲気でしょうか?

井上:抽象的な表現になるかもしれませんが、仕事をする上で適度な距離が保てる場所だと思っています。

例えば、私は支援措置の担当をしており、この業務は私が責任感を持って進める必要があります。しかしながら、全てが私の責任というわけではなく、周囲の方も一緒になって確認や検討をしてもらえるような環境です。

前職では、業務の中でも自分がやる範囲、次の人に任せる範囲というのが明確に決まっていたため、責任の所在が分かれてしまい、自分の業務として責任感を持って進めているという実感が中々持てなかったので、その頃と比べると良い距離感で働くことができていると感じますね。

ーずっと知多市で過ごされてきた井上さんの目線で、知多市の魅力を教えていただけますか?

井上:知多市は、本当に住みやすい街だと思っています。自然もあり、程よく栄えていて、バランスのとれた場所です。必要なものは何でも揃いますし、海も山も近くにあって、少し足を伸ばせば豊かな自然にも触れられます。

大きな企業や工場もあるので、街には活気がありますし、人の出入りも多くまだまだ発展の余地はあると思っています。

交通アクセスが良いのも大きなメリットです。常滑も名古屋も30分圏内で、便利な都市圏に引っ越さなくても生活上困るようなことはありません。知多市に住んでいると、ちょうど良い距離感で必要なものが全て揃っています。

私はこれまで知多市から出たいと思ったことはありません!知多市が好きですね(笑)

ー最後に、求職者の方にメッセージをお願いします!

井上:「人のために働きたい」という思いが強く転職し、今では思いを叶えることができました。利益先行という考えの中で働くのが苦しかったからこそ、今の職場での喜びが大きいのだと思います。

同じように「人のために働きたい」と考える方は、ぜひ知多市役所での仕事を知ってほしいと思っています。市民の方々と接する機会が多く、「親切にしてよかった」と心から思える瞬間がたくさんあります。

利益ではなく100%その人のために行ったことに対する「お礼の言葉」というものは、自分としても100%受け止めることができます。こんなことを実感できる職場は他にはないと思っています!

ー本日はありがとうございました。

この記事は2024年10月17日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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