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小さな水族館だからこそ何でもできる!~市営水族館を持つ碧南市ならではの業務と魅力~

自治体職員として水族館で働く、日々どのような業務をしているのかイメージがわきますか?今回は愛知県碧南市で水族館学芸員として働く三嶋さんに、水族館学芸員としての日々の業務やその魅力についてお聞きしました。

一般的にイメージする自治体の働き方とはちょっと違った「水族館」での働き方がわかる内容となっています。

ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。

三嶋:私は碧南市の出身ですが、岐阜の大学へ進学したことを機に一人暮らしを始めました。大学では農学部で生物関係の研究をしていました。

もともと生き物や自然が好きだったということもあり、将来はそういったものに関係する仕事に就きたいと思っていました。

現在は碧南海浜水族館で水族館学芸員として働いています。

ー水族館で働きたいと思ったきっかけを教えてください。

三嶋:さきほどもお話したとおり、子どもの頃から生き物や自然が大好きだったので、水族館に関わらず将来は何か生き物と関わることができるような仕事がしたいとずっと考えていました。

もともと水族館は好きだったのですが、就職活動では水産試験場や環境コンサルタントといった業種も応募しました。学生時代には環境コンサルタントのバイトもしていたので、当時は水族館に強くこだわっていたわけではありませんでした。

生き物や自然に関わる仕事というのは意外と狭き門でして、正規職員として働きたいのであれば、とにかく場所や職種を選ばずに全国どこへでも行く覚悟が必要でした。

ただ、生き物の中でも私は特に両生類や爬虫類が一番好きだったので、働くのであれば水族館が一番自分に合っていると思っていましたね。

ーそんな中で、岐阜県から碧南市に戻られたのには理由があったのですか?

三嶋:実は私の実家は碧南海浜水族館のすぐそばで、幼いころから何度も来たことがあったのですが、就職活動をしていた当時は地元に帰ってくるつもりは全くありませんでした(笑)

ちょうど就職活動をしていた時期に、碧南市で水族館学芸員を募集していて、しかも碧南海浜水族館で働けるということだったので受験することにした、というのが理由です。

地元で働くことよりも、生き物や自然と関わって働くことを重要視していたので、碧南市で働きたかったと言うよりは、たまたまやりたいことができるのが碧南市だったという感じですね。

水族館業界は、未経験で正規職員として採用されることが少なく、アルバイトや任期付き職員として複数の水族館で経験を積んでから、正規職員になることも多いです。正規職員として水族館学芸員を募集していた碧南市はとても魅力に感じました。

ーやりたいことがたまたま身近にあったというのは嬉しい偶然ですね!三嶋さんの現在の業務について教えてください。

三嶋:碧南海浜水族館はあまり大きな水族館ではないため、餌やり、水槽の掃除、生き物の採集といった飼育業務から展示の変更、特別展などのイベントの企画準備、それこそ水族館運営全般まで、様々な業務を任されています。

生物の採集に関しては、他の水族館から生き物を譲ってもらうため伺うこともあれば、自ら釣りに行ったり、捕まえに行くこともあります。

遠い場所では高知まで行き、生き物を釣ったり、水族館から譲り受けたりすることもあります。水槽を搭載した活魚車と言われるトラックで移動しています。

高知の他にも伊豆や富山などには、年に1回くらいのペースで足を運んでいます。

ートラックに乗って釣りや採集とは、とても公務員からはイメージできないような業務が盛りだくさんですね。特に印象に残っている業務などはありますか?

三嶋:生き物が好きなので、普段からとても楽しみながら働くことができています。特に私はプライベートでも釣りが好きなので、その釣りが業務の一部になることがとても楽しいですね。

以前和歌山県の山中にカエルの生態調査に行ったことがあります。狙いは、外来種のアフリカツメガエルです。彼らは主に水中で生活しているため、釣りで捕獲することとなりました。餌はなんとファミチキです(笑)

和歌山県立自然博物館の学芸員の方と現在の館長と私の3人で釣りに出かけたのですが、釣れたのは館長だけで、結局、和歌山県立自然博物館の学芸員の方がウェーダーを履いて網で捕獲してくれました。まさか水族館学芸員としてこんな経験までできるとは思っていなかったですね。

ーそれはまた貴重な体験でしたね。では、これまで水族館学芸員として働いてきた中で、成果のようなものがありましたら教えてください。

三嶋:一番の成果は、両生爬虫類の常設展示を行うようになったことだと思います。私が入庁するまでは常設展示をおこなっていなかったのですが、魚類を展示していた水槽を改装するなど、展示に向けた提案をさせていただき、両生爬虫類を常設展示できるまでになりました。

ー三嶋さんにとって、水族館学芸員として働くやりがいや魅力はどういった点だと思いますか?

三嶋:自分が手がけた展示を、たくさんのお客さんが見てくれて、「面白い」「楽しい」といったポジティブな反応をもらえることが、何よりの喜びですね。自分の仕事を通じて、多くの人を楽しませることができるということが、私にとっては大きなやりがいです。

ー三嶋さんが思う、ここでしかできない経験や業務を教えてください。

三嶋:小さな水族館だからこそ何でもできると思っています。

例えば、大きな水族館では効率化のために、飼育担当、研究担当、教育担当といった具合に担当ごとに分担されていることが多いのですが、碧南海浜水族館では、基本的には全てを担うこととなります。

お客さんにとってプラスになることであれば、自分がやりたいと思ったことを実行してみることもできます。

ここでしかできない経験というわけでは無いかもしれませんが、碧南海浜水族館だからこそ、何でもチャレンジすることができます。

ー事務職の方も水族館で勤務することはあるのですか?

三嶋:市役所から水族館に異動してくることもあるため、水族館で勤務する可能性はあると思います。 私は原則として水族館以外で働くことがないので、今後どんな人が水族館に配属されるのかとても楽しみにしています。

ずっと同じメンバーだと新しいアイデアは生まれにくいですが、人が変わることで刺激となり、また新たな発想が生まれるようになるのではないかと思っています。

水族館の配属になると、事務職であっても飼育業務をするようになったり、小学生を相手に授業をするなど、市役所での業務とは全く異なる経験ができるのも魅力ではないでしょうか。特に私と一緒に飼育に携ることになった場合は、「公務員としてこんな経験ができるなんて!」と驚かれると思います。

全国的に見ても公営水族館自体が少ないため、自治体で働きながらこのような経験ができる環境はとても貴重だと思っています。

ー水族館学芸員として働いてみて、イメージしていた働き方とは違ったようなことはありましたか?

三嶋:水族館というと生き物のお世話というイメージですが、思った以上に事務作業も多いと感じましたね。水族館とはいえ、運営は自治体が行っているので、物品購入やイベント委託など、あらゆる業務に自治体のルールが適用されます。

これらに関しては、どうしても事務手続きが煩雑になりがちですね。予算がきっちり決まっていたり、自治体ならではの支払い手続きに手間を感じるようなことがあります。

ー三嶋さんは、どういった方と一緒に働きたいと思いますか?

三嶋:水族館の仕事は思っている以上に汚れる仕事で、体力を使う場面も多いです。

こういったことをポジティブに捉えられる方であれば、水族館でも楽しく働くことができると思います。

新しいアイデアを積極的に提案してくれる人、そして泥臭い作業にも前向きに取り組める人と一緒に働きたいと考えています。

ー本日はありがとうございました。

この記事は2024年9月26日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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