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まさに営業といえるような活動 ~「営業」と名の付く係の業務とやりがい~

今回のインタビューでは、愛南町役場でふるさと納税推進の担当をされている脇田さん、埜下さんにどういった業務をされているかやふるさと納税の実績についておうかがいいたしました。

ーそれぞれのご経歴を教えて下さい

埜下:最初に2年間建設会社で働き、平成30年に入庁して今年6年目になります。まず最初に教育委員会部局のスポーツ振興係で、全国規模のトライアスロン大会の運営やスポーツ振興の施設の管理をしていました。

その後、愛媛県庁に2年間出向して営業本部、今年度戻ってきて商工観光課に配属された次第です。

脇田:平成14年に市町村合併する前の旧内海村に入庁し、生涯学習課に配属されました。3年目に合併があり、半年間は公民館業務を経験し、松山市にある地域政策研究センターに2年間出向しました。それで戻ってきて、総務課12年、商工観光課で5年経ち現在という流れです。

ーなぜ愛南町役場で働こうと思われたのですか?

脇田:もともとは愛南町が地元で、いずれ戻ろうとは思っていました。

埜下:私も地元の愛媛県内で就職しようとしていたのですが、私が就職活動をしていた時期に新庁舎が建設されたんですね。今後何十年と働いていくなかで、働きやすさも踏まえると良い環境だなと思い受けました。

ーでは、商工観光課のお仕事を教えて下さい。

脇田:2人とも営業戦略係で、ふるさと納税事業を特に力を入れて行っています。課には商工観光係もあり、そちらは商工業・観光業の振興を行っています。

ー”営業”と名前のつく係は珍しいですよね。

脇田:5年前にこの係ができ、そのときは私は商工観光係にいたんですけど、特にこの業務をやりなさいといったことがなかったんですね。何をやればいいのかというところから探っていき、かなり苦労されていたのを隣の係で見ていました。

他の課が水産や農林などの販売促進をそれぞれやっている中で、営業戦略係が1つに取りまとめてやれないかと探っていたのだと思います。水産業は規模が大きいですし、農業も柑橘類を作っている方は相当数いて盛んなんですね。

ただ、結論でいうとうまく連携はできなかったんです。

ーそこからどのようにふるさと納税にシフトし注力していったのですか?

脇田:きっかけはコロナ禍です。係ができて1年後、今から4年前に私も営業戦略係に配属されましたが、対外的な販促活動が全くできなくなりました。

それで周りを見渡してみると、近隣自治体のふるさと納税寄付額がうちの2倍から5倍あったんですね。さらにいえば、四国で一番寄付額が多い市だと、15億円くらいの寄付額がありました。

愛南町はそのとき1億円ほどでしたので、なぜここまで差があるのかと。それで周辺地域へ行き勉強させてもらいました。そこから力を入れていこうと方向転換したのが当時の流れです。

例えば、もともとの販売促進の事業で、東京でフェアなどを1週間展開して、数百万円の売上があがっても、その後生産者さんのほうへリピートの注文が来るかというとそこまで来ないんですね。次に繋がるような事業にはなっていないというのは課題でした。

ふるさと納税だと、例えば5億円の寄付額になると、その3割を返礼品として寄付者にお返ししていくことになりますので、1億5000万ぐらい町内の何らかの商品が売れているということになります。

少し語弊はありますが、実際に町内の事業者さんからするとそれだけの売り上げが立っている。フェアで1億5000万円売り上げを建てようとすると年間通じてやっても多分無理なんですね。ですので、ふるさと納税で成果を出していくべきだという結論となり、方向転換しています。

ーでは、今の体制も教えていただけますか?

埜下:正規職員が3名在籍し、2人の会計年度任用職員が在籍しています。繁忙期は年末から年始にかけての時期です。

ふるさと納税自体のマーケットが伸びる中で、どれだけそこでシェアを獲得できるかが自治体間での競争にもなっていますので、どんなアプローチ方法が最適か考えて実行するところまでが仕事です。

ー具体的にどういったコミュニケーションを事業者とするのですか?

埜下:どういったセットでどういった価格帯であれば売れるといったふるさと納税特有のトレンドに寄せた商品の企画提案や、セットで一緒に出せるような他の返礼品の提案も行っています。

中間事業者(ふるさと納税サイトのプラットフォーマー)も流通額を増やしていくために、我々に様々な情報提供をしていただいているんですね。週1ぐらいでミーティングをしているので、そこで毎週学ばせてもらっています。

そういった情報をもとに事業者とはやり取りしており、なんとか売れるような返礼品開発をしてもらっている状態です。

脇田:やはりこの事業の一番の肝は事業者さんとどう関係を築くかだと思います。寄付者の方が求めるような商品をどうやって作っていくか。そこで中間事業者の情報が非常に大きいです。

例えば鰹のたたきに関しても、1年前からどれくらいの数の寄付が予測されるのでどういった単価で何個つくりましょうといったことは、職員だけでは言い切れないです。

ただ中間事業者はふるさと納税市場全体のデータを見ているので、より具体的な提案ができるわけです。

そしてその提案を受け入れ決断するのは事業者さんなので、日々事業者をまわってコミュニケーションをとり、信頼を得ていくことが重要なわけです。非常にやりがいある面白い仕事だと思っています。

ー今はどういった製品が人気なんですか?

埜下:柑橘類は年間寄付金額の7割から8割を占めています。12月はふるさと納税申し込みの最盛期ではありますが、愛南町は河内晩柑という4月から7月ぐらいまで出せるような商品があります。他自治体では出せない時期に出せる強みがあります。

水産品も力を入れておりまして、愛媛県は海面養殖産出額が全国1位であり、養殖真鯛はうちや宇和島市で大部分も占めています。

あと、鰹も四国の水揚げ量が1位なので、そこで新たな返礼品も作っていけないかと考えているところです。鰹のたたきは現時点でも水産加工品としては愛南町でトップの実績です。

ー「愛南びやびやかつお」という独自のブランドもあると聞きました。

脇田:夜中に船を出して、朝に釣って、その日のお昼にもう競りにかけられる、非常に鮮度が良い鰹です。船上で締めて特殊な氷で冷やしてある鰹で、刺身として食べられるんですが全く食感が違いますよ。

これはおそらく愛南町でしか食べられないと思います。

ー他に寄付額を増やすために行っている工夫はあるのですか?

埜下:商品をはじめて取っていただくまでにどうアプローチするかのマーケティング戦略も考えています。こちらも中間事業者からの情報を得る中で、いつ返礼品を出すか、どの時期にどういった広告を出したらより手にとっていただきやすいかを考えています。

製品の品質には絶対的な自信があるので、初めて手に取り知ってもらい、来年度以降にもリピートいただくことに繋げていきたいと思っています。

ーちなみに、初期は寄付額を増やしていく戦略もまた違ったのですか?

脇田:最初はもうしらみつぶしに事業者さんを訪ねていきました。役場内にある事業者のリストや、インターネット上ですでに販売活動をしている事業者をみつけては飛び込んでいった形です。本当に、”営業”という名がついても良いような活動でした。

今も、事業者を通じて新たな事業者を紹介してもらっているので、事業者はずっと増え続けている状態です。

ー寄付金額の実績はどれくらい増えたのですか?

埜下:令和2年度が約2億、3年度に7億、4年度が10億となりまして、令和5年度はいろいろな要因も重なって、3月時点で17億円まで増えている状態です。

令和5年度はふるさと納税自体の制度改正もあり、改正前のかけこみ需要も影響はしていると思います。

脇田:目標としても15億円としていたので、本当にいろんなおかげで達成ができた形です。

埜下:水産資源は本当に多いので、まだまだPRをしていきたいですね。寄付者を増やしてリピートも伸ばしていきたいです。

ー愛南町の街としての魅力も教えて下さい。

埜下:私は大学でも陸上部で今もランニングを続けているんですが、信号がそんなにないので走りやすいですね。海も山もあって、景色が違ういろんなコースを楽しめるのが良いですね。

サイクリングイベントやトライアスロンの大会でも全国から人が集まってくるので、時間をかけてまで来る価値のある地域だと思っていただいています。

脇田:食べものが本当に美味しいので、やはりそこがおすすめですね。

ーありがとうございました!

この記事は2024年6月6日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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