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職員と肩を組んで仕事がしたい~ノルマに追われ、一人奮闘する日々からの脱却~

民間企業から転職し、東京都世田谷区の総務部人事課で働く土屋さんに、転職理由や現在の仕事、民間との違い等についてのお話を、また同じく人事課の福永さんに世田谷区の就労環境について伺いました。

—土屋さん、世田谷区役所に入庁されるまでのご経歴をお伺いします。

土屋:大学を卒業後、不動産の営業職に2年間従事しました。業種にそれほどこだわりはなかったのですが、自分で責任をもって顧客と最後まで対応ができる会社としてその会社を選びました。

その後一般社団法人で非常勤として働く傍ら、公務員試験の勉強を行い、3年目で無事合格し世田谷区に入庁しました。

—不動産の営業職は大変でしたか?

土屋:まず「(営業)数字を追い続ける」ことが大変でした。ノルマの進捗率を日ベースで管理し、同僚とも常に競い合う。一匹狼で取り組む体制が自分には合わず、仲間と肩を組んでできるような仕事がしたいと思うようになりました。

—公務員を目指されたきっかけはあるのですか?

土屋:不動産会社在籍時に目にした、都内の別の特別区での空き家に関する条例制定のニュースに心を動かされたのがきっかけです。

不動産業界は安く買いたい人と高く売りたい人がいて、最終的には誰かが妥協し落としどころを見つけていく世界です。買う人と売る人の両者に真に喜ばれることはないと思っていました。

しかし同区の取り組みは、それとは異なるものでした。空き家を解体して小さな公園にするという取り組みで、区としては防犯上リスクのある空き家を解体できるうえに景観面でも良い効果があり、地主にとっては解体費用を負担せずに、かつ固定資産税も一定期間免除されるという施策だったんです。

つまり、両者にメリットがあるんですよね。関わるすべての人に喜ばれる、そのようなすごい施策を考えられる人と一緒に働きたいな、と思ったのが公務員を志望した理由です。

—では、その区を志望したわけではなかったのですか?

土屋:応募時の志望順位としては、その区が2番目、1位が世田谷区でした。世田谷区を1位にした理由は人口規模です。

人には、十人十色で一人ひとりにそれぞれの喜びや苦しみがあります。個人的な家庭の事情からもその点は強く感じており、多様な困りごとにできるだけ多く接することができる人口規模の多さ、そして住民と距離の近い基礎自治体(市区町村)として世田谷区を選びました。

—世田谷区で最初に配属された部署と仕事内容を教えてください。

土屋:高齢福祉部の介護保険課に配属されました。そこでは、「介護1」や「要支援1」「要介護5」などで分類される、介護保険の認定に関する周辺事務を行っていました。住民に接する機会もありましたが、どちらかというと決定を下す委員や事業者と接する機会が多かったですね。そこには5年間在籍していました。

福永:職員全体としては3~4年という間隔で異動して、次の分野で活躍してもらう、というのが多いので、1か所目の部署で在籍5年というのは少し長い部類ですね。

土屋:それと、兼務で部署を越えて行った業務もありました。

4年目のときには、コロナワクチン接種における庁外事業者との調整や周知、接種におけるマニュアル・全体的な流れなどの仕組みづくりなどです。こちらは区役所全体で取り組んだ業務です。

5年目には介護事業者向けの特別給付金の事業を高齢福祉部全体で取り組みました。制度設計、プロジェクトの進捗管理や全体の実務フロー検討、マニュアル作成など広く取り組みましたね。完全に0から新規の事業を立ち上げて取り組んだ事例ですね。

—公務員として働き始めた時の感想を教えてください。

土屋:入庁前は、正直に言えば自治体の仕事は遅いという印象を持っていました。しかし、いざ入庁してみると職員全員が緊張感をもって仕事をしており、情報の管理・チェックに時間を使っていることに気づきました。

資料作成の際にも、誰が見ても誤解を招かないような文章を心掛け、「てにをは」には細心の注意を払い、それでいて簡略さを追求するなど、非常に気を配って業務にあたっています。

多少のミスも売上でカバー、というような民間とは違い、役所の業務は1つ1つ正確さが重要であり、ミスに対しての意識を変えなければならないと思いました。

— 一人立ちするまでにどれくらいの時間がかかりましたか。

土屋:社会人経験があったからかもしれませんが、入庁後数か月の割と早い段階から色々な仕事を任せてもらっていました。そんな状況もあり、必然的に「1人前としてやらなければいけない」という意識をもって必死で勉強しました。

福永:彼は比較的早かったと思いますね。入庁から半年間は条件付採用期間で、特に本採用までは先輩職員から手厚く指導、フォローを受けるということが世田谷区役所では多いです。

—「肩を組んで仕事がしたい」という希望もありましたが、職場環境はいかがでしょうか?

土屋:非常に良いです。不動産業界では同僚すらライバルなので、ノウハウ共有はあり得なかったですが、区役所では課の内外に関わらず、いつでもいくらでも色々なことを率先して教えてくれるという風土があります。

そのような環境が非常に”居心地が良い”と思いました。

だからこそ、教えてくれた人のためにも頑張りたいと思いますし、それで成果を出すことで教えてくれた人たちにも貢献したい、さらに自分も周囲へ奉仕していきたいと思っています。

—では、現在の人事課での仕事内容を教えてください。

土屋:現在は人事課で、採用関係全般の仕事をしています。具体的には、常勤職員の採用選考のほか、年度初めの式典の取りまとめなどです。採用業務は、応募者の職種や形態によって担当が分かれていて、私は主に常勤職員の採用を担当しています。

—採用関係の仕事は初めてだと思いますが、まずはどのように仕事をキャッチアップしたのですか?

土屋:役職的にも新人ではないので、前年度の情報を詳しく調べて「これはこういう理由で、こういう施策を実施したのか」と自分なりの推察をしたうえで、前任者に教えてもらう、といった進め方をしています。

人に何かを聞くときには、すぐに答えを聞くのではなく、自分なりの案を考えるようにしています。案を持った上で、周囲にも確認し整理しながら動いています。

—新しい部署の業務だと前任者の手法を踏襲して引き継ぐだけ、ということは無いのですか?

土屋:もちろん、手法を変えればミスが発生する可能性もあるので、何も変えないという選択もあり得ます。

しかし、どの選択をする上でもベストの手法・施策はなにか考え実行しています。「何事もきちんと咀嚼して、分からないことはみんなで協議して最善を尽くそう」と現在の人事課長の方針もあり、結果的に何も変えないという判断になったとしても、その過程において何も考えずに踏襲する、ということはないです。

福永:極論をいえば、何も考えず今まで通りで良いよね、という方針で業務を進めることすらできるかもしれません。ただそうではなく、どういった課題があるのか、なにを変えればそれが解決するのか、自分たち職員で考え企画し実施することもまたできるんですよね。

「PUBLIC CONNECT」を使って採用活動をすることもその新しい施策の1つです。意外と、クリエイティブな業務をすることもできるんですよ。

—生活面として変わったことはありますか?

土屋:休暇もしっかり取れていますし、むしろ休みを取りましょうと上司や周囲から言われるようになりました。また、平日の仕事終わりも、ゆっくりと自分の時間を過ごせるようになりましたね。例えば夕食後に2時間程度、映画を見るなどの時間をとれるようになりました。

—最後に、自治体職員として転職して、良かったと思う点は何ですか?

土屋:私はこの仕事だけをしたいというこだわりはありません。逆にいえば、今の部署や今後の異動先と、新しい業務をどんどんしていけるのは非常に良いですね。RPGゲームのように、様々な経験値を積んでいけるイメージです。

あとは、何度も言いますが、仕事において仲間と肩を組み、協力して進められるのがすごく良いところだと思っています。一人ではない感覚は、精神衛生上とても良いですよ。

—本日はありがとうございました。

この記事は2023年11月8日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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