新卒で奈良県王寺町役場に入庁し、人事係での組織の中枢を担う業務を経て、住民係での窓口業務に携わる馬谷 健太郎（うまたに けんたろう）さんに、お話を伺いました。

—まず、王寺町役場に入庁するまでのご経歴や、入庁後の仕事についてお聞かせください。

馬谷：私は大阪府八尾市出身ですが、中学・高校は王寺町近辺の学校へ通っていたため、王寺町には元々馴染みがありました。大学進学後、公務員を目指しているときに王寺町が職員を募集していることを知り、試験を経て採用していただきました。

1年目は、人事係に配属されました。組織の根幹を支える業務ということで、右も左もわからない状況でしたが、大変なことが多かったからこそ「自分が責任をもってやりきらなければいけない」という意識を持って取り組めましたね。

「役場の中では誰にも負けへんぞ！」というくらい勉強し、知識を蓄えられたという自信もあります。イレギュラーな業務を多くこなす中で大きく成長できたと感じます。人事係を4年務め、現在の住民係に配属されました。窓口業務で、これまでの業務とは打って変わり、住民の方と触れ合う最前線の部署です。

法に基づいた説明だけではなかなか納得してもらえないことも多いので、「どうしたらわかりやすく伝えられるのか？」「住民の方が求めているものは何なのか？」を、住民目線で考えるように努めています。

—公務員になろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか？

馬谷：競争しながら利益を求めていく民間企業の面白味もありますが、私自身は地域に根差した形で仕事をしたかったんです。周りから「優しそうだね」と言われることも多く、「窓口業務に向いているのかな」と思ったことも公務員を目指したきっかけです。

地元の八尾市や、その近隣の自治体という選択肢ももちろんありましたが、それまでご縁のあった地域、そして自分自身の「奈良で務めたい」という思いを鑑みた結果、王寺町役場での就職という選択に至りました。

—入庁直後は、どんな思いで仕事に取り組んでいましたか？

馬谷：若手は窓口部署に配属されることが多い中、社会人1年目から組織の中枢を担う業務に携わるという点には驚きもあったのですが、組織を支える大事な仕事という自覚を持ち、「ここの知識をたくさん勉強しよう、ここで頑張ろう」と前向きな気持ちで取り組みました。

また、「担当としての責任に在籍年数は関係ない」という思いから、業務外でも思い立ったときには法律や福利厚生に関する勉強をしていました。豊富な知識を持つ上司や先輩に対して、次はもっと良い説明をしたいという思いが勉強のモチベーションでした。

—確立された教育体制があるというよりは、自発的に知識を習得していくという形なのでしょうか？

馬谷：もちろん、先輩に仕事のやり方は教えていただきました。周りに助けてもらいながら、自分自身の責任を果たすための自発的な行動を心がけるようになっていきました。同期の中で、一番責任感を持っているのは自分ではないか？と思っています。うぬぼれでなければいいのですが(笑)。

—現在、入庁後とは全く異なる業務に携わる中で、ギャップを感じることはありますか？ また、教育体制はどのようになっていますか？

馬谷：人事係から住民係に異動となり、最初は「どういう対応が正解なのか？」という答えを探さなければなりませんでした。ただ、住民の方も十人十色。雰囲気や口調を一人ひとりに合わせて変えていかなければならないということを、住民係での1年半で学びました。

教育体制としては、先輩方に教わりながら窓口業務に携わるという形です。また、戸籍法や住民基本台帳法といった法律の知識が必要となります。実際の窓口業務を行いながら、知識や法律をどんどん勉強しています。あとはやはり対住民の業務なので、コミュニケーション能力はすごく大事だと実感しています。

—職場の雰囲気についてお聞かせください。

馬谷：責任を持って自分の仕事に向き合い、現状に満足せずにより良い方向にしていくためにはどうしたら良いのか？を考える方ばかりですね。そのためには、意見のぶつかり合いも許される。そんな環境だからこそ恵まれていると感じます。

新しく入庁される若い世代の人たちも、そんな先輩に囲まれながらどんどん意見を出して対話をし、自分にとってやりがいのある仕事にしていくことができると思います。

—公務員のどんなところにやりがいを感じますか？

馬谷：公務員の仕事は法律に基づいて行うので、お堅いイメージや「クリエイティブではない」と思われるところは多いかもしれません。しかし、住民サービスや事務処理をするにあたって、より良くするためにと考えることは無限にあると思うんです。

より良い方向に考えることをやめなければ新しいアイディアはどんどん生まれ、それぞれの視点でいろいろな発見があるはずです。公務員でも、「自分はもっとこうしていきたい」というものを形づくることができる。そこにやりがいを見いだせるのではないでしょうか。

—現在の課に異動後、働き方はどう変化しましたか？

馬谷：業務分担や仕事量からスケジュールをきちんと立てて、それに基づいた仕事をこなし、「今日は定時で帰ろう」という働き方ができるようになりました。メリハリをつけた仕事の仕方が身についてきたと思います。

—王寺町での暮らしはいかがですか？

馬谷：異動の頃から王寺町内で一人暮らしも始めています。通勤時間を短くするという目的の他、「町のことは町に住んでみないとわからない」という考えもありました。

都心の喧騒から離れた静かな町ですが、不自由なく住みやすいと感じます。個人でお店を開かれているところが多く、何回でも行きたくなるくらい美味しいお店もありますよ。

—王寺町役場職員としての、今後の展望をお聞かせください。

馬谷：住民係として、住民の方にご迷惑をおかけしないために事務マニュアルを整備していきたいですね。いずれは人事係に戻り、通常の事務処理だけではなく組織をより大きく、働きやすい環境にするための「クリエイティブな仕事」をしたいです。

もちろん、公務員は異動ありきの職業なので、どんな部署に配属されたとしても、そこでの仕事を頑張って務めていきたいと思っています。

—最後に、どんな方に入ってきてほしいとお考えですか？

馬谷：「あかん」と言われたことは素直に受け止めて反省し、次に活かそうとする向上心あふれるような方と一緒にお仕事できたらいいなと思います。あとは、意見をきちんと言ってくれて、仕事を仕事としてしっかり捉えてくれる方ですね。

私たちも勉強はしますが、やはりそれだけでは固まった意見しか出ません。そんなとき、新しく入られた方にその知識や新しい視点を活かして「こういうことじゃないですか？」と意見を出してほしい。そして、「確かに新しい意見やな」と思えたら、私は嬉しいです。

新卒や中途採用など、組織内にはさまざまな年齢層が存在します。社会人経験を活かす能力だけでなく、新しい組織に飛び込む勇気、そして「王寺町役場の中で生きていく」ということについて前向きな考えをお持ちの方は、ぜひ入ってきてください。

—本日はありがとうございました。

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