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“公務員=事務仕事”は見当違い?民間営業職から、橋本市の企業誘致営業担当へ

銀行の営業職を経て、現職の公務員として働く辻本さんに、民間と自治体での働き方の違いや、地元橋本市に根差して働くやりがいについてインタビューしました。

ーこれまでの経歴を教えてください。

辻本:大学卒業後、民間の金融機関に約3年勤めていました。そこでは営業職として個人のお客様を訪問して金融資産のニーズを伺い、商品を提案する仕事をしていました。

転職のきっかけは、今後さまざまなライフステージがある中で、転勤が必ずある民間の営業職をずっと続けていくことは難しいと感じ始めたことです。大学を卒業して社会人として働いてる中で、橋本市に根差して働けるところがいいなと。色々考えた結果、一番地元のためになる仕事は橋本市役所の職員になることだと思い、公務員になることにしました。

入庁してまず、最初に配属されたのは経済推進部企業誘致室でした。企業誘致室では3年間業務を行い、今年度4月から経済推進部産業振興課に所属しています。

ー入庁して最初の企業誘致室はどのようなお仕事をされていましたか?

辻本:企業誘致室では主に企業の方を訪問し、橋本市の良さをアピールすることで橋本市への立地を促す仕事をしていました。全国的にもそうですが、各地方で人口が減る背景には、地元で育った若い人が就職等のタイミングで転出してしまうということがあります。そのため、新しい企業が立地することで働く場を増やし、特に若い人に橋本市内で働いてもらってずっと過ごしてもらおう、というような目的で行っていました。

橋本市は約10年ほど前から企業誘致に力を入れていて、自治体のなかでは珍しいですが企業誘致だけで1つの部署を作っています。

ーどのような体制だったのでしょうか?

辻本:企業誘致室は、技術部門と営業部門に分かれています。新しい工業団地関係については造成関係技術部門、新規企業の開拓や、誘致済みである既存企業のフォローアップを営業部門で担当し、私は営業部門に所属していました。

民間に勤めていた時は個人の成績があって、1人で業務をこなすという感覚だったのですが、市役所では全般的な業務はチームで遂行するので、仕事のやり方に大きな違いを感じましたね。

ー誘致はどのような流れで行われますか?

辻本:こちらからお電話をかけたり、アンケートに回答していただいた企業へアポイントを取ってお伺いしたりすることもありますし、現在は企業立地のための土地自体が全国的に少なくなってるので、その土地を探している企業からお問合せを受けることもあります。

お問合せがあったとしても、企業立地は一大投資なので、トントン拍子に進むわけではありません。まず橋本市について知って頂いてから、その後の話を進めていくという流れです。

誘致の際には企業の上層部の方とお話をする機会も多々あります。そのような機会は滅多にないですし、ものづくりをしている企業の、製品が作られるまでの過程、「これがないと駄目なんだ」というこだわり、熱い思いをを聞けることもあるので、楽しいですね。

ー誘致をする際の、橋本市のアピールポイントを教えてください。

辻本:まずは、交通アクセスの良さです。立地場所を検討される際、取引先への移動距離や、従業員の通勤の利便性に重きを置かれる企業が多いです。橋本市には京奈和自動車道という無料の自動車専用道路もあり、大阪や三重、名古屋などへもアクセスが良いのでまずはそちらをアピールしています。

他にも、橋本市が力を入れている奨励金制度や、すでに数十社、紀北橋本エコヒルズ(橋本市が官民連携で開発した大型工業団地)に誘致されている実績があるのでリアルな企業の声も紹介していました。

ー企業誘致においてやりがいを感じるのはどのような時ですか?

辻本:「橋本市に決めます」と決めていただいた瞬間もちろん嬉しいですが、長いスパンの話なので、日々の小さいやり取りでもやりがいを感じています。企業との質疑応答のやり取りでも、橋本市のことをきちんと考えてくれているな、というだけでも嬉しいですね。

自治体であるが故にできない部分もあるので、ご要望に添えない時には難しさを感じますが、私自身が橋本市が好きで、ずっと住んでいたい気持ちがあるので、それを伝えられるのはこの仕事の良いところですね。

ー民間と公務員での営業活動における違いはどこだと感じますか?

辻本:民間では自分ひとりの成績の数字へのプレッシャーをとても重たく感じたのですが、市役所では市全体の事業として、みんなでやっているという意識が違いますね。

ただ、個人としてのノルマはありませんが、事業のために予算を取っているので、「もし誘致が成功しなかったらどうしよう…」と少々不安になるときもありました。

特に新型コロナウイルスが流行した際には、企業の方々が事業継続できるのかわからない時に新しい土地に立地できるのかとても心配でした。

ー今は、どういった仕事をされているのですか?

辻本:現在は産業振興課に所属しており、そこでは今一番力を入れている、物価高騰対策と事業者の方々を支援する「デジタル地域通貨」事業に携わっています。こちらは、今年度から橋本市でも導入を開始します。

これまで、同様の対策時には紙のクーポンを市民の方々へ郵送で送っていたのですが、今回はスマートフォンにアプリをインストールし、デジタル通貨をチャージしてご利用頂くことになりました。早速、10月から販売が始まっています。

広報でも周知しており、多くの事業者や市民の方々からアプリの使用方法についてお問い合わせを頂いています。同時に、市内で加盟店も募集をしているので、たくさんの方に利用いただきたいと思います。

ー転職された際に、働く上で雰囲気や社風の違いはいかがでしょう。

辻本:働く上で、市役所は横の繋がりが強いと感じました。自分たちの課で完結することもありますが、例えば企業を誘致して一つ工場を建設する際は様々な部署へ届け出をするので、庁内で働いてる人とのコミュニケーションは非常に大事だと感じています。

行政といえば”縦割り”と言われ、横断的な知識の共有は結構難しいんじゃないかと思いがちですが、入庁してある程度経てば職員の顔や名前も覚えて話すことも増えるので、積極的に課を超えて聞きにいけるようになりましたね。

他にもお仕事での繋がりがプライベートに良い影響を与えることもあります。コロナ禍では自粛していましたが、現在は職員同士でご飯やゴルフに行ったり、年齢関係なく誘ってもらったりしています。

同期でも年齢にばらつきがあり、先輩だけど同い年ということもありますが、全く気にならないですね。

ー民間での経験は公務員としてのお仕事に活かされていると感じますか?

辻本:民間時代にお客様とたくさん話していたおかげで、初対面の方とお話しすることに抵抗がなくなりましたね。そこは現在の業務も活かせていると思いますし、市役所には窓口業務もあるので、今後異動した時にも役立つのではないかと思っています。

ー最後に、これから橋本市役所の受験を検討される方へ、一言お願いします。

辻本:転職は人生の中で大きなポイントになってくると思うのですが、私も最初のきっかけは「受けてみようかな」という軽い気持ちから始まりました。結果は後からついてくるので、「とりあえず受けてみる」というだけでも良いと思っています。

今は試験の方法も変わってきていて、筆記試験の結果だけでなく、過去の経験など様々な視点で評価してもらえることがあるので、少しでも転職や橋本市で働くことに興味がある方にはチャレンジして頂きたいですね。

ー本日はありがとうございました。

この記事は2023年12月8日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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