村民から直接届く「声」にやりがいがある!〜奈良県上北山村の保健師のあり方~
奈良県上北山村の保健福祉課で保健師として働いている濱野 知美さんに、保健福祉課の体制と募集要項に関するお話を伺いました。
—これまでのご経歴を教えてください。
濱野:私が上北山村に保健師として入庁したのは、平成8年です。
就職するまで上北山村に行ったことはありませんでしたが、学生時代に下北山村での実習があった後に、上北山村と下北山村、天川村の3村で丁度保健師の募集があり、その際に同級生3人で相談して、それぞれの村に就職を決めたというのがご縁です。
土地勘がわかっていなかったので、お互いすぐ会えると思っていていざ来てみたらそれぞれの村が遠いなと。
当時は僻地に保健師がいないというところが多く、上北山村もそのひとつでした。また住民の方と身近な場所で仕事をしたいなと思っていましたので、就職を決めました。
私が来た当時の上北山村も人口1,000人位の村でしたので、その頃から村民の皆さんとほぼ顔見知りのような状況です。村民の方から声掛けがあるなど、役場職員とかなり近い関係で仕事ができていますので、とてもやりやすい環境だと思っています。
—現在所属されている保健福祉課について教えてください。
濱野:私が所属する保健福祉課は、上北山村保健センター内にあり、課長をはじめ4人在籍しています。うち保健師は私1人です。保健センターには社会福祉協議会と診療所が併設されており、連携した保健福祉サービスの活動をしています。
例えば、保健福祉課に来た方が少し体調が悪いという場合には、診療所へ受診させてもらえないかという話をしに行ったり、保健師の業務のひとつである検診を一緒にしたりしています。
他にも、ある村民の方には「こういった福祉サービスが必要ではないか」ということを社協の職員と一緒に話をして、実際にサービスに繋げています。
—保健福祉課の年齢層や、雰囲気などはいかがでしょう?
濱野:課員4人は、全員が正規職員で、年齢は50代から30代20代と離れていますが、「困ったことあったら何でも言ってよ」というような感じで日々過ごしているので、働きやすい環境だと言えますね。
保健師の人数については、平成30年ごろ1年間ほど2人体制だったようですが、最近は1人体制が続いています。
—お仕事では村民のもとを訪問することは多いのでしょうか?
濱野:外出は障害のある方への訪問が週1回ほどです。社会福祉協議会のデイサービスがある日は用事があれば保健福祉課に寄っていただいたり、私もロビーに出てお話をしたりしていますので、出るよりも来られる方への対応が多いです。
—上北山村で保健師になることのメリットはありますか?
濱野:都市部だと、保健師として就職したのにいつもデスクワークの事務ばかりしているということをよく聞きます。上北山村でも実務以外にも事務などの雑務もありますが、小規模だからこそ村民の方ときちんと関わることができるというのが最大のメリットでしょうか。
例えば、私が保健指導をした村民の方からその後「血液検査の結果が良くなった」と直接話していただいた時は、私が関わった結果だということを感じることが出来、保健師としての充実感とやりがいに繋がっています。
—今後は保健師1人体制から2人体制になることで、どのようなことを実施していきたいでしょうか?
濱野:現在村の人口は440名ほどなので、新しく入られる保健師の方には全体を知って、色々なことができるようになっていただきたいですね。
また、「本当はここまでやりたい」と思うことが、今の保健師1人体制では広く浅い範囲までしか出来ていません。ですので、保健師2人で知識もより深く学びながら実施できる事業を増やしていきたいですね。
介護保険で言えば、現在は週1回の教室を実施していますが、それだけではなく実際の疾患症例から行うべき対策を、深く考えて分析をしていきたいです。
母子保健に関しては、もっと相談に乗れる機会や皆さんが集まれる機会を設けたいと思っています。
ー上北山村の保健師募集に関する募集要項についてお伺いします。応募条件と選考過程について教えてください。
濱野:定年までの10年以上は働いてほしいので、年齢は50歳までとしています。下は新規採用の方でも全然大丈夫です。また上北山村に住んでいただけると一番良いのですが、条件ではなく通いでも構いません。
選考に関しましては、筆記試験はなく、適性検査と面接のみです。面接では応募動機や、「上北山村に入庁してどういった活動をしたいですか?」などの質疑応答を行います。
ーどのような方に来ていただきたいですか?
濱野:まずは対話が得意な方に来ていただきたいですね。保健師は相手からいかに信頼を勝ち取れるかが大事なので、「私は関係ない」というようなことを言わない人、わからないことがあったとしても1回聞いて持ち帰って、きちんとお返事をするという対応ができる人が求められます。
保健師としての指導力はおいおい付いてくるので、まずは人とお話するのが嫌だと思わない方がいいですね。
—入庁後の教育体制についてはいかがでしょう。
濱野:専門職としての知識や技術は、奈良県が実施する研修を受講して身に付けてもらいます。保健師の仕事はとにかく人と関わることが仕事なので、「お相手する方がどういう人なのか」「何故このような事業をしているのか」というのを自分から話せるようになっていただきたいと思います。
—最後に、濱野さんが考える上北山村の暮らしとその良さについて教えてください。
濱野:自然と山が好きとか、真夏に川遊びしたいとか、星が綺麗とかで、田舎暮らしを求めて移住する人も増えてきています。
田舎暮らしの困り事とか、上北山村の生活は実はどうなんだといった話を、移住した方に相談できますよ。
—本日はありがとうございました。