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「自分が生まれ育った町を、自分の手でさらに良い町にしていきたい」〜民間から行政へ。大分県日出町の建築技師の想い〜

建築事務所などの民間企業での就業を経て、令和3年度から大分県日出町役場の都市建設課 建築係に入庁された帯刀 忠文(たてわき ただふみ)さんに、民間企業から行政への転職、現在のお仕事内容、今後挑戦したいことなどについてお話を伺いました。

—はじめに、これまでの経歴を簡単にご紹介ください。

帯刀:日出町に入庁する前は、建築設計事務所で建物の設計をしていました。業務としては、打ち合わせに始まり、図面の作成や現場の管理など多岐にわたりました。

建築の世界に入る前は、もともと精密機械を扱うメーカーの技術職として民間の企業に勤めていました。

—建築設計事務所で10年以上経験を積まれたとのことですが、その後民間から大分県日出町の役場に入庁されたきっかけは?

帯刀:僕は生まれが日出町です。なので、日出町でいつか働きたいという思いがありました。そして、当時勤めていた事務所で公共建築に携わることが多かったので、その経験を活かせるのではないかなと考え、応募を決めました。

大学進学で上京していたので、遠くから日出町を見た時にあらためてその良さなどに気づき、民間の立場というより行政の立場で、違う角度から公共施設の整備をすることで、自分が生まれ育った日出町を自分の手でさらに良い町にしていけたらなと。

—民間で働きながら公務員試験を受けるにあたって、準備や勉強法などなにか対策はされましたか?

帯刀:正直に申し上げると、公務員試験に向けては全然勉強していませんでした(笑)。僕が受けた試験は、一般教養と建築の専門知識を問うものです。建築の知識については、建築士の資格の勉強もしていたのですんなり解けました。

—現在日出町役場に入庁されて3年目とのことですが、現在所属している課の体制とお仕事内容はいかがでしょう?

帯刀:現在の所属は都市建設課です。その中の建築係というところに、入庁から現在まで在籍しています。

仕事内容としましては、前職でも経験してきたような図面や設計書の作成もありますが、ほかにも公共施設の修繕業務や、建築に関する条例などの確認に来られる方の窓口対応、補助金を使うような事業の事務を行います。

建築係は僕を含め技術職が3名在籍しています。僕の上に係長職が1名、もうひとりは僕より入庁は早いのですが、7歳ほど年下の職員が1名です。

基本的には1人1業務という割り当てを行いますが、建築業務は1人で抱え込むより全員で取り組んだ方が良いアイデアが出ることが多いのと、現場には僕ともう1人といった感じで2人1組体制で向かいます。

なので、うちの係は業務の担当を決めつつも、全員で相談したり、話したりしながら遂行しています。

たとえば、他の職員が知らないことを僕が民間で経験して知っている知識があったり、その逆も然りですので、知識の共有やお互いが今どんな現場に携わっているかも把握できるんですね。なので風通しは良いです。

—業務を行う中で、行政と民間とで考え方や対応の違いなどは感じますか?

帯刀:そうですね。第一に利益優先か町民優先かという考え方はあるかなと思います。そこは違いますが、どちらも前提として「予算が決まっている」という場合が多いので、その中の最適解を追求するという点ではそこまで違いは感じないかと。

ただ、民間の場合は予算の部分でも、もう少しフレキシブルに対応できるのですが、行政の方は細かく予算が設定されているので、その限られた予算の中でどうやりくりするかというのは、行政で仕事をするうえでの面白さではあると思います。

—行政と民間との違いを感じられる中で、どのように仕事に慣れていきましたか?

帯刀:僕は入庁して2ヶ月目くらいの頃に課長クラスの方に「帯刀くんは、もう5年目かな」って言われまして(笑)。そんな冗談もありつつ、僕は建築事務所のほかにも前々職でメーカーに勤務していたこともあって、事務仕事も含めそこまで仕事に慣れることには苦労しなかったんですね。

基本的な設計や現場の仕事内容は民間の頃とあまり変わりませんが、建築現場のみを経験している場合は事務処理などに少し戸惑うかもしれません。あとは現場に行く頻度は現在の方が多いですね。工事以外の町営住宅の管理や保全も行うので。

前職と明確に違ったのは、自分の在籍している課(職場)だけではなく、色々な課(職場)と打ち合わせをする機会が多かったことです。

僕としては、知らない方といきなり会って打ち合わせするよりも、まずはその人の人柄を知っておいた方が良いなと考え、町の行事や労働組合の行事などに積極的に参加したり、プライベートでも付き合いを増やして交流を深めていきましたね。

平日の夜に集まってバトミントンしたり、休みの日も職場の仲間とゴルフやサバイバルゲームなどしています。(笑)

—残業・有給など働き方の部分で、前職と比べて変わった部分などはありますか?

帯刀:納期前など繁忙期に立て込んで残業が発生することは民間の頃と同じですね。ただ、正直休暇は取りやすくなったなと感じます。

前職は人数も少なかったので、なかなか自分以外に代わりがいないということがあったのですが、現在の係は3名で仕事をこなしているので、何かあっても「お願いしていいかな」と声をかけやすいですね。

—大分県日出町の役場で働く上でのやりがいや面白みについてはいかがでしょう。

帯刀:面白みについては先ほどもお話したように、限られた予算の中でどう立ち回るかという部分でしょうか。

決定的に「役場に入って良かったな」と思ったことは、町民の方とのコミュニケーションですね。例えば、最初クレームに近い温度感の高いところから問い合わせが始まっても、話を重ねていくうちにわかり合うことができたり、直接お会いした時にお礼の言葉を言っていただけたり。

メーカーや事務所にいた頃はクライアントとしてお客様とやりとりをする機会はありましたが、今は一般の町民の方と接する機会が増えたので、なるべく専門的な言葉を使わないようにするなど、対人関係を円滑にするための工夫も面白味です。

そういった経験は民間で働いていたときには味わえなかったので、あらためて日出町の役場に入って良かったなと思いました。

—帯刀さんはもともと日出町出身とのことですが、かつての故郷の風景と、一度日出町から離れたあとに戻られたときとで印象は変わりましたか?

帯刀:まずコンビニなどのお店が増えたなと。営業時間も、僕が子どもの頃は17〜18時には閉まっていたんですね。でも今は遅くまでお店も開いているし、住宅地も増えていて、町として発展しているなと感じます。

実際住んでいても買い物に困ることもありませんし、職業上住民の方からも色々な話を聞く機会があるのですが、「こういうお店ができるらしいよ」というような前向きな話を伺いますね。

僕としても日出町がどんどん便利になっていって人口が増えて、そこから公共施設が建つとなったときにはまた新たなやりがいを見つけられるのではないかなと思います。

—今後日出町で働く中で、叶えたいことなどはありますか?

帯刀:予算度外視で僕の夢だけをお話すると、もともとスポーツが好きなので、いつか大きなアリーナのような体育館の建設に携わって、日出町ならではの目玉行事などができるといいなと思っています。

—最後に、日出町で建築技師として働くことを目指す方にメッセージをお願いします。

帯刀:日出町の役場の環境ですが、非常に働きやすいと感じます。僕の場合は新卒の方に比べて年齢を重ねてから入庁したということもあり、年下の先輩もたくさんいるのですが、優しい方も多く民間企業から転職してきた自分のことも温かく迎え入れてくれました。

何かあったときにも相談しやすい環境ですし、行政の立場から建築の仕事をしてみたいという方はぜひチャレンジいただきたいです。

—本日はありがとうございました。

この記事は2024年3月26日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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