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「新しい保健師さんが来てくれた」町民と役場の距離の近さが魅力~静岡県川根本町が新たな保健師に求めること~

静岡県川根本町役場で保健師として働く馬場さんと榊原さんに、川根本町でのお仕事や、求める人材についてお話を伺いました。

—お二人のこれまでのご経歴を教えてください。

馬場:関西の保健師学校を卒業した後、病院の看護師として就職しました。その後、異動という形で保健福祉センターの保健師として10年間働いていたのですが、結婚して家族もできたタイミングで、生まれ育った川根本町に戻りたいと思いまして。川根本町役場に平成26年から保健師として働き始めました。

榊原:私はもともと川根本町の保健師になりたかったんです。それで、たまたま看護大学を卒業する年に川根本町役場で保健師の求人が出たんです。川根本町は小さな自治体ですから、自分が「保健師になろう」というタイミングで求人が出ているとは限りません。

そこで、思い切って卒業後すぐに保健師として働くことにしたんです。それが14年前のことですね。

馬場:私も最初から保健師を志していたのですが保健師としての採用枠がなく、まずは看護師として働く必要があったんです。看護師として臨床経験を積んでから、異動して保健師になるというルートです。

—川根本町役場では何名の方が保健師として働かれていますか?

榊原:保健師は4名です。高齢者福祉課と健康福祉課があり、保健師が各2名ずつ配置されています。高齢福祉課では高齢者を担当し、健康福祉課では母子や成人、障害福祉が担当です。馬場さんは高齢者福祉課、私は健康福祉課に所属しています。

馬場:配置換えもあるので、以前は榊原さんが高齢者福祉課、私が健康福祉課で働いていたこともありました。

—健康福祉課と高齢者福祉課の体制や役割分担について教えてください。

榊原:健康福祉課は2人の保健師が成人と母子に1人ずつカテゴリ分けされていて、障害福祉に関しては2人で対応しています。私は母子担当で、私の上司にあたる保健師が成人の担当です。担当は分かれているものの業務が重なる部分もあるので、その都度相談しながら業務を進めています。

馬場:高齢者福祉課には、保健師のほかに看護師も所属しています。事業や地区ごとに、保健師と看護師で担当を分けていて、午前中は教室や事業を実施し、午後は個別訪問をしているので、役場内の席には誰もいなかったりするんですね。

高齢福祉課の職員は、川根本町直営の地域包括支援センターの職員も兼任していまして。介護保険のプランを立てるといったケアマネジメント業務も担当しています。

ただ、毎日外出していると事務仕事をする時間がなくなってしまうので、事務仕事をする時間を意識して設けるようにしています。

例えば、午前に外出したら午後は事務仕事をするとか、週に1日は事務仕事に集中しようとか。そうしないと、時間外勤務が増えて負担が大きくなってしまいますから。この方法で、1日1時間程度の残業で済んでいます。

榊原:健康福祉課は電話相談を受ける頻度が高いですね。ただ、入庁した当時仕事を教えていただいた上司の「とにかく現場に出なさい」という教えを守って、対象者に会いに行くようにしています。

出生数が少ない現在では、高齢福祉課担当と比べると健康福祉課担当は外に出る機会が少なくなりましたが、町民からの連絡が来たり、不安を抱えたりしている人がいれば、直接訪問しています。ですから、事務仕事をやると決めた日以外は、まる1日事務所にいることはありませんね。

—高齢者福祉課と健康福祉課の間で連携体制をとっているのですか?

榊原:はい。例えば、高齢者訪問で伺ったお宅に精神障害を抱えたご家族の方がいると、健康福祉課のメンバーにも情報を共有しています。反対に、健康福祉課のスタッフから情報を提供してもらうこともあります。新型コロナワクチンの集団接種に関しても、2つの課が協力して取り組んでいます。

馬場:ほかにも、管理栄養士・看護師・保健師が集まって、町の健康課題を検討したり、情報共有や事業の進め方を相談する機会を設けています。月に1回、30分だけでもいいから、顔を合わせて話をする機会が必要だということで、専門職会議という形で、今年の4月から始めた取り組みです。

また、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業を展開していて、部署をまたいで一緒に働くことも多いんです。

具体的な例を挙げると、看護師や管理栄養士と一緒に、腎臓の働きが低下している町民を対象とした教室を開催し、参加された方を対象に個別訪問を行っています。保健師だけでなく看護師や栄養士もそれぞれ訪問し、他の専門職員に情報を共有しているんです。連携しながら働けていると思います。

榊原:看護師や管理栄養士、保健師といった専門職だけではなく、課内の事務担当職員との連携も取れています。事務的な仕事や予算といった分野においては、お願いすることも多いんです。事務職の方たちも私たちの動きを見て仕事を把握してくださっているので、相談や話し合いもスムーズですね。

馬場:職員の人数が多くはありませんし、職員同士の横のつながりは比較的強いと思います。別の部署の職員からも、倒木や工事で道路が通行止めになっている情報など、「訪問の時に気をつけてね」と言って教えてもらうことも多いんですよ。保健師間だけでなく、町役場の職員とも連携が取れていて、働きやすい環境だと思います。

—川根本町役場で保健師として働くやりがいを教えてください。

馬場:川根本町は町民と保健師の繋がりが強いと感じています。訪問回数の制限もないので、私はできる限りお宅に頻繁に訪問しています。毎日伺う場合すらあります。顔や名前、現状は自然と覚えて把握していますね。町民の方も私を見て保健師だとわかっていて声をかけてくれて。覚えてもらえるのって、やっぱり嬉しいです。

先日も休みの日にスーパーでばったり会って、「休みの日にごめんね」と言いながら相談をもちかけられることもあり(笑)。保健師を頼って来てくださるのは嬉しいですね。

保健師という仕事は、小さな子どもが成長していく過程にも関わりますし、病気になったり弱ったりした高齢者の方を支援できる仕事です。このような過程から学ぶことも多く、支援した結果が見えるのもいいですね。

川根本町ならではといった点は、上から指示された事業だけをやるのではなく、現場で感じたことを事業に反映させられるところにやりがいがあります。

榊原:やりがいは、先ほど馬場さんが全部話してくれましたね(笑)。あとは、私も町民の方を通して、保健師として勉強させてもらっているなと感じることが多いです。保健師としてだけでなく人間として考えさせられるシーンもあり、人間として成長させてもらっています。

—今後の課題について教えてください。

馬場:昨年、町民みんなが知っているほどのカリスマ保健師が退職されたんです。榊原さんが入庁した時に教育担当をされていた方であり、私が保健師を目指すきっかけになった方でもありました。

今在籍している4人の保健師で一生懸命業務に取り組んでいますが、正直なところその方の穴は非常に大きく、人手不足です。

それでも、地区で開催する教室の回数は減らしていません。人が足りないので1名体制で行っているのですが、参加する町民の方に「今日は保健師さん1人なのね」と言われてしまうこともあります。町の方は保健師が地区に出向くことを心待ちにしてくれているというありがたさを感じながら、申し訳ない気持ちにもなります。

ですので、これから保健師の数を2、3名体制にして教室を開催したいです。現状では訪問時のお話の時間を少し短くしているので、お話をじっくり聞く時間を持ちたいと思っています。保健師の人数が増えれば、私たちがやりたいことに取り組めそうなので。

—どんな方と一緒に働きたいですか?

榊原:デスクワークが好きというよりは、人とお話するのが好き、現場で運営するのが好きという方がいいですね。町民とたくさん接して欲しいので、心も体も元気な方に来ていただきたいです。

馬場:人に興味を持てる人だといいなと思います。町民と接する時、「どんな人なんだろう?」「どんな生活をしているんだろう?」「どんな仕事をしてきたんだろう?」と、興味を持ってお話できるといいですね。

—研修・育成制度はありますか?

榊原:新しく保健師として入られた方には、現場に同行していただきます。町民とたくさん接することが、仕事を覚える近道ですから。私も最初の上司に訪問や教室など、いろんなところに連れて行ってもらいました。見たり話を聞いているだけでも勉強になるんです。

また、職員全員で相談しながら業務が進められる環境なので、必要なことは入庁後一緒に考えられたらいいと思います。

馬場:現場に出ると、町民に顔を知ってもらえるのもいいんですね。「新しい保健師さんが来てくれた」って、お年寄りも大喜びですよ。顔を知ってもらい、話す機会があれば、町民の方も自然と受け入れてくれますよ。

榊原:私たち2人はたまたま川根本町の出身ですが、町外からの転職も大歓迎です。町民の方も「どこから来たの?」という質問からおしゃべりが始まりますから! 私たちも町外から来た人には興味が湧きます。

最近では川根本町に移住してきた方も多いんですね。町外から来た人だとまた新しい視点が得られて、今の保健師としての仕事にも新しい展開が起こるのではないかと期待しています。

この記事は2023年12月21日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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