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【保健師】悩む。笑う。考える。人間に触れる私たちのお仕事

今回は那智勝浦町保健師の仲良しコンビ、寺前さんと濵田さんにお話を伺いました。

―まず、入庁までの流れを教えてください。

濵田:看護大学に通って、新卒で那智勝浦町役場に保健師として入庁しました。今年で4年目です。

寺前:私は看護大学を出て、最初は付属の大学病院で看護師をしました。それから地元に帰ってきてまた看護師をして、そこから保健師に転職して那智勝浦町役場に入りました。今年で6年目です。

―那智勝浦町を選んだ理由を教えてください。

濵田:中学校1年生のときに大きな水害があって、その災害で地域のボランティアにいったときに、そこで初めて保健師っていう職業に出会いました。普段から病気になる前の人を対象に、しかも子供から高齢者まで幅広い世代を対象に関わっておくことでそういう災害のときに少しでも地元の力になれたらいいなと思ったので。

寺前:私は小さいときから那智勝浦町で育ったっていうのが一番の理由です。あと、帰ってきてすぐに勤めた病院で結婚して子供が生まれたんですけど、乳幼児健診を受けたとき、子供が健診で引っかかったんです。そのときいろんな(発達の)教室を紹介されたんですけど、その紹介のされ方が、親にとって受け入れづらいことを言われているはずなのに嫌な感じじゃなくて、那智勝浦町の保健師さん、いいなって。この人達と働きたいなって思ったのがきっかけです。

―では、次に入庁後の仕事歴を教えてください。

寺前:最初の3年間は母子保健を担当して、乳幼児健診や子供の教室を受け持ちました。4年目からは精神保健分野で、町民の皆さんの心の健康の維持、増進の働きかけをしたり、あとは職員の健康管理も担当してます。

濵田:私も1年目で母子保健に配属されて、寺前さんのもとで1年働かせてもらって、引き続き3年間母子保健をしました。4年目で初めての異動で成人の健康づくり担当になって、町民の皆さんと関わって生活習慣病の予防や検診の受診を促すといったお仕事をしてます。

―最初はすんなり仕事に馴染めましたか。

濵田:最初はデスクに座ってるだけですごく緊張して・・・別に周りがすごい威圧感出してたとかではないんですけど、やっぱり社会人1年目で、しかも出産経験のない自分が母子保健担当になって、保護者に保健指導をする立場になるっていうので、そこら辺の葛藤はありつつも、サポートを受けながら、徐々になじんでたっていう感じです。

寺前:入ったときに思ったのは、みんなが電話の1~2コールで出たときに言う「いつもお世話になります」とか、「お手数おかけします」とか流暢なワードが出てこなさすぎて、看護師のときにはなかったから・・・でも1ヶ月もしたら流暢に喋ってました。

あとwordとexcelができた方がいい。専門職といえども、地域を駆け回っていたらいいって話でもなく、パソコンは最初慣れてなかったので苦戦しました。いまだに得意ではないので隣の人にお願いすることもあります。

―小さい町で仕事もそこまで細分化されてないから、何でもやらなきゃいけないっていうのはありますよね。お二人の職場の雰囲気はどうですか。

寺前:今の部署は繁忙期とそうでないときと波があって、繁忙期のときはみんなで手伝いながらやるんですけど、ストレスが溜まっても言いやすい。「もう無理」って言うし、誰かが同じことを言ってきたら「私の方がしんどいし」みたいな言い合いができる。言いにくい雰囲気だとどんどん疲れるからそれはありがたい。おかげであんまり家にストレスとか疲れを持ち帰らないで済んでます。

―仕事内容についてもお聞きします。仕事がうまくいったと思うのはどんなときですか。

寺前:例えば母子(担当)で、相談にこられたお母さんが、最初に「保健師さんいますか」じゃなくって、「寺前さんいますか」って指名で相談に来てくれたりすると、アガる(笑)。

あと、会議で地域の課題を分析した結果を発表したときに、反応よかったりすると、上手くいきましたありがとうございますって感じで美味しいお酒が飲めます。

―逆に、仕事がうまくいかなかったと思うのはどんなときですか。

濵田:窓口業務が多いので、今日やるって決めてた仕事が全く進んでないなってことはよくあります。あと異動して1年目で全部初めての仕事なので、その仕事について知るところから始めて、窓口もあって・・・そういうのが重なったときに、ちょっと自分に余裕がなくなってきたら、普段はスイスイ進む仕事でも滞っちゃうときはありますね。

寺前:私ね、そんな上手くいってないよね基本。

濵田:めちゃめちゃ周りから見たらバリキャリですけどね。

寺前:別にうまくいってないんですけど、うまくいってないのを楽しんでるって感じです。次の手を次の手をって考えて、10回ぐらい頑張ってうまくいったら、「うまくいってくれたのありがとう!」みたいな。

―つらかった仕事はありますか?

寺前:自分のプライベートな部分と似たケースを支援するときがあって、思い入れが強くなりすぎないように自分の中でブレーキをかけないといけないというのはあります。相手につらそうなことが起こったときに、あんまりクールに切り替えられなくて、もうあたかも自分が本当に同じことが起こってつらかったみたいに感じちゃう。

私とそっくりな悩みを持った家族っていっぱいいるし、わかるわかると思いながら、自分のところも解決できてないのに、相手の似たような問題を解決させるのは難しくて、自分の能力の限界を感じます。

濵田:私は母子(担当)で、就園や就学でこどもにとって環境が大きく変わる時期ですね。保健指導として、保護者にとって受け入れがたいことを保健師から伝えなければいけないことを、どのように伝えればいいかと言葉に選択に悩みます。保護者からしても「ダメなところしか言ってくれない」って感じちゃうことも多分あると思うんです。

―正解のない難しさはありますよね。では次に働きやすさについてもお聞きします。有給休暇の使いやすさや残業の量はどうですか?

濵田:有休は使いやすいです。取る方も繁忙期は避けたりっていう配慮は必要とは思うんですけど、周りも休むから、後ろめたさもなく「ちょっと遊びに行きたいので休みください」って言えます。

寺前:残業もそんなにないですね。忙しい時期とか、1週間のうちこの日だけは、っていうのはたまにありますけど。

―次の質問です。那智勝浦町役場は女性が働きやすい職場だと思いますか。

寺前:働きやすいよね。部署的に女性が多い割に女性独特のギスギス感とかあまりなくて、思いと思いが食い違ってても正直にぶつかりやすいし、もう全然後に引かずそのまま良好な関係を維持できるし。

それに子育て世代の職員だと子供が急に熱出したりするじゃないですか。そういうのも言いやすい。産休育休もみんな普通に取って普通に戻ってきますし。

あと私のおすすめなんですけど、復帰した後も子供が6歳までは時短が取れるんです。私は朝の1時間だけ取って9時半出勤にしてました。みんなと同じように8時半に出勤するためには、子供をめちゃくちゃ急かしながら準備させて保育所に連れて行かないといけないっていうのが嫌だったので。時短おすすめですよ。

―次はプライベートも含めてお伺いします。那智勝浦町は都会から遠い、いわゆる僻地ですが、生活する上でいいところや悪いところを教えてください。

濵田:交通の便は悪いかなとは思うんですけど、車があったら別にどこでも行けるし、都会でライブとか行っても人の多さに疲れるので、やっぱりこれぐらいでいいかなっていうのはあります。不便だけど不自由はしてないっていう感じですね。

集団意識が強いところ、どこ行っても話しかけられちゃうところはいいところでもあり、悪いところでもありますね。

あと海や川があるっていうのは大事。

―最後、応募を考えている人に伝えたいことがあれば。

濵田:新卒で保健師として入ったんですけど、看護師を何年か経験しておいた方がいい部分もあるかなって。薬とか疾患名って大学で勉強はしてますけど、やっぱり現場の方が実際にこの薬を処方されて、その副作用で次はどういう二次障害が起こるとか、流れがわかる。そういう面では看護師経験があった方がいいっていうのは思います。

寺前:訪問に行ったときに、心のケアが必要なのか、体のケアを優先した方がいいのか、喋るだけじゃなくて触ったり計測したりしてその場で考えないといけない場面が意外と多くて。そういうのを判断するときには、(看護師を)経験しておいてよかったなと思いますね。でも、あるに越したことはないっていうだけなので、別になくても何とかなります。

あと、働いていたらいろんな人がいますけど、同僚が全員いい人ばっかりでうまくいくこともあれば、自分とはちょっと合わないかなっていう人だっていると思うんです。ストレス溜まるかもしれないですけど、日々のストレスは出していった方がいい。私聞きますよ。

―寺前さんが企画した「こころの休憩室」ですね。

寺前:職員のストレスチェック結果を分析してみたら、全体に共通してた課題はもうちょっと早めに対応してあげた方がいいんじゃないか、ということだったので、それなら「何でも聞きますよ」っていう窓口が1本あってもいいのかなって思って。実際に利用もしていただいて、軽い気持ちでふらっと来てくれます。

―本日はどうもありがとうございました。

この記事は2024年8月28日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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