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「自分が書いた図面が、将来、街の地図に残る」〜長崎県平戸市の土木技術職として働くメリット〜

長崎県平戸市役所に入庁し、現在は建設課道路建設班に所属している瀧下 友和さんと⼭中 剛史さんに、課内での仕事内容、平戸市の土木職として求める人材像や平戸市で実践しようとしている試みについてお話を伺いました。

—はじめに、お二人のこれまでの経歴を簡単にご紹介ください。

瀧下:入庁は平成10年です。農林課と建設課、水道局と異動を経て、現在は建設課の参事兼道路建設班長を勤めております。それまでは民間の土木現場を経験し、そこから地元である平戸市役所に転職しています。

山中:土木工学科のある大学に進学し、大学卒業後新卒で平成13年に入庁しました。最初は建設課、次が都市計画課、農林課と水産課を経由して、今年の4月から建設課で、係長をしています。

私は地元が長崎市なので平戸市からは離れているのですが、大学で土木を専攻して卒業するにあたって、長崎県内で就職したいと考えていました。その時土木技師の採用試験がある自治体で、調べることができたのが平戸市だけだったので、平戸市を受験しました。

私が就職活動をしていた当時はどこでも土木技師の採用募集を行っているという感じではなかったと記憶しています。

—現在お二人が所属されている建設課の組織体制についてお伺いします。課内の班分けはどのようになっていますか?

瀧下:建設課は現在4つの班で構成されており、道路建設班、維持補修班、総務管理班、地籍調査班という班構成です。

そのうち総務管理班は事務職になります。地籍調査班は土地の区画を測って、境界(筆界)と地積(面積)をはっきりさせて土地の形を決め、綺麗な地図を作っていくというのが仕事です。現在土木技師は所属していません。

建設課内で土木技師が所属しているのは道路建設班と維持補修班になります。

山中:私と瀧下が所属している道路建設班は、主に道の拡幅など道路改良工事を担っています。維持補修班はその名の通り道路や橋、河川の維持管理や補修を行っています。

—建設課以外に、土木技術職の方々はどのような課に配属されることがあり得るでしょうか?

瀧下:まず都市計画課の方は現在電線類の地中化が推進されていますので、その担当になっている土木技術がいます。あとは建築技師が4名所属しており、公共施設のことや、個人申請の確認などをしています。

次に農林水産部の方に農林整備課と⽔産課があり、農林整備課では⽥の区画整理や⼭林⼿続きの仕事をしています。

山中:⽔産課では漁港の防波堤や岸壁などの建設や維持補修、要望対応を行っています。

瀧下:あとは水道局で⽔道管の更新や現場管理をしています。水道局のみ別館ですが、市役所から100mほどで着く距離にありますので、実質本庁舎での勤務と変わらないかと。

—平戸市役所は本庁舎のみなのでしょうか? 支所への異動等はありますか?

山中:平戸市役所は本庁舎のみの配属ですね。以前は離島への配属もあったのですが、現在土木技師で離島に常駐している者はいない状況です。

瀧下:本市はほぼ車で移動できますが、大島・度島だけはフェリーでの移動になるので、大島支所は支所にいる職員に現場を見に行ってもらって、写真を送っていただくことで対応しています。

—お仕事の流れとしては、1人で一つの案件を受け持つという感じでしょうか? それとも複数人で一つの案件に関わるという感じでしょうか?

瀧下:うちの班は土木技師が4名所属しており、本数として今年度は18本の改良路線を担当しています。

山中:基本的に主担当者とその補助をする副担当者という振り分けを行い、実質2名で1本持っていることになりますが、たとえばA案件の主担当者でありB案件の副担当者でもあるという感じで複数の案件を担当することになります。

瀧下:なので細かい内訳は都度変わりますが、今年度は4名で合計18本を担当している、ということになります。

—現在平戸市役所内に在籍している土木技師の方は全体で何名いらっしゃいますか?

瀧下:現在、21名在職しています。そのほか建築関係で4名、水道管理で6名います。そういった技術職の有志を集めて「平⼾市建設技術者会」という会を開いています。

—今お話が出た「平⼾市建設技術者会」の概要についてお伺いします。どのような活動や取り組みをされているのでしょうか?

山中:平⼾市建設技術者会は主に技術者間でのつながりを持ち、情報共有や、情報交換、技術研鑽を行っています。会としては年に1度総会があり、それぞれの課に幹事がいるので声を掛け合ったうえで時間があるときに勉強会を企画して、年1、2回程度研修を行ったり、過去には自分たちが行った珍しい工事などの事例発表を行ったりしています。

瀧下:近年はコロナのこともあり色々活動が停止してましたが、昨年は平戸市南部で新設トンネルの建設があったので、20名程度で現地研修をしました。他には平戸に風車を十基建てる現場があった際に、現地研修を行いました。

山中:研修や勉強会に定員数は特に設けておらず、行ける人だけでという感じですが、技術職としての技術研鑽ができるように個々で時間調整し参加するようにしています。

—技術者会で技術者同士の交流を行っているのですね。交流の点で言うと、技術職の方々の年齢層はどのくらいなのでしょうか?

瀧下:平戸市は40代〜50代前後が一番固まっていますね。

山中:20代が2名程度、30代が2名程度ですね。

瀧下:平均で言えば44歳です。年齢があがってきているので、なるべく若い世代も入ってきてほしいです。

—新卒や中途の若い土木技師の方が入庁した際、研修や育成はどのように行っていますか?

山中:個別に研修や勉強を行うというよりも、まずは現場について実践しながら学んでいってもらうことの方が多いですね。現場によって進め方や業務内容が異なりますので。

具体的には極力自分の力で判断できそうな現場には1人で行ってもらって、応用が必要な現場には経験値のある者と一緒に行って学んでもらうような形にしてます。

瀧下:研修という部分では、他の現場でも使うような知識や技術はまず始めに教えます。我々のような技術職で言うと測量などですね。測量はどの現場でも行うので、それを教えて、あとは現場で業者さんと一緒について学んでもらっています。

平戸市としては、高卒で入庁した職員で土木の知識がほとんどない、もしくは現場経験がないという方の場合は1、2年かけてマンツーマンで育成していくという方針で、それ以外の民間の現場経験のある者や専門学校・大学などで専門的な教育を受けて土木の知識がある方については基礎知識があるということで、だいたい半年程度で1人で行けそうな現場があれば行ってもらうこともあります。

—職員の年齢は上の世代(4、50代)が多いと仰っていましたが、若手も含め課内の連携や風通しの良さなどはいかがでしょう。

山中:上の世代が多いので、どうしても年功序列になってくる部分が無いとは言えません。知識や経験では、上の世代の方が技術的な面で持ってる「正解」の数は多いのですから。だからといって上の世代が言うことがすべてということではなく、若い技術職が自分で考えて導き出したことに対しては、一緒に検討し頭ごなしに否定したり、ということはしません。

そういう意味ではトップダウンではないので、若手も相談しやすい環境になるようには心がけています。

—平戸市で働くことのメリットや、平戸市役所の技術職ならではの特色があればお聞かせください。

山中:平戸市では今新しい技術を積極的に取り入れていこうという方向になっています。たとえばドローンを飛ばしてレーザー測量を行うという想定や、各システムを駆使して自分たちの仕事の量を減らして質をあげる取り組みを行おうとしています。

瀧下:ドローンは今年度実際に購入するという段階に入っていまして、うまくいけば現地に行って測量をするという時間と手間を省いて、レーザーで測量を行って図面を作るのが楽になるだろうという動きがあります。

山中:あと特色で言えば、道路改良工事の図面を自分たちで計画するというところです。昔ながらのやり方にはなるとは思うのですが、すべてを委託する自治体も多い中ですべての工程を自分たちで行うので、技術的にも勉強になりますし、自主性を育てることにもなると思います。

瀧下:自分が書いた図面が地図に残り、自分が計画した構造物が街の中に残るというのは大きいですよね。

—平戸市役所の土木技術職に求める人材像などがあれば教えてください。

瀧下:「イメージがすぐできる人」ですかね。どういう構造物を建てるかとなったときに、口で説明したものを具体的にイメージが思い浮かぶ人が良いのかなと感じます。

—技術職のみなさんの働き方についてお伺いします。残業の有無や有給など、働きやすさの点はいかがですか?

山中:年間を通して四六時中残業しているということはないと思いますが、時期によっては工事が集中することもあるので、残業が発生する場合もあります。

瀧下:有給もよっぽどのことがないかぎりはスムーズに取りやすいと思います。

—最後に、土木技術職を目指す方にメッセージをお願いします。

山中:一般的な事務職の方に比べると、土木技師は設計をしたり工事の監督をしたりと専門的な知識が必要になる反面、自分が携わったものが形になり、むこう50年近く形として残り、見ることができるので、そのやりがいはあると思います。

ぜひ若い技術職の方も含め、平戸市で一緒に働いてくれたら嬉しいです。

—本日はありがとうございました。

この記事は2024年8月15日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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