見出し画像

人を守り、助けるために。命の現場と向き合う若手消防士〜和歌山県有田市・生まれ育った町の安心を支える〜

和歌山県有田市の消防士である森さんに、消防を目指したきっかけや消防本部での取り組み、救急の現場での業務についてお話を伺いました。

ー入庁までのご経歴についてお聞かせください。

森:生まれも育ちも有田市です。高校は奈良県でしたが、和歌山にもどり令和4年度採用で入庁しました。4月から9月までは和歌山市内の消防学校で学び、10月に有田市に戻り消防本部に配属され、現在3年目です。

ー地元の消防士という選択をした理由はなんですか?

森:和歌山県の消防を受験するなら、実家があり家族がいる有田市で働きたかったんです。そのため、有田市の採用試験しか受けていません。もしも落ちたときは進学など別の道を経て、再挑戦しようと考えていました。

消防を目指したきっかけは、中学生のときの出来事ですね。部活の試合で怪我をしてしまったんです。救急車を呼んでもらい、救急隊にお世話になったことで、消防に興味を持ち始めました。中学校の職場体験でも有田市の消防本部に行きました。

ずっと消防を意識していたわけではなかったのですが、進路を考えた際、前述の中学時代のことを思いだし、また身体を動かす仕事がいいな、という思いもありましたので、消防を第一と志すようになりました。

ー消防本部での働き方や、職員構成についてもお聞かせください。

森:消防本部は1班12名の隊が3隊あり、3交代制で勤務しています。24時間勤務のあとに2日休み、という勤務形態が基本です。また、8時30分から17時15分までの日勤日も21日間隔で設けられています。

ー消防本部に配属された後は、まずどのように業務がスタートするのでしょうか?

森:消防学校で習ってきたことを含めてもう一度イチから教えてもらいますね。やはり、勉強してきたことと実際の現場で求められるものとでは大きな違いがあります。備えてきた知識を「現場用」にする必要があるんです。

そのため、最初から現場活動を行いました。救急はルール上すぐに行くことはできませんが、消火作業であれば一緒に現場に向かい、指示を受けながら放水活動を行いました。

ー隊の構成は毎年同じなんでしょうか?また、教育体制についてもお聞かせください。

森:12名構成のまま、毎年隊員がシャッフルされます。有田市消防本部では救助も消火も救急も全て兼任ですが、救急救命士がそれぞれの隊に専属で配置されています。かといって、救急対応の場合に救急救命士だけで駆けつけるわけではありません。

たとえば、対象者が心肺停止や意識・呼吸なしの状態で搬送が困難であるという場合は、私たちポンプ隊(消火活動を行う部隊)も同行して共に活動しています。現場のケースによって柔軟な対応が必要です。

教育体制については、専任の教育担当が常につくわけではなく、訓練に取り組む中で先輩隊員たちから教えていただきながら覚えていく形です。

ー今後は、救急救命士を目指すことも考えているのでしょうか?

森:現在はまだ、消防士としての業務を学び経験を積んでいる最中ですので、救急救命士を志すというところまでは至っておりません。ですが、有田市は火事よりも救急の方が多い状況。今後は救急の知識もしっかりつけていきたいなと思っています。

ー消防士として働く中で、どんなときにやりがいを感じますか?また、ここはもっと頑張りたいと感じる部分についてもお聞かせください。

森:救急の現場では「ありがとうございます」と言ってもらえることも多く、嬉しいですね。また、消防士としての知識をしっかりつけないといけないな、と改めて感じるきっかけにもなります。

たとえば、私の場合は一つ一つの行動を確認しながらあれこれ考え、指示を出されてようやく動いていますが、先輩隊員はやはり救急や救助の知識に富んでいて「その現場であれば、これをやらなあかんな」というのがパッと出るんです。

救急救命士の方も、「この症状とこの症状があるのなら大体この病気かな」と見当をつけて業務にあたっている。すごいな、と感じますね。

ー入庁して、ギャップを感じたことはありますか?

森:消防士といえば現場での業務が多いものだと思っていましたが、実は事務仕事で忙しいことも多いんです。そこはイメージと異なっていましたね。

ー 1日の勤務の流れはどのような形なのでしょうか?

森:8時30分にチーム交代を行い、前の隊からの申し送り事項を引き継ぎます。その後、それぞれの車両の点検を実施し、9時から12時までは訓練。1時間の昼休憩をとり、13時から17時15分までは基本的に事務仕事の時間です。もちろん、その間に要請が入れば現場に出動します。

17時15分以降は引き続き事務仕事をする場合もあれば、走ったりトレーニングを行うこともありますね。隊員によって通報の受付を行う指令室での業務に入るので、晩御飯は各々とる形です。事務仕事が終われば仮眠時間となり、翌朝8時30分に24時間勤務が終了します。

ー職場では厳しい上下関係もあるのでしょうか?

森:私よりも上の世代の隊員が多いこともあり、上下関係はしっかりとあります。消防では、訓練一つをとってみても、実際に起こりうる現場を想定して取り組んでいます。人を守る・助けるということにおいて失敗は許されません。

先輩隊員たちも、「人を助ける」ことに対して強い責任感を持っています。ある程度の厳しさは必要なのではないでしょうか。かといって、全てにおいて厳しいというわけではありません。気楽に話しかけてくださる先輩隊員も大勢います。「締めるところは締める」ということですね。

ー森さんの隊はどのような年齢構成になっているのでしょうか?

森:40代30代の隊員が多く、20代の隊員は各班に1、2人いるイメージです。

ーお休みについてもお聞かせください。

森:24時間勤務のあとは非番・週休日がありますが災害があれば招集されます。

そのため、休みの日は自宅で待機するか、用事があっても市内で済ませるようにすることが多いです。

ー隊員同士の交流は多いのでしょうか?

森:年に数回、隊全体での飲み会があります。毎年4月には隊が変わってしまうこともあり、隊員同士の交流を深める良い機会になっていますね。隊員によっては、プライベートでの交流も多いですよ。

ー最後に、有田市の魅力についてお聞かせください。

森:和歌山市や大阪にも出やすく、とても暮らしやすい町ですね。みかんをはじめとする魅力的な特産物があり、海や山などの豊かな自然に恵まれている。生まれ育った有田市の大きな魅力です。

ー本日はありがとうございました。

この記事は2024年10月28日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

有田市役所の採用情報はこちら