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「困ったらまず役場に相談に行こう」〜アットホームな岩手県住田町役場と住民の関わり〜

令和2年度に岩手県住田町へ入庁した紺野 尚之さんと佐々木ナナさんに、入庁のきっかけや公務員としての働き方、やりがい、今後の展望についてお話を伺いました。

—はじめに、ご経歴をお願いします。

紺野:地元の高校を卒業後、公務員を目指すために仙台市にある専門学校に進学しました。卒業後は民間企業に就職したのですが、もう一度公務員を目指すため退職し、住田町に入庁しました。

佐々木:入庁前は県内の高校を卒業し、そのまま県内の四年制大学に進学。その後、新卒で住田町に入庁しました。

—住田町役場で公務員になろうと思われたきっかけは何でしたか?

紺野:公務員になることを目標にしたのは高校2年生の時です。それ以前は目標が見つからず高校卒業後に就職するのか進学するのか迷っていました。

そんなときに、高校でSPIという適性検査があり、出た結果の中に向いている職業として公務員があったことを受け、進路指導の先生とも相談し、最終的に公務員を目指すことを決めました。

住田町を選んだ理由は、自分の地元であるということが大きいです。

佐々木:元々、博物館学芸員になることが夢だったので、大学では考古学を学んでいました。博物館学芸員として働くためには、博物館が募集する採用試験を経て職員となる場合と、公務員として自治体職員となって博物館に配属される場合と2通りの方法がありました。

公務員を目指したのも、博物館学芸員として働きたいという思いがあったからです。住田町は、大学の恩師がたまたま住田町の文化財に携わっていたご縁で、受験を勧めていただきました。

—お二人とも令和2年度入庁とのことですが、当時の試験内容はどのようなものでしたか? また、試験対策はどのように行いましたか?

紺野:「住田町をPRしてください」というテーマの作文だったかと思います。試験対策は、通っていた専門学校からもらった問題集や自分で購入した問題集を使って勉強していました。

佐々木:私の時は「あなたの心に残っている言葉」というテーマで作文があったと思います。その後別日に面接試験がありました。試験対策としては、大学で公務員対策の授業があったので、そちらを受講していました。

—入庁1年目はどのような教育体制でしたか?

紺野:配属したての頃は先輩や上司に都度教えていただきながら進めていました。また、農政課(現:農政商工課)は現場に出ることも多く、勉強のため現地に連れて行っていただくこともありました。あとは空いた時間に、簿冊や新聞を見て勉強するといった感じでした。

佐々木:各課長職の方から「この課ではこういった仕事をしている」という庁舎内研修を受けました。ほかにも例年は盛岡市で行う新任研修が予定されていましたが、私たちが入庁した令和2年度はちょうど新型コロナウイルスが流行し始めた時期で、そちらは中止になってしまいました。今でもそうですが、仕事の多くは、業務の中で都度教えていただくことが多いです。

—入庁から現在までに配属された課と、仕事内容や体制を教えてください。

紺野:初めの3年間は農政課に所属し、畜産や獣害対策などを担当していました。

現在は企画財政課に所属しています。企画財政課は正規職員が9名、会計年度任用職員が1名の合計10名です。係は2つに分かれていて、町の予算を管理する財政係と企画調査係があります。

私は企画調査係に所属し、主な業務としては昨年度町内にオープンしたリモートワークやテレワークができる「仕事と学び複合施設(愛称:イコウェルすみた)」関連の業務です。管理運営や、利用者確保のためのイベント開催などを行っています。

ほかにも企業版ふるさと納税なども担当しています。そちらは寄付を集めるために町のホームページや民間企業のポータルサイトを活用し情報を発信して寄付を呼びかけています。

佐々木:最初は税務課で個人住民税を担当していました。個人住民税は所得に関係する課税ですので、それに関連して確定申告などの申告の相談も担当していました。

その後、町民生活課に異動になりましたが、令和6年度に税務課と町民生活課が統合され、住民税務課という1つの課になり、現在も所属しています。今の担当は医療費の給付と軽自動車税です。

住民税務課には係が3つあります。私が所属している住民国保係は医療費給付の他、保険の管理、戸籍・住民票の管理、国民年金に関することなどを担当しています。その他に税金の賦課や徴収・役場内でのお金の収入や支出を管理する税務課・会計室、交通安全や犬の予防接種、公共交通、廃棄物などの環境衛生を担当している生活環境係があります。正規職員が13名、会計年度任用職員が5名の大所帯の部署ですね。

医療費の給付は町民生活課時代から担当しており、受給者が病院や薬局を受診した際に支払った一部負担金に対して給付を行う制度です。

軽自動車税はその名の通り軽自動車に対する賦課と徴収を業務としています。軽自動車といえば、道路を走る車を想像していましたが、公道を走るトラクターなどの小型特殊自動車も軽自動車税が課税されるということは、実際に担当になるまで知りませんでした。

—現在の部署の、1年間のお仕事の流れや残業の有無、課内の雰囲気などについて教えていただけますか?

紺野:施設運営ですと、昨年度中に計画書を作成し、今年度それに沿った事業を起こしていくこととしています。たとえば夏休みや冬休み期間中に、小中学生をターゲットにしたイベントを開催したり、それ以外でも大人が参加できるセミナーや講演会を催したりと、定期的にイベントを開催しようと進めているところです。

開催に向けて、2カ月ほど前から準備を行いますので、定期的なイベントとなると同時並行で進めることもあるため、忙しく残業してしまうこともあります。

課内の雰囲気は明るいと思います。業務時間外に長話をしてしまうこともありますし、業務のことについても係長はじめ何かあればすぐ相談に乗ってくださる人が多いです。

佐々木:医療費の給付は毎月ルーティーンであります。加えて受給者に交付する受給者証の有効期限が1年なので、更新の時期となる6・7月は忙しくなるかなというところです。

軽自動車税の方は4月1日時点の納税義務者に課税するというものになりますので、4月から賦課の準備を行い納付書を発送後、納付を受け付けます。また、軽自動車税には減免の制度があるのでその受付や相談、所有者が亡くなるなどした後の変更手続きがされていない場合は、その案内も同時期に行いますので、その時期も残業が多くなります。

課内は優しい方が多いですね。職員の中では若手の方なので、私生活も含め気にかけていただくことが多いです。仕事の上でも何か困ったことがあれば、一番近くにいる職員に相談していると、他の方も集まってみんなで考えてくださったり、方針を決めてくださいます。

—仕事で面白さを感じるときや、逆に大変だなと感じるときはありますか?

紺野:「仕事と学び複合施設」でのイベント開催に協力いただいたこともありますし、業務外のところで、食事やイベントに誘っていただくなど今でも交流が続いている方もいます。

大変だと感じたのは、「仕事と学び複合施設」の運営に関することです。オープンしたばかりということもあり、事務手続きのマニュアル化や運営の方向性など一から考えなければならないことが多いですが、たくさんの方に助けていただきながら進めています。

佐々木:住民税務課は庁舎一階の総合窓口も併設している関係で、担当部署に関わらず住民の方のお話しを聞くことが多い部署です。

特に印象に残っているご相談は「家でモルモットが7匹生まれたんだけどどうすればいい?」というものです(笑)。役場に困りごとの相談のために来庁される方の多くが「困ったらとりあえず役場に行く」とおっしゃります。公務員というと、お堅いイメージがありますが、実際は“困ったときの駆け込み寺”ぐらいの気軽さで来る住民の方が多いです。

ちなみにモルモットの件は「その後スクスク成長した」と住民の方が再度来庁されました(笑)。住民の方と接する機会も多いですし、他の部署がどのような仕事をしているかを知ることができるのは面白いなと思います。

ただ、楽しい相談だけでなく、中には生活に関わるような深刻な問題を抱えている住民の方も相談に来られるので、そういった時は特に緊張感を持って対応します。

—住田町で働いたり暮らしたりする中で、住田町ならではだと感じることはありますか?

紺野:移住されてきた方が町内で事業を起こす方が多いように感じます。それも住民の方もオープンな方が多く、なじみやすい町だからだと思っています。

佐々木:そうですね。住民の方も「他所は他所。うちはうち」というような感じはまったくなく、分け隔てなく移住された方を受け入れる土壌が整っていると感じます。

—今後の展望を教えてください。

紺野:私は農政課と企画財政課と2つの課を経験させていただきましたが、残りの課、また同じ課であっても携わったことのない係を含めたくさんの経験を積んでいきたいと考えています。

佐々木:今はご縁があって今の業務に携わっていますが、学生の頃から文化財と人に携わる仕事をしたいと思っていたので、いずれは文化財を活用して住民の方と交流ができる仕事ができたらいいなと考えています。

—最後に、住田町役場を目指す方へメッセージをお願いします。

紺野:「公務員試験を受けに行く」という目的以外にも、観光として町を巡って探検してみるのも住田町の良さを感じられて良いのかなと思います。まずは、住田を満喫してみませんか。

佐々木:市町村、特に住田町のような小さな市町村では他機関と連携を密にして、住民の方に寄り添った仕事が多いです。その“連携”や“寄り添い”の中に“やりがい”を見つける方もいるでしょうし、“本当に自分がやりたいこと”を見出す方もいると思います。

実際に携わってみないと分からない事は、社会にはたくさんあります。そのような状況で、たった数年の就職活動期間に、自分が定年退職するまでの3,40年間勤め上げる職(場)と巡り合うのは正直とても困難だと思います。

物は試し、ぐらいの気持ちで困ったら住田町役場に来てみませんか?

—ありがとうございました。

この記事は2024年8月14日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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