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近隣で暮らしながら地域に根差す保健師のしごと〜長野県南牧村でおふたりにお聞きしました〜

長野県南牧村で保健師として働く有坂会美さんと依田まりなさんにお話しを伺いました。

有坂:私は大学卒業後、南牧村の隣町の保健師として5年間勤務しました。結婚を機に転職し、平成31年から南牧村の保健師として働いています。

依田:私は大学を卒業してから総合病院で看護師として働いていました。もとから保健師として働きたいと思っていたのですが、まずは看護師として臨床を経験してみたいという気持ちもありまして、1年勤めてから南牧村の保健師として働くことになりました。

—なぜ転職しようと思ったのですか?

有坂:保健師として勤めていると、個人情報を知る機会が多いんですよね。自分が住んでいる地域で仕事をしていると、プライベートの知り合いの個人情報を知ってしまうこともあるかと。反対に、自分が出産して乳児検診を受けに行くときは、自分の職場に行くことになるじゃないですか。

顔見知りの個人情報は必要以上に知りたくないし、やっぱり自分も知られたくない。公私を分けるためにも、あえて自分が暮らしているのとは違う自治体で働こうと思ったんです。

依田:保健師として病院に勤務するという選択肢もあったんですが、ひとつの地域に深く関わって働きたいと思い、自治体の保健師として働く道を選びました。

病棟で看護師として働いていた時、病気を持ちながらも普段は自宅で生活をして、体調管理のために入院される患者さんも見てきました。そういった患者さんが普段生活している地域で、生活に根付いたサポートをしていきたいという思いが強くなったんです。

—なぜ転職先に公務員を選んだのですか?また、なぜ南牧村に転職しようと思ったのですか?

有坂:自治体の求人って、その市町村に住んでいることが採用の条件であることも多いのですが、南牧村は他の自治体から通勤するのもOKだったんです。しっかりと業務をこなしてくれたらいいですよ、というスタンスで。

依田:大きな市町村なら保健師の求人はあるんですが、小さな自治体ではなかなかないんですよね。そんな中で、南牧村の保健師求人を見つけまして。

住んだことはなかったのですが、学生時代に何度か遊びに来たことはありました。これもご縁だと南牧村の保健師として働いてみようかと思い、採用担当者に話を聞いてみたところ、ていねいに答えていただいたのも印象が良かったです。

出身である近隣市で働くことも考えたのですが、有坂さんと同じで自分の住んでいる町で働くのってどうなんだろうと不安もあったんです。南牧村は住んでいる場所からほどよく離れている上に通いやすいというのがよかったですね。

—南牧村の公務員採用試験は筆記試験がないと伺いました

依田:そうなんです!南牧村の試験を受けた理由として、筆記試験がなかったというのも大きなポイントだったんです。私が試験を受けた2019年度は、面接と作文程度のボリュームの小論文でした。

一般的な公務員試験を受けようと思ったら、入念な準備が必要ですよね。社会人として仕事をしながら公務員試験の勉強をするのは無理だなと思って。でも、南牧村には筆記試験がなかったので、受けられるかなと思ったんです。

有坂:面接は2回あって、1回目は総務課長と住民課長が面接官でした。2回目の面接はいきなり村長室での実施でしたね。

※※※南牧村人事より※※※

現在の採用試験においても、南牧村は気軽に応募してもらえることも考え、事前に勉強が必要な筆記試験はありません。面接で対面して話をすることを、重要視しています。

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—お二人とも南牧村にお住まいではなく近隣から通われていますが、いかがですか?

依田:車で40分くらいで通えます。 運転が好きなので普段は不便を感じることはないですが、雪や事故で通行止めになると村に入れなくなるので、それだけは困りますね。

有坂:私は車で10分くらいなので、近いんです。南牧村に住んでいないからといって仕事で困るということはなく、快適に働けていますよ。

—南牧村の保健師さんは何名体制で、どのように働かれていますか?

有坂:保健衛生担当の保健師が2名、高齢者担当の保健師が2名です。1名は産休・育休を取得中です。欠員分は病院からヘルプのスタッフに来てもらっています。1チーム2名体制で、地区と業務は分担制です。

有坂:電話を受けたり役場に来ていただくよりは、基本的に私たちから訪問するスタイルです。人口が多くはないので、直接顔を合わせてお話したほうが状況もわかるので。

保健衛生担当は赤ちゃんの生まれる数によって訪問数が違いますね。精神保健の分野の仕事が入ってくると訪問数が少し増えて忙しくなります。

—職場の人間関係はいかがですか?

有坂:50代、30代、20代の女性が働いています。私と依田さんは年がわりと近いこともあって、なんでも話し合えています。2人で解決できないときは上長に相談するのですが、相談しやすい環境です。

依田:ちょっとしたことでも気軽に質問ができる環境がとてもいいなと実感しています。前の職場では生死と向き合う場面も多かったのでピリピリしていたり、「聞けなくてどうしよう」と戸惑う場面もあったんですね。

そんな職場も知っているので、気になったことはすぐに質問できる今の環境がとてもありがたいです。有坂さんは肯定するだけでなく「こうしたほうがいいんじゃない?」とアドバイスもしてくれるので、成長させてもらえているなと実感しています。

—病院看護師として働いていた依田さんにお伺いします。病院と南牧村の仕事で違いを感じることはありますか?

依田:保健師や看護師の仕事って人の命に直結するので、スタッフ同士のコミュニケーションが大事です。でも、病棟だとスタッフの数が多いから、質問しやすい人もいれば苦手な人もいたりして……。これは病院だけでなく一般企業もそうだと思うのですが。

この職場は4名だけですが、少ないからこそコミュニケーションがとりやすく、働きやすいです。

—他の自治体で保健師として働いていた有坂さんにお伺いします。南牧村で働いてみていかがですか?

有坂:職員同士の距離が近いなと感じますね。以前の職場では、相談事があれば上長のところで検討に時間がかかったのですが、南牧村では話がスムーズに通ります。わからないことも、「誰に聞いたらいいかわからない」「質問できなくて困る」ということもないのがいいですね。

違う課のメンバーとの関係も良くて、やさしい言葉をかけてくれる人が多いので、温かい職場だと感じます。

また、隣町とも南牧村では文化が違いますね。隣町は会社勤めの人が多かったのですが、南牧村は農家さんが断然多い。農家さんの季節のスケジュールに沿って、自分たちの仕事も回っているなと実感しています。

南牧村に来て初めて母子教室を担当したとき、お母さんたちが「今日はトラクターに乗ってロータリーをかけた」とか「マルチを張った」とか、農業用語が飛び交っていましたもん。農作業の関係上夏は忙しいので、時間に余裕のある冬場に健康教室を実施したり、個別訪問を多めに入れたりと年間スケジュールを組んでいます。

依田:私が担当する母子の教室でも、夏場はやっぱり参加者が少ないですね。冬の教室のほうが賑やかです。

—南牧村の仕事のやりがいやおもしろいところを教えてください。

有坂:市町村の保健師として働くのって、人が生まれる前から亡くなるまでずっと関わっていけるという点が興味深いところです。大きな自治体とは違って、南牧村では母子保健はもちろん、成人保健も担当しますし、精神福祉保健にも関わったりと、何でもやれる。住民の方のライフステージに合わせたいろんな悩みに寄り添っていけるところにやりがいを感じています。

依田:母子保健を担当する前は高齢者担当だったのですが、担当する高齢者の方だけでなく、そのご家族みなさんとも関わりあえるのがいいなと思いました。家族は何を必要としているのかまで考えて、家族みんながより幸せになれるようにサポートしていけるのが保健師として働けてよかったところです。

—働き方についてはいかがですか?

有坂:残業時間は時期にもよりますね。冬場は農作業がお休みに入る家庭が多いこともあって、その分訪問を増やしますから忙しくなります。訪問数が多い日は、訪問を終えて帰って来ると5時を過ぎていることも。また、土日にイベントがあれば出席することもありますが、休日出勤はまれですよ。

このほか、日直の日は役場に出勤して電話対応や各種届出の対応をすることもあります。保健師だけでなく、役場の職員全員でシフトを作成して担当しているので、当番が回ってくるのは月に1回ほど。当番の日はきちんと手当が出ます。

—これから南牧村で働きたいと考えている方にメッセージをお願いします。

有坂:第一に大切なのはコミュニケーションです。コミュニケーションが取れる方なら南牧村で快適に働けるはずです。小さい村なので、母子だけで、成人だけではなく、マルチに保健師をやってみたい方はとても魅力のある職場です。住民の方との距離も近くいろいろな方の人生に触れることのできるお仕事を、ぜひいっしょにやってみませんか。

依田:保健師の仕事に限りませんが、やっぱりコミュニケーションって本当に大切ですよね。コミュニケーションスキルとやる気さえあれば、未経験の仕事でも活躍できると思いますよ。

この記事は2023年11月13日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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