市町村をまたぐ道路を整備する!~沖縄県庁で働くから経験できるスケールの大きさ~
沖縄県庁で土木技術職として勤務する西平さん、何と消防職から転職されたとのこと。
そんな西平さんに、転職に至った経緯や土木職として働くやりがいについて伺いました。
市町村ではなく県の職員を選択した理由や、県ならではの業務がよくわかる内容になっています。
― まずは簡単に自己紹介をお願いします。
西平:私は那覇市出身で、高校までは地元の学校に通っていました。大学は琉球大学の理学部に進学し、物理を専攻していました。体を動かすことが好きで、高校・大学では陸上部に所属していました。安定した公務員を志望しており、且つ体を動かすことも好きだったので、大学3年生の時に「これで就職できるなら」と軽い気持ちで県内消防の試験を受けたら合格することができて、4年生の時は休学して消防学校に通いました。
― 在学中に消防士になられたんですね!?大変ではなかったですか?
西平:そうですね。復学後は卒業研究だけだったので、非番と週休の日にゼミに通って卒論を作成しました。大変でしたが、今思えば充実した日々を過ごしていましたね。消防士としては5年間在籍し、最後は救急隊として働いていました。
― なぜ消防士から土木技術職に転職されたのですか?
西平:在学中の勢いもあり消防士になったわけですが、同級生と話をする中で、違うことにもチャレンジしてみたいと思うようになったんです。転職するなら次も公務員がいいと考えて、自治体への転職を調べるようになりました。
大学では物理を専攻していたのですが、中々物理を活かせる業務というのは少なく、大学の同級生が土木職に就職して楽しそうに働く姿を見て、自分も土木をやってみたいと興味を持ちました。転職活動では、最終的に沖縄県庁の土木職しか受験しませんでした。
― 消防士として働きながらの転職活動は大変でしたか?
西平:専属救急隊だったので出動が多く、非番でも眠い日が多かったのですが、時間を見つけて勉強していました。消防士は基本的に当直勤務のため、不規則な生活になりがちでしたが、土木技師になってからは日勤になり、仮に残業しても朝までしっかり寝られるようになりました。これは私の中では大きな変化でしたね(笑)
― 土木技師として、市町村ではなく沖縄県庁を選ばれたのはなぜですか?
西平:県民目線で仕事ができると思ったからです。市町村だと、市町村という枠組みの中での土木事業になりますが、県であれば市町村をまたぎ、県全体を視点に考えることができます。また、市町村ではできないような規模の大きな工事に携わることができるのも魅力でした。県民が市町村をまたいで移動する際に便利な道路を作るなど、スケールの大きな仕事ができるのではと思い、県庁を希望しました。
― 現在の業務内容について教えてください。
西平:今は道路整備班で、県道事業を担当しています。主な仕事は新しい県道を作ることです。全く新しい道路を敷設するわけではなく、既存の道路に対して新しいバイパスを作るようなイメージですね。まずは測量から始まり、土質調査を行い、それを基に道路設計を行います。これらの業務を発注し、委託コンサルと一緒に業務を進めていきます。設計図が完成したら、それを基に工事の発注を行います。発注するための積算、発注図書の作成、そして業者への発注、工事の監督、工程管理、安全管理など、幅広い業務に携わっています。
―正に市町村をまたぐ道路整備に携わっているのですね。これまでは土木職としてどのような業務に携わってこられましたか?
西平:北部土木事務所にいた頃は、河川海岸班で、県が管理している河川の改良工事や海岸工事を担当していました。特に印象に残っているのは、人工ビーチを作る事業です。もともとは米軍の射撃場だった場所が返還され、利活用されることになり、海岸部分を県が整備することになりました。私が引き継いだ時には護岸などはできていたので、人工ビーチ用の砂を入れて完成にもっていくところを担当しました。完成したビーチは、「KINサンライズビーチ」という名前で、沖縄県民に親しまれています。
当時は様子が気になって見に行ったりもしていました(笑)
― 土木職の仕事のやりがいや魅力はどんなところだと思いますか?
西平:やはり、自分が携わったものが形として残るところですね。設計から工事監督まで、長い年月をかけて構造物が完成していく過程に携わることができるのも大きな魅力だと思います。
実は大きな事業ほど長い期間がかかるので、自分が担当する間に最後まで事業が完了するということはあまりありません。先輩からバトンを受け取り、自分も誰かにバトンを渡す、そして最終的には構造物が完成し、地域の人々の生活を支えるインフラとなる。そこに大きなやりがいを感じます。
―では、沖縄県庁で働く魅力はどんなところですか?
西平:沖縄県は縦長なので、南部、中部、北部、そして離島と、様々な地域に土木事務所があります。通えない距離ではないかもしれませんが、若い人は異動に伴って引っ越す人も多いです。私は、北部土木事務所から中部土木事務所に異動してきました。いわゆる転勤となるのですが、転勤があることで沖縄の様々な地域に住み、その地域のことを深く知ることができるのは、県庁で働く魅力の一つだと思います。本土の方からしてみたら「沖縄」はどこも同じイメージをお持ちかもしれませんが、実は県内でも地域によってなまりも違いますし、生活環境も異なります。外国人が多い場所もあれば、全くそうでない場所もあるなど、地域ごとに違った「沖縄」を体験することができます。
―公務員から公務員への転職ですが、県庁に対するイメージは入庁前後で変わりましたか?
西平:市町村と比べるととても大きな組織になるので、組織として業務に携わることが多いのかと思っていたのですが、入ってみると一人ひとりに事業を任されることが多く驚きました。市町村や業者、コンサルタントと調整する際に、自分一人で対応することもあります。もちろん、周囲のサポートもあるため、全てを自分だけでこなしているわけではないのですが、責任の重さを感じながら、緊張感を持って仕事に取り組んでいます。
― 最後に、求職者に向けてメッセージをお願いします。
西平:本土の人からしたら、沖縄県で働くと毎日観光気分を味わえるような環境かもしれません。土木であれば現場に出ることも多いので、車で沖縄の自然を存分に感じながら仕事をすることができます。沖縄が好きで、自然が好きな人は、ぜひ沖縄県庁で一緒に働きましょう!
― 本日は貴重なお話をありがとうございました。