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一番のやりがいは人に感謝されること~造園業から消防士への転職!~

鹿児島県南さつま市消防本部で働く田中さんのインタビュー記事です。
なんと、田中さんは造園業から消防士に転職したとのことです。

今回は田中さんが転職に至った経緯や消防学校での経験、そしていざ現場で働いてみて感じる消防士としてのやりがいや魅力についてお話しいただきました!

ーまずは簡単な経歴及び自己紹介をお願いします。

田中:南さつま市の出身で、小学校、中学校は市内加世田地区で過ごし、高校は近隣市にある高校の電子機械科を卒業しました。機械いじりが好きだったということもあり、工業系の資格も色々と取得していました。溶接やボイラー、電気工事士など、高校の先生に勧められるままに、面白そうだからと取っていた感じです(笑)

高校を卒業後は県内にある造園業に就職しました。

ー元々は造園業に就かれていたのですね?なぜ造園業という道を選んだのでしょうか?

田中:家族の影響もあり、昔から植物が好きだったというのが理由ですね。それで、高校卒業後は造園業に進むことにしました。県内の造園会社で6年間働いていました。今とは全く異なり、日々植物と向き合うような生活をしていて、これはこれでとても充実していましたね。

ー造園業から消防士に転職しようと思ったのには何かきっかけがあったのですか?

田中:実は、別の造園会社に移ろうかと考えていた時期があったのですが、なかなか次の職場が決まらずに悩んでいたことがありました。そんな時、親から「市役所で消防士の募集をしているよ」と教えてもらったんです。

正直、自分が消防士になるなんて考えたこともなかったのですが、その時は筋トレにもハマっていたので、「体力には自信があるし、受けてみるか!」という軽い気持ちで応募してみました。

また、採用試験の3ヶ月前くらいに、造園の現場で怪我人が出て、119番通報したことがあったのですが、現場での救急隊員の方々の冷静な対応と、不安な私にも優しく声をかけてくださった姿を見て、「不安な人を安心させるって、なんて素敵な仕事なんだろう」と心を打たれたんです。この時の想いが消防士を目指すきっかけになった…という後付けの理由もあります(笑)

ただ、あの時の救急隊員の姿は、今でも鮮明に覚えているので、気持ちの変化があったのは確かだと思っています。

ー働きながらの就職活動は大変でしたか?

田中:中々大変でしたね。限られた時間の中で勉強時間を確保するのに本当に苦労しました。私はお酒も好きなのですが、試験前は我慢の日々でした。

体力試験に関しては、筋トレをしていたおかげで筋力的な種目は自信があったのですが、長距離走は苦手だったため、仕事の後に走り込みをしていました。

ところが、試験当日は天気が悪く、1500m走が中止になったんです。正直ラッキーでしたね(笑) 懸垂や握力は、人並みにはできる自信があったので、あまり心配はしていませんでした。

ー消防学校と聞くと厳しいイメージがあるのですが、振り返ってみるといかがですか?

田中:危険な作業や人の命を扱うような業務の基礎を学ぶ場所のため、確かに厳しい面もありました。

救急や現場活動訓練はイメージ通りだったのですが、火災予防とか、初めて学ぶ内容も多くて、こんなことまでやるのかと驚きの連続でしたね。

また、消防学校では一定期間ごとにテストがあるので、同期と情報交換をしたり、問題を出し合ったりして、みんなで協力して乗り越えていました。私自身、学生時代は夜型だったので、消防学校でも夜に勉強したかったんですが、22時消灯が徹底されていたため、布団に潜ってライトを照らしながらこっそり勉強をしていました(笑)

ー実際に働き始めて、印象に残っている現場などはありますか?

田中:一番印象に残っているのは、初めて救急隊員として出場した現場ですね。救急科を卒業して、最初の当務の朝に入った救急要請です

患者さんは幸い軽症だったのですが、現場に着いて初めて見る救急現場の光景に、頭が真っ白になるくらい緊張しました。先輩たちがテキパキと動いている中で、何もできずに立ち尽くしていました。救急車の中でも、何をどうすればいいのか分からず、先輩に運転を任され現場に向かう間も、運転が未熟で患者さんを揺らしてしまったり、とにかく何も役に立てなかったなという印象です。

それでも、引き上げる時には先輩から丁寧に指導していただいて、救急科で学んだことと現場は全然違うということを痛感しました。あの経験が、「もっと訓練して、市民のために役立てる救急隊員になろう」と強く思うきっかけになりましたね。

ー田中さんは造園業という異なるフィールドからの転職ですが、前職での経験を活かせていると思うことはありますか?

田中:これは意外と多かったです。造園業で機械を扱っていた経験は、消防活動でも役立っています。チェーンソーやエンジンカッターなど、前職では日常的に扱っていたため、訓練もスムーズに進みました。また、トラックに荷物を固定するためにロープも扱っていたので、救助活動で使うロープワークにも少しは役立ったかなと思っています。

危険物取扱者や電気工事士など、消防でも活かせるような資格もいくつか取得していました。これまでに取得していた資格や、全く別の分野だと思っていた造園業での経験が、こんなふうに今の仕事に繋がってくるとは思いませんでしたね。

ー消防士として働くやりがいや魅力を教えてください。

田中:一番のやりがいは、やはり人に感謝されることですね。「ありがとう」と言ってもらえる瞬間は、消防士として働いていて本当に良かったと感じます。

また、訓練で学んだことを現場で活かせた時や、その過程を見てくれていた先輩や同僚から褒めてもらえる時も、大きなモチベーションになりますね。

ー消防士の職場環境は、どういった雰囲気なのでしょうか?

田中:よく「消防は縦社会で厳しい」というイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、良い意味でメリハリのある職場だと思います。現場や訓練中は規律が厳しいですが、それ以外の時間は先輩後輩関係なくフランクに話したり、相談に乗ってもらったり、とても良い雰囲気です。趣味が合う仲間とは、一緒にキャンプに行ったりもします。

私も趣味でキャンプをしているので、消防に入ってからさらにキャンプ仲間が増えました。 階級社会というちょっと独特な考え方なので、最初は戸惑うこともありましたが、今ではすっかり慣れて、上下関係を意識しながらも和気あいあいと過ごしています。

ー24時間勤務の簡単な流れを教えてください。

田中:8時半に交代で勤務が始まり、まず車両点検と無線試験を行います。その後は、その日の業務内容に応じて、現場活動、デスクワーク、訓練などを行います。お昼や夕食の休憩もあり、19時からは体力練成などの時間となっています。21時半に夜のミーティングを行い、22時から朝の5時までは仮眠時間です。起床後、5時から7時までは勤務時間で、交代までに車両清掃なども行います。そして8時半に交代して勤務終了です。

もちろん、この間に現場出動があれば、いつでも対応します。

ー南さつま市消防本部にはどのような特徴があると思いますか?

田中:南さつま市消防本部は、海と山に囲まれた自然豊かな環境にあります。なので、火災や救急だけでなく、山岳救助や水難救助など、さまざまな災害に対応しています。私も潜水士としての資格を取得し、今年度から潜水隊としても活動しています。

海や山の事案は年に数件程度と数は多くないですが、様々な種類の現場を経験できるのが、南さつま市消防本部で働く魅力の一つだと思います。

仕事以外の面だと、全国各地から釣り人が訪れる海や、登山に最適な山々など、自然を満喫できるスポットも多いので、オフの日も充実すると思います。

ー最後に、求職者の方にメッセージをお願いします。

田中:消防士は体力はもちろん、デスクワークや勉強も必要な職業です。大変なことも多いですが、決して一人ではありません。チームで協力して活動するので、仲間と助け合いながら乗り越えることができます。

私も最初は戸惑うことばかりでしたが、先輩や同僚の支えのおかげで、ここまで成長することができました。

南さつま市消防本部は、さまざまな現場を経験できる、とてもやりがいのある職場です。少しでも興味があれば、ぜひチャレンジしてみてください!一緒に南さつまの安全を守りましょう!

ーどうもありがとうございました!

この記事は2024年11月8日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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