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農業活性を行政から支援〜農林水産省出向経験を経た、大潟村役場の働き方とは?~

秋田県大潟村は、もともと琵琶湖に次ぐ国内第2の湖であった八郎潟を干拓地とする国主導の八郎潟開拓事業によって生まれ、現在も農業が村内での主たる事業となっています。

そんな大潟村役場産業振興課で、農業振興を行う佐藤 真悟さんに、これまでの経歴や大潟村役場での仕事と職場環境についてお話を伺いました。

—これまでのご経歴を教えてください。

佐藤:私は生まれも育ちも大潟村で、村内の中学校から秋田南高校、そして新潟大学工学部に進学しました。平成25年に大潟村役場に入庁し、今年で11年目になります。

令和2年から3年までの2年間は東京の農林水産省に出向し、昨年の4月に再び大潟村役場に戻りました。今は産業振興課で働いています。

—なぜ、大潟村役場に応募されたのですか?

佐藤:もともとはやりたいことが見つからなかったのですが、大学で秋田から離れ、大潟村の良さにあらためて気づき、地元に戻りたい気持ちがだんだん強くなっていったんです。

そこで、両親の勧めもあり、せっかく地元へ戻るなら大潟村で働こうと思い、役場の試験を受けました。

—農林水産省への出向もされていたんですね。

佐藤:上司から「チャレンジしてみないか」と言われたときは、初めての東京ということで不安が大きかったです。ただ、家庭の事情や勤務年数の関係などで、誰でも挑戦できることではないと考え直し、思い切ってチャレンジしました。出向期間を振り返ってみると、とてもいい2年間だったと思います。

出向中は、補助金に関する業務を担当していました。具体的には、田んぼの周りの水路などを都道府県主体で補修や整備を行う際に、その事業の補助金の予算を割り当てる仕事です。国で決めた予算がどのように村までおりてくるのかという流れが理解できたので、非常に勉強になりました。

また、市町村の自治体と違い、国の各省庁の場合は職員が仕事を兼務することがほとんどなく、1つの事業に対して一つの班の職員が業務分担をして取り組みます。1つの事業とはいえ、全国の自治体全てが相手なので、ボリュームがありますから。

実際に出向してみると、業務の割り振り方や体制が国と村役場では異なっていることに驚きました。

—今の仕事内容を教えてください。

佐藤:今は産業振興課で補助金申請の窓口を担当しています。業務内容は、農家の方からいただいた申請の中で、村役場内で処理できるものはそのまま受付し、県や国で取り扱う補助金の申請に関しては、別途用意いただく資料などがあるので、その作成や準備をお願いします。

大潟村はもともと農業所得が高く、それぞれの農家が大きい面積の農地を所有しているという特徴があります。昔は1人あたり15ヘクタールほどの農地があったのですが、今は離農される方もいるので19ヘクタールとさらに大きいです。

ただ、今は大規模な農地を所有して経営する農家の方も全国的に増えており、優位性が出しづらくなってきているんですね。だからこそ、どう差別化していくかということは役場でも考え、最近は高収益作物の農業に対する支援に力を入れているところです。主に玉ねぎ、かぼちゃ、ニンニクや麦などですね。

新しい作物に挑戦されたい方に対して栽培に必要な資材、種苗費などの初期経費の助成なども行っています。

—新たな助成金制度の企画もおこなっているんですね。

佐藤:大潟村には、農家の方、農協、そして農業に関する業者さんと交流する場があるんですね。そこでの意見をもとに、村として何ができるかを考えつつ、国や県が力を入れて取り組んでいることと合わせて企画します。企画担当がいるわけではなく、実務を進めながら職員それぞれで考え、意見を出します。

—お仕事の中でやりがいを感じる部分を教えてください。

佐藤:コンバインやトラクターなどの大型機械を導入するための補助金申請の手続きは、国や県に向けて複雑な書類を用意するため、長い期間がかかります。そういった手続きを自分が主体となってこつこつと進め、実際にその機械が農家の方のもとへ届いてお礼を言われたときには「頑張ってよかったな」と感じますね。

—残業時間について教えてください。

佐藤:繁忙期は残業もありますが、基本は定時で帰るようにしています。何月が忙しいと決まっているわけではなく、農家の方の作業のタイミングで変動します。

—課の構成や、職員の方々との関わり方を教えてください。

佐藤:課の正職員は課長含め7人、50代1人、40代2人、30代が4人です。産業振興班の人数は5人ですね。作物の種類や制度ごとに分担して業務にあたっています。

職員同士の関わり方は、たとえば国や県から新しい制度について話があれば、役職や年齢層関係なく班の全員で共有し、職員全員が理解できる状態を目指しています。が、産業振興課の場合は分野も広く、なかなか全てを共有して話し合えているかというとまだ課題が残る部分があります。

ただ、新人が入った場合は、課全員でサポートします。私の場合、新しい方が誰かに相談したい時に頼ってもらえるような関係性をつくることを心がけています。

業務の合間に息抜きに村の施設を紹介したり、田んぼをちょっと回りながら「ここは誰々さんの田んぼで、こういう作物を作ってるんだよ」と伝えたり。

村のことを知ってもらうことは、大潟村で働くうえで何よりも大切なことだと考えています。

—佐藤さんが考える「大潟村の良さ」について教えてください。

佐藤:役場の職員も村の方も話しやすい人が多いので、人間関係が心地いいですね。また自然が豊かなので、大潟村に地縁がなくても田舎暮らしが好きな方に気に入っていただけると思います。ちなみに、大潟村役場の大潟村出身者は半分くらいですね。

村内には農業でしっかり稼げる環境があるので、村外で何年か働いてから地元に帰ってきて、農家を営む方が結構いらっしゃいます。村の人口は3,000人程度ですが、若い人が多く、子育て世代も多いので、親同士のネットワークが作りやすいです。保育園と幼稚園がこども園に再編されたので、お子さんも預けやすくなりました。

普段の買い物は「あぐりプラザ大潟」というスーパーや、コンビニで済ませることが多いです。休日に男鹿市や秋田市などの大潟村周辺の街で買い物することもあります。

—最後に、大潟村役場へ応募を検討している方にメッセージをいただきたいです。

佐藤:私は学生時代にどのような職業になるのか何にもイメージできず、勧められるまま大潟村役場に入庁しました。しかし、実際に働いてみると勤務体系がとても合っていると実感しています。

なので、まだ村役場での働き方のイメージがわかないという方でも、私のようにカレンダー通りの勤務体系があっていると感じる方などに、ぜひご検討いただきたいですね。人間関係も非常に良好ですし、私も他の職員も、新しく入られる方が力を発揮できるよう全力でサポートします。

—本日はありがとうございました。

この記事は2023年12月8日にパブリックコネクトに掲載された記事です。
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