これからの山鹿市は絶対に面白い!~情報政策課と外部アドバイザーが語る、山鹿市のワクワクするような取り組みと未来~
山鹿市情報政策課で勤務する山口さんと、NTTe-Sports取締役で、山鹿創生アドバイザー兼デジタル化推進アドバイザーを務める中島さんのインタビュー記事です。
市職員、外部アドバイザー、それぞれの視点で山鹿市の「魅力」とこれからの「楽しみ」について語っていただきました!
山鹿市の魅力、そして山鹿市で働くことの魅力が詰まった記事となっています。
ーまずは簡単にお二人の自己紹介をお願いします。
中島:私は大学院を卒業後、東京でIT関連企業に勤めていました。業務の特性上、全国47都道府県全てを相手にするような仕事をしていたのですが、31歳で転職を志し、福岡県庁でソフトウェア産業振興のスペシャリストとして採用していただきました。その後、自身がプロゲーマーとして活動していたということもあり、福岡市からスカウトをいただき、ゲーム×映像系のセクション責任者として街の賑わい創出のほか起業家の育成などに携わっていました。実は福岡はゲーム産業がとても盛んで、今でもどんどん成長を続けているところなんです。
昔から「エンターテインメントで地域を活性化したい」という理念を持っていたため、NTT西日本に務める友人の紹介を受け、現在はNTT西日本でエンタメを軸とした地域活性化を行っています。
籍としてはNTT西日本なのですが、NTTe-Sports取締役、大学教授、大学講師、福岡eスポーツ協会会長など、色々とお声掛けいただき現在アクティブな肩書が37にもなってしまいました。
いつも講演会の挨拶などでは紹介させていただいているのですが、さすがに覚えきれないくらいとなってきました(笑)
山鹿市では創生アドバイザー兼デジタル化推進アドバイザーを務めさせていただいています。
山口:私は生まれも育ちもここ山鹿市で、大学進学を機に長崎で生活をしていました。進学時は将来働く場所までは考えていなかったのですが、外から山鹿市を見てみると、人口も減少を続け、少しずつ寂しくなってきているなと感じました。
それで、いざ就職活動を迎えた際には、地元をなんとかして盛り上げたいと考えるようになり、山鹿市役所で働くことを志望しました。
ただ、実をいうとぎりぎりまで民間企業で働くことも考えていました。民間企業の立場から地域おこしをしようと、インターンシップなどにも参加していたのですが、どうしても民間だと「利益」を生み出す必要がありました。「利益」を考える前に、まずは地域のことを考える方が私のやりたいことにあっていると思い、民間ではなく山鹿市役所という選択になりました。
入庁後、最初は商工観光課で商店街のにぎわい支援や中小企業の支援等を担当していたのですが、正にコロナ禍だったため、コロナの影響を受けて経営が困難になった方への補助金や支援事業がメインとなっていました。
現在は情報政策課で山鹿市のホームページやマイナンバー制度関係などを担当しています。デジタル化推進アドバイザーの中島さんとは、普段から打合せをさせていただくような関係性で、主に市のDXといった面で様々な助言をいただいています。
ー中島さんはなぜ山鹿市でアドバイザーを務めることになったのでしょうか?
中島:福岡でテレビ業界で仕事をした後に山鹿で旅館業をしている知人がいるのですが、その知人から「山鹿市もe-sportsで盛り上げることができるんじゃないか?」と声をかけられたことがきっかけですね。ちょうど熊本県庁から山鹿市に出向している方がいて、まずはその人に話を持ち掛けてはどうかという話になりました。
私も「楽しい」をキーワードに地域創生したいという思いを持っていたので、すぐにその方に「e-sportsで山鹿市を盛り上げてみませんか?」という話をしたところ、市長に面会をさせていただく機会をいただきました。
ちょうどその頃、熊本eスポーツ協会と山鹿市が連携協定を結ぶことになっていて、私が福岡eスポーツ協会の会長だけでなく熊本eスポーツ協会の顧問も務めていたこともあり、それならばということで市長からアドバイザーのお話をいただき、就任に至りました。
始めは山鹿創生アドバイザーとして就任したのですが、その後デジタル化推進アドバイザーとしてもお声掛けいただいたため、現在は両アドバイザーを兼務しています。
ーアドバイザーとは、実際どのようにして市と関わっているのでしょうか?
中島:私は全国の自治体や企業、研究機関と共に仕事をしているのですが、アドバイザーとして、様々な知見から「山鹿市はどこに舵を取りうるのか」という選択肢を示しています。これが私がアドバイザーとして貢献するポイントです。
私が方向性を決めるのではなく、やらないといけないんだということをまず理解していただく、その上で、どういったやり方があるのかという選択肢を示すんです。
私は自治体が真に覚醒するためには、自分たちで気づいて、自分たちで実行する必要があると思っています。外部の人間が何かを分析し、方向性まで示してしまったら、一次的な改善にはなるかもしれませんが、将来に向かって継続的に変えることはできないですよね。
ー地域創生やDXといった観点で、従来の山鹿市はどのような印象でしたか?
中島:実は私も山鹿市の出身で、今でも両親が市内に住んでいます。幼いころの山鹿市と言えば正に高度成長期で、週末は温泉プラザに人があふれていたり、お祭りも今とは比べ物にならないほどの人出であったりと、これから発展していくといった雰囲気がありました。
アドバイザーになるまでは、年に数回帰省する際しか山鹿市を見ることはなかったのですが、それでも徐々に温泉宿が無くなり、お店も次々に廃業するなど、少しずつ衰退していることを感じていました。
アドバイザーになってからは一気に危機感が募りましたね。このままでは消滅都市になってしまうのではないかと思うほどでした。
実際には衰退する中で市として何もやっていなかったわけではないのですが、全国で仕事をするなかで、先進的な自治体として山鹿市の名前を聞いたことはありませんでしたので、正にこれから変えていく、変わろうとしている時だったのだと思います。
山口:私も先ほどお話しした通りで、大学進学で県外に出て、外から山鹿市を見てみるとどんどん寂しくなっているなという実感が湧いてきました。
中島さんと同様に、幼いころに見ていた印象に比べると、徐々に衰退してきていると感じていました。
ー最近では山鹿市にどのような変化があったのでしょうか?
中島:特に1つのプロジェクトを推し進めているというものではないのですが、最近は教育部分での変化が大きいと思っています。
例えば、任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」とそのプログラミング用ソフトを使用したプログラミング学習が導入されました。
これは任天堂としても初めて教育とゲームを本格的に結び付けた取り組みで、とても注目を集めました。
市内8校中4校の6年生全員がNintendo Switchとプログラミングソフトを使用したプログラミング学習ということを、日本で初めて行っています。
私は山鹿市の子どもたちに明るい未来を見せてあげたいと思っていて、こういったゲームを活用した楽しい教育環境づくりは、子どもにとっても山鹿市にとっても必ず将来のためになると感じています。
私は「楽しい」と結び付けて色々なものを推す、ということが大好きです。
例えば「廃れた商店街」「病院の待合室」って、中々ポジティブなイメージを持たれないかもしれませんが、ちょっとでも楽しめる、ゲーム的な要素のある「楽しい廃れた商店街」「楽しい病院の待合室」とすれば印象が大きく異なりますよね(笑)
これと同じで、教育現場についても、「楽しい学校」とすることがまずは大事だと思っています。
実はこのNintendo Switchを活用したプログラミング学習は能登半島の能登町でも「山鹿モデル」として、町内の全小学校に展開されています。山鹿市の先進的な取り組みとして、今後ももっと広まって欲しいですよね。
ー確かに先進的かつ「楽しい」取り組みですね!では、デジタル化推進アドバイザーとしては、どのような取り組みをされているのでしょうか?
山口:アドバイザーとしての役割は、基本的には地域創生と同様になるのですが、デジタル化推進に関しては、何か新しい取り組みをする際に、知見に基づいたアドバイスをいただいています。
例えば、市民の利便性向上に向け、窓口に新たなものを設置したいとなった際、どういった効果が見込めるのか、全国ではどのような例があるのかといった助言をいただくことがあります。先程のお話しにも合ったとおりで、あくまで取りうる選択肢を示していただき、実際の方向性は私たちが考えて決定しています。
中島:私が最初に所属していた会社が正に交通系DXということを行っていたのですが、DXについてはその本質を一緒に考えるようにしています。
DXというとまず最初に「デジタル化」をしなければならないと思うかもしれませんが、大切なのはやりたいことの本質を見直すことであって、その中でどこをデジタル化する必要があるのか、反対にデジタル化せずに見直すべき部分はどこなのか、といったことをよく考えることが大切です。
山口:これまでは市民向けの改革が主だったのですが、今では内部や職員向けの改革も進めようとしています。デジタル化によって職員の業務負担を軽減して、結果的にサービスの向上につなげたいという考えです。
ー確かに外向けだけでなく、職員が働きやすくなる環境作りも大切ですよね。今後山鹿市の働き方はどのように変わっていく予定なのでしょうか?
山口:まだこれから検討を進めていくという段階なのですが、ちょうど今年から働き方改革に向けたプロジェクトチームが立ち上がっているところです。
書かない窓口の導入や、ペーパーレス、職員が働く場所を自由に選べるフリーアドレス化など、市民の方々も職員もお互いが楽になるような環境を作りたいですね。
働き方改革については、ハード面だけの整備だけでなく、それぞれ職員の考え方や自治体に根付いた文化も変えていく必要があると思っています。
例えば典型的な例としては、何でも印刷するという「紙」の文化があります。
ペーパーレスを進めるということは、ずっと自治体で勤めてきた方々にとっては中々すぐには受け入れられないことなのかもしれませんが、最近では少しずつ変わりつつあります。
私が入庁した際、職員の出勤簿は紙で管理されており、新採ながら少し衝撃的(笑)だったのですが、現在では電子管理となりました。また、課長職以上にはタブレットが配布されていて、議会などはペーパーレスで行われるまでになりました。
どちらも初めは抵抗があったかと思いますが、考え方や文化が徐々に変わってきているのだと実感しています。
中島:出勤簿の電子化については本当につい最近の話なので、私も庁舎建て替えの話より先にやった方がいいのではないかと言った覚えがあります(笑)
これから先は、生まれた時からずっとデジタルに慣れ親しんだ世代、いわゆるデジタルネイティブの人たちが主役となります。そういった世代に働きたいと思ってもらうためには、給料や業務内容だけではなく、「働きやすい」や「居心地のいい」といった職場環境を整えることが大切になると思っています。
昔の慣例を大切にしすぎて改革を止めてはいけないということが、最近はやっと受け入れられるようになってきたのかなと思いますね。
ー山鹿市は今後大きく変わると思えるような環境ですか?
山口:情報政策課はもちろんのことですが、庁内全体で見ても新しいものを取り入れていこうという風潮にあると思っています。
他自治体の方と同様のお話をする機会がありますが、やはり多くは財政面等の理由から変革には慎重な印象があります。
その点、山鹿市は変革や改革についてとても理解があるので、新しいことはとても進めやすい雰囲気です。「これから何かを変えるぞ」と思っている人にとっては、何でも言い合える理想的な環境ではないでしょうか。
中島:山鹿市は市長を始め「変わらないといけない」という危機感をもっている自治体だと感じています。最近では全国的に見ても、新しいことに進んで取り組んでいる自治体として挙げられますし、何よりコンパクトな自治体なのでとてもスピード感を持った対応が出来ていると思いますね。
今後も間違いなく変化していく、とても面白い自治体ではないでしょうか。
山口:情報政策課も、現在は「とりあえずやってみる」「何でも考えてみる」という雰囲気があります。今何をしているのか説明に悩むくらい取り組んでいることが多岐にわたっていますが、そこがまた面白いと感じています(笑)
ーお二人にとって、山鹿市の魅力はどういったところだと思いますか?
中島:やはり第一に温泉でしょうか。実際に来ていただけるとわかるのですが、気軽に、そして安価にどこの温泉でも入れるような環境です。
そして、何かをやるにしても急がなくてもいい、素の自分のままでいいと思わせてくれるような場所だと思います。例えば大きな都市だと、自分を高めなくてはいけない、自分を良く見せなくてはならないという気持ちになるかと思いますが、山鹿市ではそういう感覚が無いんです。田舎だからというわけではありませんが、素のままでいいんです(笑)
山口:確かに周囲と比べてとてもゆっくりしている場所だなと感じますね。また、遠方からUターンしてきた方々が、山鹿市を盛り上げようとお店を始めたり、同じ思いを持った人々がしっかりと繋がりを作っていたりと、若い人がエネルギッシュに活躍しているということも大きな魅力だと思っています。
私も長崎から帰ってきて、商工関係の仕事をした際、山鹿市のことを本当に知らなかったんだなと感じました。市内には隠れたお店やそれを支える魅力的な人たちが沢山いらっしゃいます。知れば知るほど本当に魅力的なまちですね。
中島:平成の大合併で複数の自治体が合併して現在の山鹿市となったのですが、それもまた魅力の一つだと思います。
それまでは、山鹿と言えば温泉と古墳、といったイメージだったものが、現在では栗もあり、ワインもあるなど、合併前に特色をもっていた自治体が集まったことにより、「山鹿市」として様々なものをアピールできるようになりました。
また、山鹿市には実は鉄道が通っていません。インフラ面で不利なのではと思われるかもしれませんが、逆に山鹿市は鉄道に左右されることがありません。
路線で市内が分断されることもなければ、踏切による渋滞や騒音といった問題もありません。更には、駅前の開発といった、鉄道を主とした街づくりをする必要が無く、原風景のまま山鹿市を残すことができるんです。
バスや車を利用して、一日中かけてゆっくりと散策するのもとても魅力的ですよ。
実は国の重要文化財でもある八千代座でeスポーツを何回も開催したことだってあります。あまり想像がつかないですよね?(笑)山鹿市ってそのくらい面白いことをやっているので、自己肯定感をもってもっと外部に自慢していきたいですよね。
ー聞けば聞くほど魅力がでてきますね!ずばりお聞きしますが、今度の山鹿市は楽しみですか?
中島:山鹿市はポテンシャルがある一方で、それ以上に課題も沢山あると思っています。これからやらないといけないことがとにかく多いんです。
ただ、大都市であれば一部の地域の人にしか影響しないようなことであったとしても、山鹿市の規模なら住民全体に行き渡らせることができます。
自分でやったものがダイナミックに返ってくるような仕事、絶対に楽しいと思いますよ。
山口:中島さんが言われたように、街を自分も一緒になって変えることができて、その変化を実感することができます。
働くうえでは絶対に楽しいと感じられると思います。
他の自治体と比べてみても、何かを変えたいと思っている人や、熱意がある人にとってはすごく働きやすい環境だと思います。
若いから意見がしにくいということもありません。上の人も、これが気になるといった些細な相談から、もっとこうしてみたいという大きな話まで何でも聞いてもらえます。
また、山鹿市くらいの規模だと市のキーパーソンとなる人物にもごく普通に出会うことがあります。そういったキーパーソンを含め、市職員と市民が話しやすい距離感にあるというのも特徴ですね。
中島:そうですね。大きな経済圏を持つ自治体であればステークホルダーも巨大となり、それらを動かすような改革は一筋縄にはいきません。
山鹿市であれば、そういったキーパーソンが普通に道を歩いていたり、飲食店でたまたま一緒になるようなことだってあります。
キーパーソンと顔見知りになれれば良いというわけではありませんが、そういったキーパーソンの距離がとても近く、互いに何でも相談し合える環境というのは、自治体を変えていく上ではとても大切だと思います。
山鹿市であれば、そういった方々も巻き込んで一緒に街を変えていくことができるんです。これって、とてもワクワクしませんか?
ー最後に、お二人から伝えたいことはありますか?
山口:楽しいですよ!ということを伝えたいですね(笑)
私のいる情報政策課は特にそうなのかもしれませんが、やりがいを持って今が一番楽しくやれているんじゃないかと思っています。
変化も大きいので、日々わからない用語などを勉強しつつではありますが、街を変えていくということにとてもやりがいを感じています。
中島:今は山鹿市職員自身も変わろうとしていますし、変えることができる局面にあります。
自治体職員は役人とか公務員といった言葉で片づけられてしまいますが、本来は地域をよくするための総合プロデューサーなんです。
それぞれテーマが環境、雇用、観光などにわかれているだけであり、一人一人が主役となって働くことができる職場です。
今自治体に求められる人材は、言われたことをこなすだけではなく、ダイナミックに、柔軟に発想することができるプロデューサー気質の人だと思っています。
そういった方々に是非山鹿市に来ていただきたいと思っています。歯車の一部としてではなく、主役となって山鹿市を変えることができます!自治体で働くことは究極のプロデュース業です!
そして何より、山鹿市は今、本当に面白いです!
ー本日はありがとうございました。