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競争社会から「協同社会」への転職!真の地域貢献を目指して〜奈良県広陵町・「良い」と思ったことができる仕事〜

奈良県広陵町の産業総合支援課係長を務める小石原 匡伸(こいしはら まさのぶ)さん。銀行員としてのご経験や広陵町に入庁後のお仕事、地域貢献に携わることへの思いについてお話を伺いました。

ー入庁までのご経歴についてお聞かせください。

小石原:地域密着型の企業に勤めて社会貢献をしたい、という思いがあり、大学卒業後は地元京都府の銀行に就職しました。そこでは、8年半の間、主に法人営業に携わっていました。その後、平成28年10月に広陵町に転職してまもなく8年になります。

ー転職を考え始めたきっかけは何だったのでしょうか?

小石原:勤めていた銀行では2〜3年周期で異動がありました。京都府を中心に兵庫県や大阪府などの関西圏に支店が200程あり、「範囲が広すぎるな」と感じていたんです。できれば一定の地域で、その地域のことだけを考えていける方が自分のやりたいことに合っているのではないか?と思ったことがきっかけですね。

また、前職では同期が300人程おり、競争社会で戦ってきた感覚がずっとありました。常に数字を求められ、成績だけで比べられてしまう。銀行の利益のための提案も多く、本来私がやりたかったことではないと感じていました。長く働くうえでは競争社会から、職員で力を合わせて取り組む「協同社会」に踏み込んだ方が良いのではないか、他の道もあるのではないかと考え始めたこともきっかけの一つです。

ー広陵町職員を選択した理由についてもお聞かせください。

小石原:大きな理由はやはりいろんな分野から地域貢献に深く携わることができるという部分ですね。前職の経営理念や経営計画で「地域社会の繁栄に奉仕する」「いい銀行づくり」というテーマが掲げられており、その考え方は私の中でも息づいていました。

そして、町長が掲げる理念も「みなさんと共に「いい町」づくり」だったんです。私の考えるビジョンと町の理念がリンクしていると感じました。

また、大学時代の友人が住んでいたことから、広陵町は馴染みのある町でした。靴下づくりが大変有名で地場産業が根付いており、町民の満足度が高い町なんだという話も聞いていて、とても良い印象があったんですね。さらに、全く違う環境でこれまでとは違うことをして成長したい、と思ったことも広陵町を選んだ理由です。

ー次に、入庁後の経歴についてお聞かせください。

小石原:まず総務課に配属となり、公務員の業務の仕組みや基本的な事務を1年半学びました。その後は企画政策課(現総合政策課)に配属となり、前職の経験を活かせる企業誘致や、公共施設マネジメントに4年間携わりました。そこから現在の産業総合支援課に異動し、企業誘致に関しても引き続き携わりながら産業振興に関する取り組みを行っています。

ー企業誘致や公共施設マネジメントなど、企画政策課でのお仕事について詳しくお聞かせください。

小石原:前職ではお金を貸して企業が成長していくという流れがありましたので、自治体の企業誘致でも同様だろうと考えていた部分がありました。実際には、造成や建築といった土木建築系の知識がなかったため、まずは勉強をし直しましたね。

そのうえで取り組んだのが、町長肝いりのまちづくり計画の一つ「箸尾準工業地域工場用地造成事業」です。約7万3千平米の地域を町で買い取って産業用地にするという事業に携わり、企業を呼び込むという成果を上げることができました。

公共施設マネジメントでは、たとえば高度経済成長期に建てられ老朽化した建物について、修繕や住民感情的になかなか取り壊せないものをどうしていくかという計画づくりに携わりました。

ー企業誘致の中で難しかったことや、前職での経験を活かせた場面はありましたか?

小石原:私と上席の2名で対応していたのですが、「立地のエリアはここがいい」「もう少し面積が欲しい」「もう少し正方形の区画がいい」などの聞き取りを行いながらの調整は大変でしたね。近隣に住宅が多いので、環境に配慮した優良企業であるという選定基準を設け、区画や面積、形状などから価格までオーダーメイドで決めました。

また、誘致する企業を選定する選定委員会での了承も必要です。納得のいく資料の準備や環境面の基準を満たしているかどうか、財務的に優良な企業であるかどうかといった部分の説明は、前職での経験を活かせたと思っています。

ーでは、現在の産業総合支援課でのお仕事についてもお聞かせください。

小石原:課長と係長である私、係員3人の5人体制で、現在は新たな産業用地の営業活動がメインです。そのほか、新たな建築物が制限されているエリアにおいて、法律的な解釈をもって工場等を建てられるようにし、新たな産業ゾーンをつくっていく活動も進めています。

また、産業支援として設備導入時や新商品に関する補助金の申請受付など地域振興に関わる業務に携わっています。さらに、公共施設の運営を民間に委託しており、その施設運営管理も業務の一つです。

ー地場産業に関連する事業もあるのでしょうか?

小石原:課としては、地場産業である靴下についてのブランド化事業にも取り組んでいます。靴下という製品は、有名ブランドのOEMという形で製造されるのが一般的。そこで産業総合支援課では、独自メーカー、独自ブランドをつくる企業を支援したり、ブランディングする業務を行っています。

オリジナルブランドをサポートし、町で作られた製品であることを発信していく。靴下や町の知名度向上、国産ブランドの形成につながることを期待しています。

そのためにも現在取り組んでいるのが、販路の拡大ですね。実は、広陵町産の靴下を買うところが少ないという現状があります。「広陵くつした博物館」でのPR・販売を行ったり、アドバイザーの方に入っていただいて百貨店での取り扱いも進めているところです。

ーこれまでの業務で、特に大変だったことはありますか?

小石原:一つはやはり企業誘致ですが、公共施設マネジメント業務として、設備更新は課題の一つでもあり、その事業手法のESCO事業(エネルギーの削減目標達成に向けて、高効率の設備に更新していただく事業)における空調や照明のLED化改修事業も大変でした。空調や照明は、基本設計後、詳細設計の工程で施工するのが通例ですが、ESCO事業では設備改修の設計から施工まで一緒に発注するデザインビルド方式をとりました。

この事業は企画政策課のときに携わらせていただいたのですが、奈良県内での前例が非常に少なかったんです。さらに、施設を管理する所管課との連携も必要となります。そのような状況の中で施行業者へのヒアリングを実施し、全国の事例を確認しながら発注方法を検討したり、上長への説明を行ったりしたことは、大きな経験となりましたね。

ーでは、やりがいを感じたことについてもお聞かせください。

小石原:これまで3つの部署を経験してきましたが、その全てがつながっていて、自分自身の成長に通じていると感じます。転職をした経緯も「自分が成長できる」という考えが根本にありましたので、自らのキャリアを活かしながらできることが増えるというのは大きなやりがいです。

あとはやはり、競争社会から職員で力を合わせて最良の方向を決定していく「協同社会」に身を置いたことで、住民や企業、職員に対して自分が「良い」と思ったことが言える、できる。この部分は本当にやりがいになっています。自治体は経済合理性だけで動いているわけではありません。そこも人間っぽくて良いなと思うんです。

ーお休みや残業などの働き方についてもお聞かせください。

小石原:今の部署では、時期にもよりますが、残業はそこまで多くないです。観光や産業のイベント関係で土日に出勤することはありますね。働き方としては、現在未就学の子どもがいるので、子どもの通園の送迎のため本来8時30分からの勤務であるところを9時出勤にする時差出勤をとっています。

個人的に、公務員は自由な働き方ができないイメージを持っていたのですが、育児や介護が必要である場合は柔軟に対応していただけます。非常に働きやすい環境ですね。

ー職場の雰囲気や職員同士の交流についてはいかがですか?

小石原:風通しが良く、相談しやすい職場です。また、広陵町自体がコンパクトな町なので、面識のある職員や町民の方々との交流が図れるところは大きな魅力ですね。前職のように多くの支店に分かれていたり、もっと大きな市町では、職員でも電話口でしかお話できないこともありますよね。面と向かって喋ることができるのは働きやすさにつながると思います。

ー最後に、広陵町役場の魅力についてお聞かせください。

小石原:町長を筆頭に、いいまちづくりができていると感じています。住民のことを真面目に考え、自治体職員としての責任感を持って職務にあたっている方が多いですね。

ー本日はありがとうございました。

この記事は2024年8月19日にパブリックコネクトに掲載された記事です。

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